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東北地方に伝承されている礫ヶ沢の鬼礫という鬼の石伝説

この記事の所要時間: 913

礫ヶ沢のつぶておにの話をしようと思う。

うちからそう離れてない山の中の小さな川なんだけど、そう言う名前のところがあるんだ。

その名前の由来というのが昔話からなんだけど、その昔話に出てくる鬼の礫というのが変わった石で、大きさはまちまちなんだけど鬼が握った後のような模様がついている。

確かにそれは石なんだけど、ぶつけられても痛くない。

多分、粘土かなんかじゃなかろうかと思うんだけど、握ってみると普通の石くらい硬いのよ。

その鬼の礫が、礫ヶ沢を探すとたまーに見つかったりするんだ。

でも、それをうちに持ち帰ってはいけない、と言う決まりになっていて、
「鬼の礫は向こう岸」
と言って、川に投げ込まなければならないんだ。

その理由をばあちゃんに聞くと、
「昔話みたいに鬼がやってくるから」

そう言うんだよな。

当然、ほんとにー?とか言う訳なんだけど、その度にばあちゃんの子供の頃の話を聞かされる訳よ。

 

ばあちゃんの子供の頃の話というのが「つぶておに」という、鬼ごっこみたいな遊びをしたときの話でさ。

簡単に言えば、鬼が石を持って鬼じゃないヤツにぶつける、ぶつけられたらそいつが鬼になって石を持って追いかけるというもの。

ちょっと変わってるのは、鬼が使う石は鬼の礫で、その石の交換は出来ない。

だから、ぶつけそこなうと、それを探している間かくれんぼの様を呈してくる。

そして、ここからが大事なんだけど、遊び終わって帰るときはその石を川に投げ込み、
「鬼の礫は向こう岸」
と叫ばなければならないということ。

これは、終わりの合図にもなっていたと思うんだけど、実はそれだけじゃないらしい。

 

 

前置きが長くなったけど、ばあちゃんの子供の頃の話。

 

つぶておにで遊んでいたばあちゃんと近所の子供達。

その日、ばあちゃんは家の都合で先に帰ったんだけど、その残りの子供達が遅くまで遊んでいたのね。

日が暮れた後で、そいつ等は帰ってきたんだけど。その晩、凄いことが起こったらしいんだ。

村のある家で、一家惨殺事件が起こったのよ。

爺、婆、お袋と包丁で滅多刺しにされた姿で翌朝発見されてさ。
(親父は出稼ぎ中でいなかった)

イヤなことに、その死体は肝が食い荒らされていた。

そんで、そこの子供の姿はなかったモンだから大騒ぎだったらしい。

せめて子供だけでも、と言うことだったんだろうね。

 

ところがさ、それを聞いて青ざめたのが一緒に遊んでいた子供達で、
「じつは大変なことをした」
と、ばあちゃんにこっそり話した訳よ。

 

それは、最後に鬼になったのが例の家の子供で、礫を探している間に、みんな帰っちゃったらしいのよ。

そして、ここからはばあちゃんの推測なんだけど、
「暗くなって誰もいない河原で石を見つけたヤツは、そのまま石を持って泣き帰ったんじゃないか」

そう思ったわけ。

ところが「鬼の礫は~」をしていないから、鬼がついてきたんじゃ無かろうか、と。

子供心に心配になったばあちゃんは、村のお寺のお坊さんに相談に行ったんだって。

そしたら、婆ちゃん、坊さんに怒られる怒られる。

なんか、一生分怒られたかと思うくらい怒られたんだって。

「今思えば、やったのは自分じゃないから理不尽この上ない」

そう笑って話してくれたけど、とにかく凄い剣幕だったんだって。

そんなわけで、坊さんは村の駐在さんと村長さんを呼んで何やら話し込んでたんだけど、婆ちゃんは子供だから蚊帳の外。

その後、大人達がいろいろしている間に、子供が見つかったそうな。

婆ちゃんは心配になって会いに行ったら、縄でぐるぐる巻きにされて駐在さんに引きずられている。

ヤツの表情は凄い面変わりしていて、まるで獣のような表情だったんだって。

そして、そのとき婆ちゃんはしっかり見たんだそうだ。

子供の手に鬼の礫があるのを。子供の影に角が生えていたことを。

それ以来、その事件は村の忌み事となって話題にはあがらないし、つぶておにもしてはいけない遊びになってしまったと言うこと。

まあ、婆ちゃん達自体が怖くてもうする気はなかったみたいだから、あえて禁止するまでもなかったといってるけど。

 

 

実は、ここまでが前ふりだったりする。

 

今年の夏、うちの実家に大学の友達3人が遊びに来たんだ。

まあ、キャンプをするのに手頃な河原はないか、ってことで礫ヶ沢を推薦したんだけどね。

それで、河原で2泊ほどして帰ったんだけど、そのときつぶておにの話をした訳よ。

そのとき一緒にいた友人をA、B、Cとすると、オカルト好きのAが早速やってみないか、そう言うんだ。

けど、婆ちゃんの真剣な表情を見ている俺は断固拒否。

BとCはそう言った方面には全く興味がないから、
「いやがる奴がいるなら、あえてするまでもない」
ということで、その場は終わりになったんだ。

 

夏休みも終わり、大学が始まって秋口になり、気が付くとAを学校で見なくなったんだ。

おかしいなー、と思ってBやCとも話していたんだけど、そのときBが思いだしたように行ったんだ。

「そう言えば、やつ(A)先々週あたりお前の実家行くって言ってたぞ」

「?、なんで」

「なんでもオカルト研の連中に例の礫の話をしたら盛り上がったんだって」

それを聞いた俺は、イヤな予感に包まれたんだ。

オカルト研の連中に話を聞いてみようと思ったんだが、奴らの活動場所が分からない。

すると、Cもイヤなことを言い出すんだ。

「そう言えば、俺の知り合いにオカ研がいるんだけどそいつも最近見ないな」

益々、イヤな予感が強くなる俺。

正直関わり合いになりたくなかったんだけど、このままってのも気分が悪いので、とにかくAの家に行ってみよう。

そういうことになったんだ。

 

Aのアパートに行く途中、近くのコンビニに寄ったら偶然Aとバッタリあった。

始め、何かやたら挙動不審な奴がいるなと思ったら、それは酷くおびえたAだったんだ。

俺たちがAに声をかけると、Aは凄いおびえた表情で逃げようとした。

が、俺の顔を見たとたん、Aは凄い勢いでまくし立てたんだ。

いや、正直もう何を言っているかも分からなかったんだけど。

とにかく、凄い怯えようで、俺たちはAのアパートに連れ込まれた。

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