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ザッザッザッザッという砂利を踏みしめる音と共に近づいてきた気配と視線

ザッザッザッザッという砂利を踏みしめる音
この記事の所要時間: 245

俺がガキの頃の話。

俺の実家は一戸建てだったんだけど、田舎だからその集落はだいたいそれが普通で別に旧家だとか豪農っていう特別なもんじゃなかった。

一階の縁側に面した部屋が俺の部屋で、いつもそこで一人で寝てた。

ちょうどサザエさんの家でいう波平夫婦の部屋みたいな感じ。

障子を開けると縁側で、夜はいつも雨戸を閉めてる。

 

 

その日の夜は大雨だった。

別に蒸し暑かったり寒かったりしたわけではないんだが、どうも寝苦しくて俺は布団に入ってからもなかなか眠れなかった。

縁側の外はちょっとした庭みたいになっていて、そこには砂利が敷き詰められている。

もともとは水捌けをよくするために敷いたものなんだろうけど、今にして思えばそれは防犯にもなってたのかもしれない。

眠れない夜、妙に感覚が研ぎ澄まされたりしてシーンっていう音が聞こえる時ってよくあると思う。

俺も例に漏れず、戸外で雨が砂利を叩く音を聞いてたわけだ。

 

雨が降る時はいつもザーッって音がしていて俺はそれを聞いてるうちに眠るはずだった。

でも、その日だけは違った。

耳を澄ますと、遠くの方から小さくザッ、ザッ、って聞こえてくるんだ。

それは雨が砂利を叩く音とは明らかに異なっていて規則的にザッ、ザッ、ザッ、となったり、間をおいてザッ…ザッ…となったりしていた。

最初はそれを雨だれの音かと思った。でもおかしい。

なぜならそのザッ、ザッという音は徐々に大きくなっていたからだ。

俺は一番悪い可能性を考えてしまった。

それは外に誰かいるということ。

動物ではないと思う。

4本足の動物ならザッ、ザッ、って2回ずつ音がするのは不自然だし、なにより砂利を踏んで音がするくらい大きな、体重のある動物なんていくら家が田舎でも出たりはしない。

ザッ、ザッという音は徐々に大きくなってくる。

それはつまり俺に近づいてきているということだった。

 

ザッ、ザッ、という砂利を踏みしめる音が俺に近づいてくる。

俺は思わず目をつぶった。

心の中で
「どうかどうか通り過ぎてくださいお願いします」
ってひたすら祈った。

音は近づいてくる。徐々に大きくなっていって、遂には俺のすぐ隣を誰かが歩いてるんじゃないかってくらいまで鮮明に聞こえるくらいにまでなっていた。

そして、そこで音が止まった。

俺は、音の主が俺の寝ている部屋の障子と雨戸を隔てたすぐそこで立っているのが判った。

背中に気持ち悪い視線を感じた。俺は見られている。

なんだよここで止まるなよ、あっち行けよやめてくれよ。

俺は心の中で必死でお経を唱えた。

「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経…」

すると、また外で足音が聞こえた。

でも、今度はその場で目茶目茶に暴れるみたいにジャリジャリジャリジャリいってるんだ。

俺はずっとお経を唱え続けた。すると、音はザッザッザッザッと遠ざかっていった。

 

いつの間にか雨は止んでいた。

画像出典元:snnantn.blog115.fc2.com

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