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四国の吉野川でうつ伏せで流されている男性をボートで引き上げた恐怖の救出劇

 2015.10.23     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 252

忘れたくても忘れられない、私にとっては強烈な実体験です。

あの頃、私は疲れていた。

肺に持病をもつ義父が亡くなって喪があけた直後、母が難病で入院し、徹夜の看病が数ヶ月続いていた。

半年前から予約していた旅行も諦めていたが、妹達は看病疲れの私に気分転換するようにと送り出してくれた。

 

四国の吉野川は、全国でも有数のラフティングスポット。

初心者の私には決して優しい場所ではないことは予想できたが、そこで起こったことは想像を絶する出来事だった。

8人乗りのボートは6艘。私は先頭のボートだった。

激しい川の流れに翻弄されながらも、私達は大騒ぎしながら楽しんでいた。

出発して2時間ほど過ぎた頃だったか、ガイドが
「あれ、何だろ?」
と呟いた。

ふと見ると、黒くて丸いボールが浮き沈みしていた。

『??』

私は何気なく身を乗り出して、それを確認すると・・・

 

うつ伏せの男性が流されてる!!!!

 

一瞬で全員凍りついた。言葉も出ない。

「彼」は白いポロシャツにベスト、チノパンに白いスニーカーの中年男性だった。

ガイドは他のボートを停止させ、私達だけが「彼」を追いかけることになった。

しかし川の流れは激しく、初心者ばかりの私達はなかなか「彼」に追いつけない。

中には震えて泣き出す子もいた。私は思わず叫んだ。

「しっかり漕いで!みんなで漕がなきゃ追いつけないよ。今救助すれば、まだ間に合うかもしれないじゃない!!」

その瞬間、低い声が聞こえてきた。

 

「いやだいやだこのまま流されるのはいやだ

このまま海の藻屑になるのはいやだ

帰りたい家に帰りたい

ここはいやだ寒い冷たい…」

 

水の中から「彼」を追いかける私達の映像が頭の中にあざやかに見えた。

まるで自分自身が流されているかのように。不思議な感覚だった。

その時、あんなに追いつけなかった「彼」がす~と私のもとに流れてきた。

「つかまえた~!!」

私は、彼のベストにオールを引っ掛けてガイドを呼んだ。そして、ガイドと一緒に「彼」を思いっきり引き上げた。

が、その時に彼のシャツがめくりあがってお腹が見えた!!

赤青紫の死斑がブワァ~とうきあがっていた。

手はグローブのようにふやけて、ろうそくのように真っ白で、腕から皮がベローンとたれさがっていた。

間に合うどころではない。警察に通報し、ボートをつけやすい砂地をさがした。

「何か臭わないか?」

誰かが言った。

 

次の瞬間、猛烈な腐敗臭が襲ってきた!

おもわず顔を伏せると、足元が赤い??

えぇ!!!!!!

後ろに乗せた「彼」を見ると、目鼻口耳から血が流れ出している~~~~~~!!!

このままじゃ血の海になる!!!

みんな死に物狂いでオールをかきまわして必死で漕いだ。

砂地にボートをつけると、みんな蜘蛛の子を散らすように逃げた。

後からきたボートのガイドと一緒にガイド達は「彼」を砂地へおろした。

私は横たわった彼の元で、どうか成仏できますようにと手をあわせた。

 

「やっと帰れる」

その時、私の口から出た声は男の低い声だった。

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