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笊や目籠を魔除けに使う風習がある海辺の集落と海難法師の伝承

 2015.08.29     都市伝説・ネタ     1件     Loadingお気に入りに追加
伊豆諸島伝説の海難法師
この記事の所要時間: 757

普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。

訳を聞いたのだが、余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。

ここからは彼の語り。

ただし、酔って取り留めのない話だったので、ある程度は俺が整理している。

 

 

まだ学生だった頃、友人と旅に出た。

たしか後期試験の後だったから、真冬だな。

旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。

何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かったころ既に日は暮れてしまっていた。

山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付いている様な小さな集落だ。

困ったことに、ガソリンの残量が心もとなくなっていた。

海岸沿いの一本道を走りながらGSを探すとすぐに見つかったのだが、店はすでに閉まっている。

とりあえず、裏手に回ってみた。

玄関の庇から、大きな笊がぶら下がっている。

出入りに邪魔だな、と思いながらそれを掻き分けて呼び鈴を鳴らしてみた。

「すんませーん。ガソリン入れてもらえませんかー?」

わずかに人の気配がしたが、返事はない。

「シカトされとんのかね」

「なんかムカつくわ。もう一度押してみいや」

「すんませーん!」

しつこく呼びかけると玄関の灯りが点き、ガラス戸の向こうに人影が現れた。

 

「誰や?」

「ガソリン欲しいん…」

「今日は休みや」

オレが言い終える前に、苛立ったような声が返ってくる。

「いや、まぁそこを何とか…」

「あかん。今日はもう開けられん」

取り付く島もなかった。諦めて車に戻る。

「これだから田舎はアカン」

「しゃーないな。今日はここで寝よ。当てつけに明日の朝一でガス入れてこうや」

車を止められそうな所を探して集落をウロウロすると、GSだけでなく全ての商店や民家が門を閉ざしていることに気付いた。

よく見ると、どの家も軒先に籠や笊をぶら下げている。

 

「なんかの祭やろか?」

「それにしちゃ静かやな」

「風が強くてたまらん。お、あそこに止められんで」

そこは、山腹の小さな神社から海に向かって真っ直ぐに伸びる石段の根元だった。

小さな駐車場だが、垣根があって海風がしのげそうだ。

鳥居の陰に車を止めると、辺りはもう真っ暗でやることもない。

オレたちはブツブツ言いながら、運転席で毛布に包まって眠りについた。

 

 

何時間経ったのか、犬の唸り声で目を覚ましたオレは、辺りの強烈な生臭さに気付いた。

犬は、海の方に向かって牙を剥き出して唸り続けている。

普段は大人しい奴なのだが、いくら宥めても一向に落ち着こうとしない。

友人も起き出して闇の先に目を凝らした。

月明りに照らされた海は、先ほどまでとは違って、気味が悪いくらい凪いでいた。

コンクリートの殺風景な岸壁の縁に蠢くものが見える。

「なんや、アレ」

友人が掠れた声で囁いた。

「わからん」

それは最初、海から這い出してくる太いパイプか丸太のように見えた。

蛇のようにのたうちながら、ゆっくりと陸に上がっているようだったが、不思議なことに音はしなかった。

と言うより、そいつの体はモワモワとした黒い煙の塊のように見えたし、実体があったのかどうかも分からない。

その代わり、ウウ…というか、ウォォ…というか、形容し難い耳鳴りがずっと続いていた。

そして先ほどからの生臭さは、吐き気を催すほどに酷くなっていた。

 

そいつの先端は、海岸沿いの道を横切って向かいの家にまで到達しているのだが、もう一方はまだ海の中に消えている。

民家の軒先を覗き込むようにしているその先端には、はっきりとは見えなかったが明らかに顔のようなものがあった。

オレも友人もそんなに臆病な方ではなかったつもりだが、そいつの姿は、もう何と言うか「禍々しい」という言葉そのもので、一目見たときから体が強張って動かなかった。

心臓を鷲掴みにされるってのは、ああいう感覚なんだろうな。

そいつは、軒に吊るした笊をジッと見つめている風だったが、やがてゆっくりと動き出して次の家へ向かった。

「おい、車出せっ」

友人の震える声で、ハッと我に返った。

 

動かない腕を何とか上げてキーを回すと、静まり返った周囲にエンジン音が鳴り響いた。

そいつがゆっくりとこちらを振り向きかける。

(ヤバイっ)

何だか分からないが、目を合わせちゃいけない、と直感的に思った。

前だけを見つめ、アクセルを思い切り踏み込んで車を急発進させる。

後部座席で狂ったように吠え始めた犬が、
「ヒュッ…」
と喘息のような声を上げてドサリと倒れる気配がした。

「太郎っ!」

思わず振り返った友人が
「ひぃっ」
と息を呑んだまま固まった。

「阿呆っ!振り向くなっ!」

オレはもう無我夢中で友人の肩を掴んで、前方に引き戻した。

向き直った友人の顔はくしゃくしゃに引き攣って、目の焦点が完全に飛んでいた。

恥ずかしい話だが、オレは得体の知れない恐怖に泣き叫びながらアクセルを踏み続けた。

 

それから、もと来た道をガス欠になるまで走り続けて峠を越えると、まんじりともせずに朝を迎えたのだが、友人は殆ど意識が混濁したまま近くの病院に入院し、一週間ほど高熱で寝込んだ。

回復した後も、その事について触れると激しく情緒不安定になってしまうので、振り返った彼が何を見たのか聞けず終いのまま、卒業してからは疎遠になってしまった。

犬の方は、激しく錯乱して誰彼かまわず咬みつくと思うと泡を吹いて倒れる繰り返しで、可哀そうだが安楽死させたらしい。

結局、アレが何だったのかは分からないし、知りたくもないね。

ともかく、オレは海には近づかないよ。

 

以上が同僚の話。

昔読んだ柳田國男に、「笊や目籠を魔除けに使う風習」と、「海を見ることを忌む日」の話があったのを思い出したが、今手元にないので比較できない。

ちくま文庫の『柳田國男全集 第6巻』の「一つ目小僧その他」にある話に似ている?

海難法師とは?

海難法師(かいなんほうし)とは、伊豆七島に伝わる幽霊の一種。地元では“かんなんぼうし”と呼ばれる。

水難事故で死亡した者の霊とされる。盥にのって沖からやって来て、その姿を見たものは同様の死に様を晒すと言われている。

 

海難法師の事の起こりは江戸時代、寛永5年のことである。

豊島忠松(とよしまただまつ、豊島作十郎。)という悪代官(八丈島代官)が島民たちを苦しめて、憎まれていたという。

そこで島の人々は忠松を殺すために、わざと海が荒れる日を選んで島巡りをするように勧めたのである。

まんまと罠にはまった忠松は、言われた通りに海に出て波に呑まれて死んでしまった。

それ以来、毎年旧暦の1月24日になると、島民たちに騙されたことを怨む忠松の霊が、海難法師となって島々を巡るのだという。

別伝では代官を殺そうとしたまでは同じだが、村の若者25人が暴風雨の夜にそれを決行し、船で逃亡した。

しかし、かくまってくれる島や村はなく、さまよった挙句、1月24日に海難事故で全員が死亡した。

村人に裏切られ、この世に恨みを残して死んだ怨霊が島々を巡るという顛末になっている。

この25人の霊は日忌様(ひいみさま)と呼ばれ、伝承の発祥地とされる伊豆大島の泉津地区にはこの日忌様の祠が祀られている。

 

伊豆七島では、1月24日は決して外に出てはならず、人々は震えながら家にこもっていなければならないのだという。

その際には門口に籠をかぶせ、雨戸に柊やトベラなどの匂いが香ばしい、魔除けないしは厄を払うとされるような葉を刺し、普段は外にある便器も屋内に置いて、または瓶や甕などの空き容器を使用して用を足した。

便所などのためにどうしても外出しなければならないときは、頭にトベラの葉をつけた、あるいは袋を被って風景(特に海)を見ないように移動した、という。

この戸などに刺したトベラは翌日に燃やし、そのときに激しい音がして膨れるとその年は豊作になるといわれた。

ある者がこの伝承を小馬鹿にし、戸締りをせずに外出したところ、なぜか顔中血まみれになって帰ってきたという。

また同様にこの迷信を信じない者が、家の戸に差したトベラを捨てて戸を開けたところ、なぜかその者は口がきけなくなり、精神病院に入院してしまったといわれる。

また伊豆大島の泉津地区では、門井という旧家が海難法師の25人の霊を迎え入れる役目を持ち、その役を受け継いだ者は1月24日にただ1人浜辺に座り、波風に夜通し晒されつつ、霊たちの帰りを待ち続けるという。

伊豆七島では1月24日は物忌みの日であり、人々は仕事を休んで家にこもる風習があったが、それが何者かが襲ってくる日という意味にとられ、海難法師の伝承が生まれたとの説もある。

出典元:ja.wikipedia.org

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コメント

    • 名前: 匿名
    • 投稿日:2016/05/31(火) 20:17:43 ID:U4MzQ2MTg

    昔呼んだことある。能登だったでしょうか。

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