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海岸からいざなう者達が起こす水難事故の悲しくも抗えぬ実態を知っていたA君

 2015.09.19     悲惨な話     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
海岸からいざなう者達
この記事の所要時間: 525

その頃、私は海岸近くの住宅工事を請け負ってました。

季節は7月初旬で、昼休みには海岸で弁当を食うのが日課でした。

初めは一人で食べに行ってましたが、途中から仲良くなった同年代の下請け職人も誘って一緒に食べに行くようになりました。

何時ものように海岸に行くと、普段は人気の無い海岸ですが、その日は10~12歳位の子供が4人程、波打ち際で遊んでました。

ちなみに、ココの海は遊泳禁止となってはいましたが、私も子供の頃はココで仲間と泳いだりした事もあったので特に気にもしませんでした。

 

 

その日も海岸で弁当を食おうかと思っていたら、A君が
「今日は日差しが強くて暑いから、現場内の日陰で食おうぜ」
と言って来た。

まぁ、確かにその日は特に陽射しが強くて、外で食うには暑すぎると思ってその場を去りました。

現場内の日陰で弁当を食べていると、何やら外が騒がしい。

パトカーやヘリが飛んでる音も聞こえる。

何だろか?と思って外を見に行こうとAを誘いました。

A「あ~俺は辞めとく。」

私は外が気になって仕方が無いのでAは置いて、他の職人さん達と一緒に野次馬に行きました。

 

どうやら、人だかりが出来ているのは、何時も私がAと飯を食っていた海岸でした。

既に集まっていた野次馬に話を聞いてみると、海で遊んでいた子供が一人、波に飲まれて行方不明だと。

確かに、さっきまで海岸で遊んでいた子供の数が一人減っていました(涙)

私は後悔しました。

何時も通りこの海岸で弁当を食べていれば、波に飲まれた子供をいち早く発見できたし、泳ぎにも自信がありましたので、もしかしたら助ける事も出来たのではないかと。

 

少し後ろめたい気分になってAの所まで戻り、Aに海岸での事を話しました。

「今日もあそこで飯食ってたら、俺らが何か出来たかもしれないよな」
と私が言うと

Aが
「ははは、無理だって。だから、俺は今日あそこで飯食うの嫌だったんよ」

私は意味が解らなかったので、Aに詳しく話を聞いてみると・・・

 

A:「あそこって遊泳禁止なだけあって色々とある訳で、こんな事言うからって変な目で見ないで欲しいんだけど色々とある訳よ。
お前はソッチ系には疎いみたいだから言わないでおいたんだけど、現場の中で弁当喰った方が涼しいのに何でお前は毎日海岸で弁当食べたがったの?」

私:「そりゃ、海見ながら外で飯喰った方が美味いと思って…。」

A:「その割にはお前は、毎日暑い、暑い言いながら弁当喰って弁当喰い終わったらスグに事務所戻って涼んでただろ?」

そう言われると、確かに海岸で弁当喰い始めたキッカケは海を見ながら食べた方が気持ち良いと思ったのですが、2日目以降は、何であんなに日陰も無いクソ暑い場所で弁当を食い続けてたのか我ながら不思議に思いました。

 

A「”あいつ等”の狙いは初めからお前で、ず~っとお前は”あいつ等”に呼ばれてたんだよ」

私「???」

Aは初めて現場で私に会った時も、私が海にいる”あいつ等”から誘われてるのを感じていたらしい。

とは言っても、そんな事を初対面、しかも元請の監督に真顔で話しても馬鹿にされるし、下手したら追い出されるだけなので、毎日弁当に付き合って監視してたらしい^^;

Aは私が”あいつ等”に誘われてるのは分かっていたけど、中々その”あいつ等”の姿をAも見ることは出来なかった。

どうやら、霊?の方は一方的に私に意識チャンネルみたいな物を合わせ、もっと波際まで引き寄せたがって居るらしかったのですが、肝心の私が鈍すぎて手こずってたらしい。

 

A:「だから”あいつ等”は、お前の目の前で子供を海に引き込もうとした訳だ。

”あいつ等”からしたら子供の方が、頭が固いお前と違って誘い易いしな。

そうすれば、お前が子供を助けに海に入ってくる事を知ってたんだなぁ、”あいつ等”は。

まぁ俺が邪魔したから子供が身代わりになっちゃった訳だけど…。

今日は”あいつ等”とピッタリ波長が合う子供が遊びに来たせいか、今日は俺の目にもハッキリ”あいつ等”が見えたよ。

俺がお前を海岸から連れ戻した時の奴らの雰囲気は俺もちょっと怖かったよ、本命のお前を連れ戻されて怒ったのかなw」
とAが笑いながら話してくれました。

 

って…

そこまで分かってて、何で遊んでた子供を放置したのかとAに問いただすと・・・

 

A「お前は誘われてるクセに何も感じないから、そんな事言えるんだよ。

子供等が遊んでた場所は完全に”あいつ等”の領域入ってたし、お前だってアレが見えるなら絶対近づけないし関わり持とうなんて思えないって。

お前を海岸から現場内に連れ戻しただけでも俺って勇気あるな、エライな~て思ったよ。

本当凄かったよ、奴らの恨めしいそうな顔。」

 

Aが言うには、見えない、感じない人は無意識に誘われてる事があると言ってました。

また、誘われてる事にも気が付かないらしい。

だから逆に、見える、感じる人は危ない場所には下手に近づかないらしい。

 

A「お前だって、道路で子供が刃物持ってる男に追いかけられてたら、身を挺して阻止できるか?

普通出来ないよな。

それは、関わった後の面倒を知ってるからだ。

それと一緒で、俺も見えたからって人助けするほど、俺はお人良しじゃ無い。

相手が人間なら通報する事はできるだろうけど、相手がこの世の者じゃなかったら警察も相手してくれないし。

まぁ面倒事に巻き込まれるのは御免だよ。

でも〇〇君(私の名前)とは気が合ったし、知らん顔して何かあっても気分悪いからね」

 

この水難事故は、夕方のニュースでもチラッと流れました。

私は、夜中に気になって海岸まで車で見に行きました。

まだヘリは海岸沿いを飛び回り、沢山の人が灯りを持って海岸を捜索してました。

 

 

自分では『お人良しじゃない』と言っていたAでしたが、彼は去年の秋に川で溺れてる子供を助けて自分だけ逝ってしまいました。

2度目は、見て見ぬフリは出来なかったのかな…。

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