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曰く付きの日本刀なんとか包丁を使い熟す妹

 2015.11.03     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
首斬り包丁
この記事の所要時間: 437

俺の妹は霊感が強い。

というか、そういう家系らしい。

俺もわりと強い。妹はもっと強い。

両親とも弱く、母方のばあさんとばあさんの弟のじいさんは強い。

これから書くのは、高校の時の話。

 

 

その時、うちには近所の人から預かっていた日本刀があった。

あとで年寄りから聞いた話なんだけど、その日本刀は曰く付きで近隣の住人にはなんとか包丁と呼ばれているらしい。

夏休みのある日、俺は友達と肝試しを行った。

場所は一家失踪の家。地元で有名な場所だ。

新しく家を建てるために業者が解体中に事故が相次いだ。

だから、半壊状態のまま山の中にぽつんと取り残されている。

 

友達との待ち合わせ場所に向かうと、先に友達は来ていた。

ちなみに昼間。

失踪の家の辺りには、夜はバスが出ていないから昼間に行くか夜明かしをするかしかない。後者は嫌。

バスに乗って問題の物件まで行くと、昼間だというのにその近辺だけ暗い。

「おー雰囲気あるねー」

そんなことを言いながら家に入ると、独特の冷気が漂っていた。夏だというのに俺は鳥肌が立った。

「あー、参ったな。」

家具が置きっぱなしのリビング。食器棚の中に違和感を感じた。

カーテンが閉められていて、昼間でも薄暗い。

食器棚の中の誰かと目があった気がして、俺は慌てて目をそらした

霊が出るという子供部屋をまわり、朽ちた寝室をまわり、引き返す。

特に何事もなく、またリビングへ戻る。

記念写真を撮り、「あっけなかったなー」と言いつつ、玄関から外に出る。

なぜか右の掌だけが汗ばんでいた。

 

家に帰ると、中学生の妹がベランダで日焼けをしていた。

ご近所さんの目を気にしろよと言いつつ洗濯物を取り込み、一服しようと手すりにもたれ掛かると妹が吸っていた煙草を指先で弾いた。

煙草は俺の顔の横をかすめ、ポスッと弾かれて足下落ちた。

「あぶねーなー!なんなんだ、お前!」
と言うと、妹は唇の端をつり上げて笑い、手をヒラヒラと振った。

「シッシッてか。犬じゃねーんだよ。」

 

その日の夜晩飯を食っていると、後ろから視線を感じた。

妹が俺の後ろの食器棚からガチャガチャと皿を取り出すと気配は消えた。

夜中に便所に起き、またベッドに横たわっていると、コンコン、コンコン、と窓を叩く音がする。

窓の外はベランダ。ふとベランダを見ようと体を起こすとドカドカとベランダを歩く音が聞こえ、「ウザッテーんだよ!」と妹の声がした。

びっくりして窓を見ると、妹が何もない空間に向けて蹴りを打ったところだった。

「何してんの?」

俺が言うと、妹は不機嫌そうに言った。

「お兄ちゃん、ガキ連れてきてるよ。」

 

『ガキ連れてきてるよ』

そう言われて気づいた。昼間、妹が煙草を投げつけたことを。

俺の顔をかすめ、煙草は何かに当たって落ちた。何か?何に?

俺は手すりにもたれ掛かってたから俺の後ろには何もない。煙草は一回まで落ちるはずなのに何かに当たり、跳ね返って俺の足下に落ちた。

気づいてぞっとした。

その日は、妹に頼んで妹の部屋の床で寝た。

 

 

何日かして登校日だったので学校へ行くと、友達が笑いながら寄ってきた。

「やったな!」

「なにを?」

友達は一枚の写真を俺に見せた。

あのリビングで撮った写真だった。

ぼけっと立つ俺の右で、小さな男の子が俺を見上げていた。

その子の手は俺の手を握っている様に見えた。

「やったな!なんか体調悪いとかない?」

友達は嬉しそうにはしゃいでいた。

 

鬱になりながら家に帰ると、和室の戸が開いていた。

おそるおそる中を覗いてみると、暗い和室で妹が一人で立っていた。

隣家から預かっている日本刀を持って。

俺は戸を閉めた。なんだあれは?なにやってるんだあいつ?

俺はびびりつつ戸を開けた。

妹は俺の顔を見ると、言った。

「おかえり。今日から一人で寝ても大丈夫だよ。」

その日から視線も感じなくなった。

妹が何をしたのか俺は知らないし知りたくない。

 

ちなみに、俺は何度か妹に泣きついたことがあるが、妹がもう大丈夫と言う度に怪現象はなくなった。

妹が何をしているのか分からない。

分かりたくない。

一度何をしてるのか訪ねると、妹は笑いながら首を絞めるジェスチャーをしてみせた。

その瞬間、窓が叩かれて妹が
「うるせーよ殺すぞ!」
と一喝すると、電気の紐が揺れて外で何かが逃げる気配がした。

俺は妹がたまに怖くなる。

ちなみに、妹に彼氏が出来たためしがない。

付き合ってもすぐに別れる。

すぐに。数日以内に。

 

ある日、町で家に連れてきた途端に逃げ出した元彼と会ったので、別れた理由を聞くと夢を見たと言う。

夢の中で、妹は黒い靄にひたすら鉈を降り下ろしていた。笑いながら。

怖くなって付き合うどころじゃなくなるらしい。

ちなみに、なんとか包丁はいまだにうちにある。

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