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開かずの間があるペンションと指輪の行方

怖いペンション
この記事の所要時間: 646

大学時代にサークルの先輩から聞いた話です。

当時高校生だった前述の先輩の友達が体験したそうです。

その先輩は高校時代は部活には入っておらず、同好会として放課後十数人でサークルのような活動をしていました。

同好会の名の通り部活ではないので部費というものが我当てられるはずも無く・・・。

部長もしくはそれに近い立場の人間一人もしくは二人が、毎年夏休みに形だけのいわば顧問の先生の知り合いがやっているペンションで住み込みで2週間程バイトをして、同好会の部費に当たるお金を稼ぐのが代々受け継がれている言わばしきたりのようなものでした。

先輩(仮にA先輩とします)が3年になったときにその友達が部長になり、部長の彼(Bさん)が夏休みにペンションにバイトに行く事になったそうです。

 

ペンションに着いたBさんは、早速顧問の先生の知り合いのペンションオーナーと面通しすると施設の部屋数や施設、仕事の内容などの説明を受けました。

長期休暇という言わばペンションにとって稼ぎ時なだけに、仕事量の多さに絶句しながらもふとペンションの見取り図を片手にペンションの中を案内してもらうと、ふと疑問に思う出来事にあいました。

かきいれどきで満室が続いているにもかかわらず、2階の2-2号室の扉に使用厳禁と書かれた張り紙がされて、その部屋だけ使われていないのでした。

その件に関してオーナーに尋ねると、
「あぁ、ここはエアコンが故障しててね、去年から使って無いんだよ」
と一言。

去年までは?とさらに疑問に感じ詳しく聞き返すと、
「・・いや、ちょっとな・・・。」
と怪訝な表情でオーナーは言いました。

ちょうど休憩時間になり、Bさんは他の従業員の人たちにこの事に関して問いただして見ることにしました。

「ココってもしかして幽霊がでる開かずの間ですか?(笑)」
とBさんが尋ねると、それまで談笑していた従業員達の顔が一気にくもりその場はシーンとなってしまいました。

Bさんが
「もしかしてやばい事聞いちゃいました・・・か?」
と言うと、Bさんの隣に座っていた男の従業員がおもむろに口を開きました。

「・・実は、そうなんだよね・・・・。」

その従業員の話によると、ちょうど去年の今頃まではその部屋は普通に使われていたそうです。

このペンションは予約制なんですが、ちょうど去年の今頃、旅行系の雑誌のフリーライターをやっている女性がアポ無しでペンションにやってきたそうです。

本来なら予約していない客は泊めない事にしていたオーナーでしたが、このお客に関しては旅行系雑誌のフリーライターという事で、もしかしたら宣伝になると思い、ちょうど空いていた2階の2-2号室に止まってもらう事にしたのでした。

 

料理にもいつも以上に手をかけ、いざ食事の時間になり2-2号室の女性客を呼びに行ったオーナーの奥さんは、とんでもない物を見てしまいました。

浴室のドアノブに紐をくくりつけて首を吊っている女性の死体でした。

部屋の中には遺書があり、プロポーズしてもらった男性に裏切られた事を悩んでの自殺という事でした。

それ以降、この部屋に泊まった客からは、エアコンやテレビがいきなり止まったり勝手に付いたり、夜中に風呂場から女性の泣くような声が聞こえたり、風呂場のドアが勝手に開いたりというふうに怪奇現象のようなものが起こるとのクレームがあったそうです。

そして、事件後まもなく封鎖して去年から開かずの間として封印していたという事です。

Bさんは霊現象やそのたぐいは一切信じないタイプでした。

その話を聞いたBさんは、バイトの2週間の期間その部屋に自分を泊まらせてくれとオーナーに申し出ました。

本来なら従業員専用の相部屋に2週間泊まる予定だったので、本来なら一般客に開放する部屋だけに従業員部屋とは雲泥の差なうえに、自分がそこに泊まって何も起きなければこれから普通にこの部屋を開放できて売り上げにも貢献できると考えたのでした。

オーナーは渋りながらも、去年から一年たっているし、とりあえずOKを出す事にしました。

Bさんは大喜びで2-2号室に荷物を移動しました。しかし、それを怪訝な表情で見るオーナーの杞憂も無駄に終わりました。

Bさんはバイト期間の2週間を何事も無く過ごしてしまったのでした。

そう、バイトの期間の2週間までは・・・

 

 

バイトを終え、予想以上の働きでかき入れどきに多大な貢献をしたBさんは、オーナーから臨時手当をもらうと上機嫌で下宿している寮へ帰っていきました。

翌日の朝、ふと携帯の呼び出し音で目覚めたBさんは携帯に出ました。

B「はいもしもし・」

「・・・はど・こ・・」

B「・・え?もしもし?誰?」

「・・ぃわは・・どこ?」

ガチャッ。ツーツーツー・・・

間違い電話か?と思い気にも留めず、Bさんは下宿先の自分の部屋で夏休みの宿題を始めました。

 

次の日の夜、だいぶ宿題もこなしそろそろ寝ようかと思った頃、叉携帯に電話がかかってきました。

ピッ・・

B「もしも~し」

「ぅび・・わはど・・こ・・・?」

B「・・はい?誰ですか?」

「ゆ・・ぃわ・・・はど・・こ・・?か・・え・・・て・・」

うわ、いたずら電話?気持ち悪いなぁと思い、Bさんは携帯を切りました。

ちょっといやな予感を感じながらも、気にしないように勤めながらBさんは眠りに付きました。

 

ふと目が覚めると、夜中の2時でした。

のどが渇いたBさんが、ふと冷蔵庫に手を伸ばそうとした瞬間、携帯が鳴り響きました。

誰だこんな時間に、彼女の○○かな・・と番号非通知の表示を推理しながら携帯にでました。

B「誰?」

「・・ゆびわか・・えし・・・て・・」

B「(まさか)」

「・・指輪返して・・・」

Bさんは全身にいやな汗がどっと噴出してくるのを感じました。

思い出したのです。バイト最終日に自分が泊まった2-2号室を大掃除していた時に、ベッドの裏から出てきた綺麗なトパーズで出来た指輪を黙って持ち帰ってきてしまった事を・・・。

そして、それを当時付き合っていた彼女にバイト代で買ったと嘯いてプレゼントしてしまったことを・・・。

「・・返して・・ゆ・・び・・・わ・・・」

この世のものじゃない。

電話をブチ切ったBさんは、彼女が心配になり彼女の携帯に電話をかけましたが、電源が切れているらしく出ません。

その後は、携帯の電源を切って眠れない夜を過ごしました。

 

次の日、朝一番で彼女の家に向かったBさんは見てしまいました。

彼女の家の風呂場のドアノブで、首を吊っていて薬指が根元から無くなっているBさんの彼女の姿を・・。

彼女の部屋には、粉々になった携帯が散乱していたそうです。

Bさんは半分狂いそうになりながらも指輪を探しました。

おそらく半狂乱になり、どこかに投げ捨ててしまったであろう彼女だけしか、いや、彼女さえもどこに投げ捨てたか理解できていないであろう指輪を必死に・・・。

 

 

その後、Bさんってどうなったんすか?と私がサークルの先輩に聞くと、ノイローゼになったBさんは両耳の鼓膜を潰し、精神病院に入院しているそうです。

退院してもしばらくするとまた鼓膜を自ら潰してしまい、入退院を繰返しているそうです。

私が、Bさんとはたまに連絡取ってるすか?と聞くと先輩は一言、
「取ってない。いや、取れないって言った方がいいのかもな・・。」

どういう意味ですか?と聞くと一言・・

 

「だって、あいつの実家。今は電話を家族全員使ってないんだ・・・。」

画像出典元:home.f01.itscom.net/spiral/

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