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伏龍のような人間機雷が夢に出た臨海教室

この記事の所要時間: 50

はるか昔、俺が小学5年生のときの話だ。

俺の小学校では、毎年夏になると、5年生全員が千葉県の○○という海辺の町で、「臨海教室」という合宿をやっていた。

合宿といっても、小学生のことだから、昼間は海で泳いだり、夜は肝試し大会でキャアキャア騒いだりと、要するにレクリエーション大会みたいなもんだ。

だいぶ昔のことで細かいことは忘れてしまったけれど、東京の小学校だったので、海に来たってだけで、男子も女子も皆おおはしゃぎだった。

夜、肝試し大会の前に、男の先生が生徒全員をまえに怖~い怪談を一発ぶちかまし、ベソかいて肝試しに行けなくなった女の子がいたり、肝試しコース途中のおばけ役の先生を
「そんなの怖くないよ」
と笑いとばした男子の頬に、別の先生が竹ざおに吊るしたコンニャクをベチャとくっつけて腰を抜かさせたりと、とても楽しい「臨海教室」だった。

 

 

俺たちが泊まったのは、海岸に近い古い木造の民宿の2階だった。

消灯してからもしばらくは友達どうしでコソコソ話をしていたけれど、そのうちに皆、寝息をたてはじめた。

俺は昼間はしゃぎ過ぎたせいか、なかなか眠れなかった。

電気は消されているけど、窓はあいていて、そこから外の月明かりがわずかに入ってくる。

そのぼんやりした光で、闇のなかにクラスメートたちの輪郭が、かすかに浮かびあがっている。

聞こえてくるのは、皆の寝息と、永遠に続くかのような海岸の波の音だけだ。

そのとき、誰かの言葉がきこえた。

 

「○○○○…」

 

今となっては、何と聞こえたのか覚えてないのだが、言葉ははっきりしていた。

誰の声かわからなかったが、誰かが寝言を言ったのだろうと思った。

闇のなかを眼をこらすと、誰かが立っていた。

外からかすかな光ではほとんど見えないが、大人の背丈だった。

ただ、頭部には大きな円筒形のようなものを被っていて、背中にはなにか筒のようなものを背負っているように思えた。

昔のSFに出てくる古いロボットのような気がした。

夢をみていたのかも知れない。実際、ここから先は、まちがいなく夢だ。

 

 

俺はうす暗い海底を歩いていた。上に海面がきらめいて見える。

海底のなだらかな斜面の下の方から、誰かがゆっくりこちらに向って歩いてくる。

円筒形の金属マスクを被り、だぶだぶのゴムのようなもので全身をつつんだ人間が、右手に長い棒をもって、ゆっくりこちらに向って歩いてくる。

円筒形のマスクの後からはゴム管が出ていて、それが背中のボンベのようなものに続いている。

足には重そうなブーツ。右手の長い棒の先には、なにか箱のようなものがついている。

古いロボットのような姿。

 

それは一人ではなかった。

見ると、同じ姿をした10人ほどのロボット人間が、左右に一列にひろがって、同じようにゆっくり歩いてくる。

みな右手に、箱のついた長い棒をもって。

一人のロボット人間のマスクから、突然、大量の泡が吹き出した。

そのロボット人間は、もがくように胸元をかきむしり、膝を折ってうずくまると、閃光とともに音もなく爆発した。血肉と白煙が海中に飛散した。

俺が驚いて呆然としていると、別の一人もまた、同じように大量の泡を吹き出してもがき苦しみ、音もなく爆発した。

そうして、10人ほどいたロボット人間たちは、次々ともがき苦しんでは爆発していった。

海中には、飛散した彼らの血と肉が大量に赤黒くただよった。

 

「○○○○…」

 

また、先ほどの言葉が聞こえた。

それが何であったのかは覚えていないが。

俺は夢の印象が強烈で、翌日はほとんど誰とも話さなかった。

まわりが大はしゃぎしているのに、俺だけがめずらしく静かなので、担任の先生が体の具合を心配してくれたほどだ。

 

夢のことは長いこと忘れていたが、後年、作家の城山三郎が自著で、太平洋戦争末期に人間を機雷代わりに使う特攻作戦があった旨を書いているのを読んだ。

この特攻作戦の兵士の装備が、俺が夢に見たのとほぼ同じだった。

もっとも、この部隊が訓練していたのは神奈川県の横須賀で、俺が行った「臨海教室」は千葉県の○○だから、場所はちがっている。

横須賀から東京湾の底をあるいて千葉まで来たって事もないだろうが…。

伏龍とは?

伏龍(ふくりゅう)は、第二次世界大戦(太平洋戦争(大東亜戦争))末期の大日本帝国海軍による特攻兵器のひとつ。人間機雷。

潜水具を着用し棒付き機雷を手にした兵士により、本土決戦における水際撃滅を狙った特攻兵器として、1944年に開発された。

名称は「伏竜」ではなく「伏龍」と記述するのがより正確である。

 

伏龍は海軍軍令部第二部長(戦備担当)黒島亀人少将の発案によるものといわれる。

陸軍の肉薄攻撃(梱包爆薬を抱いて戦車に体当たりする)にヒントを得て考案された。

航空機による特攻作戦は既に実施されていたが、1945年(昭和20年)の沖縄戦では九三式中間練習機まで投入され、予科練の生徒たちは乗る飛行機がなくなり余剰人員となっていた。

伏龍は、これらを「有効に活用」するため考案された兵器の一つである。

もとはB-29が投下した磁気機雷を掃海するために開発されていた簡易潜水具を攻撃兵器に転用したもので、実験は横須賀防備戦隊で行われた。

本土決戦では、まず特攻機が米軍の機動部隊に体当たりし、輸送艦などが接近すれば人間魚雷回天や特攻艇震洋などの水上特攻部隊が迎撃、そして上陸用舟艇を水際で迎撃するのが伏龍という構想であった。

出典元:ja.wikipedia.org

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