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骨董商を営む父が陶器で出来た気味が悪い西洋人形を購入した物に惹かれるということ

この記事の所要時間: 318

これは、俺と両親の恐怖体験談。

でも、当時3歳だった俺は当然覚えてなくて、両親から聞いた。

俺の父は骨董商をやっている。

絵から古道具、茶道具、なんだかよくわからないガラクタ?みたいなものまで、色んなものを取り扱ってるんだけども…

 

ある日、父は市(業者同士の販売会みたいなもの)で、ある人形に目を引かれた。

それは、陶器で出来た西洋人形だった。

相当古いものであるのは、ぱっと見でもわかったらしい。

全体的にくすんだ色になったそれを、なぜだか父は一目で気に入り、買い取ってしまった。

当人曰く、売る気はなく家に飾るつもりだったと言う。

…しかし、それを家に持って帰って母と一緒に眺めたとき、父はそれを購入したことを後悔した。

見た目が、余りに無残だったのだ。

肌の表面はひび割れ、髪は半ば抜け落ち、ガラス製の目玉が一つ内部に落ち込み、カラカラと音を立てている…

「気味が悪い…」

母の一言が全てを表していた。

結局、その人形は一度も我が家に飾られることはなく、ベランダの物置棚の奥に新聞紙にくるまれて放り込まれることになった。

 

 

その夜のこと。

母は、俺(当時3歳)がうなされているのに気づいて目を覚ました。

幼時は、わりと引きつけなどを起こしやすい質だったので、もしかして…と思ったらしい。

身を起こして息子の方へ近づこうとして、彼女は息子の様子が少しおかしいことに気がついた。

彼は、目を開けていた。

(うわごとじゃなかったの?)

しかし、息子は未だにぶつぶつと何かつぶやきつづけている。

「T(俺の名)くん、どうしたの?」

声をかけても反応しない。

ただ、ぶつぶつとつぶやきつづけるだけ。

「Tくん!Tくん!!しっかりしなさい!!」

怖くなった母は息子の名を強く呼び、体をゆすった。

そうして、ようやく彼は母の存在に気づいたようだった。

「どうしたの?何を言っていたの?」

まだすこし虚ろな表情の息子に、彼女は語りかけた。

息子はしばしの沈黙のあと、ベランダを指差しこう答えた。

「おめめがひとつの人形が来たの。あっちから」

彼女は、言葉を失った。

息子は、あの人形のことは知らないはずだった。

嫌な汗が流れてくるのを感じながら、彼女は息子に尋ねた。

「お人形が来て、それでどうしたの?」

「あのね…」

 

要約すると、何やら色々と話をしたのだという。

が、その内容が3歳児の語ることなので全く要領を得ず、時間の経過もあって記憶が曖昧になっているそうだ。

だが最後に一つだけ、これだけはっきり覚えているものがる。

「だれにも話してはいけない話をした」

俺は、たしかにそう言ったらしい。

母がどれだけ聞いても、その内容だけは決して教えなかったそうだ。

「人に話してはいけない。話してはいけない。話したら…」

最後にそう言って、そのままこてんと眠ってしまった。

翌日、母はそのことを父に話したが、彼はなぜかそのことを知っていた。

俺がつぶやいていたことが、人形のことであるのに気づいて布団の中で震えていたらしい…

 

結局、人形は捨てられることになった。

ビニール袋に入れ、父がゴミ捨て場に持って行こうとしたのだが、急にずしりとした重量感を感じて、袋を落としてしまった。

人形は、ただ落ちただけでなぜこれほど?と思うほどに粉々になってしまったらしい。

父曰く
「物に惹かれるということは、たまに理屈ぬきでこういうことがあるもんだ」
と。

結局、俺が話した「人に話してはいけない話」はなんだったのだろうかと、今でも気になっている。

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