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殺された母が遺したメモ

この記事の所要時間: 320

ある夜、ふと目が覚めました。

おれは、寝付きがいいので夜中に目が覚めることはめったに無いのですが、その日は熱帯夜だったので寝汗だらけで目覚めました。

当然家族は寝てるので、夜はいつも忍び足で皆を起こさないようにしていました。

俺は一階のトイレに行き用を足そうとしたのですが、何か物音がきこえます。

和室の明かりが点いてる。

 

おかしいと思い、ふすまを少し開きました。俺は恐ろしくて、固まりました…

父が、母の首を絞めているのが見えました…

状況が全然読み込めない。

母が大人しくなると、父は押し入れに隠しました。

そこまで見ると、これは現実なんだと言うことに気付いておれは足音を立てずに急いで部屋に戻りました。

ベッドに入り、おれはガクガク震えていました。

 

俺は全く眠れず、朝になりました。

自室から出ると、朝食の臭いがする。もしかしたら、あれは幻覚ではないのか?

キッチンに行くと父が、トーストを焼いている。

「…母さんは?」

「ああ、今日は仕事でしばらく出張になるそうなんだ。」

「…そ…そう…」

やっぱり昨日のは現実なのか?!内心ぐちゃぐちゃになりながらも反射的に平静を装っていました。

父は普段通りの優しい顔をしています。

「お父さんもうすぐ会社に出るけど、駅まで一緒に行かないか?」

でもその日は、俺はちょうど夏休みに入る日でした。

「言ってなかったっけ、俺今日から夏休みなんだ…」

父の顔が一瞬曇ったように見えました。

「そう…」

俺は父を見送ると、和室に向かいました。

昨日のは現実だったのか?俺の妄想なのか、確かめる為に…

 

 

ふすまを開けると、昨日殺されたはずの母はいませんでした。

おれは凄くほっとして、その場にへたりこんでしまいました。

「何してるんだ?」

「うああああっ!」

後ろに父が居ました。

俺は凄い表情をしてただろうと思います。

「か、会社は…?」

「やっぱり父さん、今日は会社を休むよ。」

ふと見ると、父は金づちやのこぎりの入った大具道具を持っています。

「そ、それは…?」

「ああ、たまには日曜大工でもしようと思ってな」

淡々とした口調で父は言います。

母は居なかった。でも父はのこぎりを持ってきた。

俺は落ち着いて考えてみようと思い、キッチンで水を飲みました。

水を飲んだ後、なにか臭いがすることに気付きました。

ハエが飛んでいます、床下収納に向かって。

 

床下を開けると、母が居ました。小さく体を折り畳んで。

おれは状況を飲み込めないまま、泣いていました。

「仕方なかったんだ…」

すぐそばに父がいました。

「なんで…」

「母さんは、お前と父さんを捨てて、他の男と出ていこうとしたんだ…借金までつくって…その上、父さんを殺そうとしたんだ…」

俺は返事ができませんでした。

昨日まで平穏だったこの家が、もう自分の家だとは思えなくなってきました。

「父さん、片付けるから」

そう言って、父はのこぎりを持ちました。

俺は見ていられなく、自室に入りました。

 

どうしたらいいのか全くわからない。

警察に電話するべきだろうか、父を擁護するべきだろうか

いろんなことがぐちゃぐちゃになって思考ができなくなりました。

何かがベッドの下に何か落ちていました。

メモのようでした。

おそるおそる中を見ると、なぐり書きの字でこう書いてありました。

 

「●●(俺の名前)はやくにげて。パパはくるってる。ママ」

 

その後、父は母と一緒にいなくなってしまいました。

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