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災いと対峙した飼い主の身代わりになった猫

飼い主の身代わりになった猫
この記事の所要時間: 217

黒い帽子を被った男が玄関前にいた。

そいつは黒い霧の固まりみたいで、目の辺りだけ少し霧が薄い。

目の錯覚かと一瞬思ったが、暫くしても消えない。

やべーどうしよーと何か怖いというより、こいつを家の中に入れちゃいけないと思った。

でも、俺の家はマンションだから裏口から・・・という手はない。

 

暫く待ってみて、そいつがいなくなるのを待っていると、10分位してやっと消えた。

俺は今しかない!と思ってダッシュで家に入り、塩を玄関にまいた。(食塩だけど)

家に入ってからは、そいつのことを忘れて一家団欒していたんだけど・・・

いきなり、ウチの猫が今までにないくらいゲェゲェとゲロを吐き始めた。

 

こんなことは初めてなので、翌日病院に連れて行った。

獣医に診断してもらったら、猫の腹に腫瘍が出来ていると獣医は言った。

「この辺りに、ビー玉くらいのしこりみたいなのがあるでしょ?」
と。

でも、俺は毎日猫の腹をガシガシマッサージするけど、しこりは猫が吐く前日まで無かったと思う。

腹をちょっと揉んだらすぐ判るところに腫瘍はあった。

俺は手術で取ってくれといったが、手術はできないらしい。

猫の体が、他の猫より小さかったので手術に耐えられないと言われた。

 

それから俺は、獣医から貰ったクソ苦い薬を猫に飲ませ、猫の好きなものを食わせた。

それでも猫は日に日にやせ衰え、腫瘍も大きくなっていった。

 

 

そして先月、猫は朝に突然ゲロと糞尿を垂れ流し痙攣して、夜に死んだ。

俺はアホかってくらい泣いた。

翌日には役所で猫を焼いてもらい、骨を貰って家に持って帰った。

その帰り、俺はまたあの黒い帽子の被った男を見た。

家のドアの前に立っていて、だけどその日は少し様子が違った。

何でそう思ったのか判らないけど、俺はそいつに睨まれてる気がした。

俺は始めてそいつが怖いと思った。

そのまま睨み合いながら暫くその場にいると、またそいつは消えた。

俺はどっと汗が出て、猫の遺骨をぎゅっと抱いて家に入った。

 

その日、俺はそいつのことを考えた。

猫の容態が悪くなったのが、そいつが現れた日だった。

偶然かもしれないけど、俺はそいつが関わっている気がした。

そして睨まれたのは、本当は猫じゃなく俺か俺の家族を狙っていたんじゃないかと。

猫はその身代わりになったのではないかと、そんな気がした。

画像出典元:nekokitarou.blog.fc2.com

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