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伊豆の下田方面にある岬にいたウサギの耳と嫌な予感

この記事の所要時間: 249

家族で伊豆の下田方面へ行った時の事です。

下田の町に入る直前に左に曲がる交差点があり、そこを左折すると有名な岬が有ります。

季節は冬。確か水仙が沢山咲いているということで、そこに向かいました。

途中、天皇さんのご用邸とかが有り、その広い敷地に沿って進むと駐車場に着きました。

海岸を歩きながら水仙を見ましたが、当日風が強く、物凄い寒さで早く帰りたいと思っていました。

しかし、子供は元気です。

 

「あそこに灯台があるよ。」

 

私の手を引いて、小高い岬の上へと続く階段を上って行きました。

妻と下の子は、寒さのため車に戻っています。

階段を登り終わると、そこは芝生に覆われていて左手は岬の先端となり、灯台が有りました。

2人は灯台へと向かいました。

もうすぐ灯台に着こうという時、

 

「ウサギさんがいるよ。」

 

子供が叫びます。

子供が言う方向を見ると、確かにウサギの耳が見えます。

灯台の周りには欄干が有るのですが、岬の最先端の所の欄干の下(踊り場の下)からウサギの耳が”ぴょこん”出ています。

きっと、岬の先端の欄干の下にちょっとした遊び場が有り、そこにウサギがいて耳だけ出していると思っていました。

子供は、夢中で走り出します。

でも、何か嫌な気がして、
「ちょっと待って。」

子供は、聞いていません。

 

「○○、待ちなさい。」

大声を上げると”びくっ”とした様子で子供は立ち止まり、恨めしそうな顔をしてこちらを見ます。

私も怖くなるような物凄い恨めしそうな顔でした。

私は、子供の所へ駆け寄り、手を握りました。

「おとうさん、どうしたの。」

「危ないから、怒鳴ったんだよ。」

「怒鳴ったの?」

「えっ」

取りあえず、手をつないで灯台へと向かいました。

既に、ウサギの耳は見えません。

 

「ウサギさん逃げちゃったね。」

 

残念がりながら灯台まで行き、灯台の周りの踊り場に立って欄干の所に行こうとした時、”ゾッ”としました。

欄干の下は、直接断崖絶壁となっていて遊び場など有りません。

小動物がとどまるところなど有りませんでした。

何メートル下には崖の凹凸が有り、ウサギが休める様な所は有りますが、鳥でもない限り降りることは出来ません。

それよりも、何故、ウサギの耳が見えていたのかです。

欄干の近くに行くのも嫌なので、そのまま灯台を後にしました。

 

車に戻ってその話を妻にしましたが、気のせいだよと言われてしまいました。

「でも、良かったよ。○○がウサギの所へ行こうと灯台の方に走って行ったのを止めて。でも、大きな声を出したからびっくりしたろう。」

「ぼく、走らないよ。ずっと手をつないでいたじゃない。」

子供が言うことなのでと思いましたが、本人は走った記憶、怒鳴られた記憶は全然無い様でした。

その時、立ち止まった後の恨めしそうな顔が思い出されました。

今思うとあの顔は、子供の顔でなかった様な気がします。

 

あのまま、呼び止めなければ。

考えたくありません。

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