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死人を占うことになった見える占い師

美人占い師
この記事の所要時間: 535

俺の知り合いに、見える人がいる。

その友人自体も俺からしたらなんか怪しいやつなんだが、たまに奇妙な眉唾ものの体験談を聞かせてくれる。

これは、その友人が某所で占い師をやっていたときの話。ちょっと長め。

占い師をしていることを聞いて「お前、占いなんて出来るのか」と俺は驚いた。

本人曰く
「簡単。見えたの言うだけ。あれでお金取るの悪い気がするね」
と、なんか怒られそうなことをサラッと言ってくれた。

友人はある駅の側で、小さな机にそれらしい水晶玉を置いて、それらしい格好して、少しの間だが占い師をやっていたらしい。

水晶玉は通販で買ったとか…。

最初のうちは、客なんてまったく来なかったそうだが、見料500円、という比較的安いお値段のためか、暇つぶしっぽい人がちらほらと来るようになったらしい。

 

友人「かなりリーズナブルなお値段なはず。同業者から文句言われそうだけど」

俺「リーズナブル、というかお前、お金取ってやってたのか」
という抗議はスルーされた。

友人「その客の中で、スゴイのが来たんだよ。目の前に座ってきた時、あーこれは料金設定失敗したな、と思った」

俺「どうスゴかったんだ?取り憑かれてたか?」

友人「いや、なんというかな。ヨレヨレのスーツ着たサラリーマン風の男で、顔面蒼白で、酔っ払いみたいな足取りで」

俺「なんか重病だな。占いというより病院紹介してやった方が良さそうな」

友人「そうかもなぁ。でも、もう死んでたし、病院は意味なかったろうなぁ」

俺「はぁ!?」

思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

どうやら友人は、死人相手に占いをしたと言う。

本当かどうか怪しい気もしたが、面白そうなので大人しく話を聞くことにした。

 

友人「その客が、こんなこと言うんだ。『占い師さん、俺のこと見てくんねぇか』って。まったく困ったよ。だって未来は見れないだろうしさ」

俺「ちょっとしたブラックジョークだよなぁ。それじゃ、言ってやったのか?『あなたもう死んでるから、未来ありませんよ』って…」

友人「言おうと思ったが、なんというか、とりあえず見てみることにした」

俺「見たのか…」

友人「まぁね。でも水晶玉見つめてみたけど、なんにも見えなかった」

俺「そりゃ、通販で買ったものだからじゃ…?」

友人「いやいや、普通の人のならアレで大丈夫。まぁ、簡単な占いレベルなら、ただのガラス玉でも良いのだろうね」

まじですか…とか思いながら続きを聞く。

 

友人「仕方ないからカードを使おうと思ったけど、なんか確実に良くないカードでるって分かったから止めておいた」

俺「思いっきり死神とか引きそうだな。よく知らないが」

友人「まぁそんな感じ。それで、どうしようかな~と水晶玉見ながら考えたさ」

俺「難しい顔しながら水晶玉見ていたわけか。お客を誤魔化すには良さそうだな」

友人「そこで思いついたのさ。そうだ、死んだ時のことを思い出させよう、と」

俺「んん?見る方法を思いついたんじゃないのか?」

友人「それもよかったのだけど、やっぱりちゃんと成仏してくれないとヤバイからさ。ほら、悪霊とかになったら大変だし」

俺「ただ見る方法が思いつかなかっただけじゃ…」

友人「そんなことは、ない。まったくない。疑うな」

どうやら、見るのは諦めたようでした。

 

友人「それで色々質問してみた。いつからここに居るのか、ここにどうやって来たのか、どこに行くつもりなのか、と」

「そうしたら結構簡単に分かったよ。ここには会社に行く途中に通りかかったらしい。信号がどうしても渡れない、急いでいるのに…って困った様子だった。なんとかしてくれと誰かに頼みたいのに、誰も振り向いてくれない、と」

 

俺「あの駅の側かぁ…何か事故でもあったのかな?」

友人「後で調べたら、2ヶ月くらい前に交通事故があって、通勤途中の男性が死んでる」

俺「なるほど、それか。で、どうしたんだ?」

友人「こう言ったよ。あの信号を渡る必要はありませんよ、会社に行く必要もない。あなたには他に行かなければならない所がある、って」

「そこの信号機の下に花が置いてあったから、そこに行って花に触れなさい、そして自分の名前を声に出して言いなさい、と言ったよ」

俺「ふーむ、なんかのおまじないか?」

友人「まぁそんなようなものかな。その花は、その人のために置かれたものだと思ったからさ」

俺「それで無事に?死んでるのに無事っていうのも変な話か」

友人「うん。信号機の所で、すーっと消えたよ。ちょっと供養もしておいた」

その後、友人は新しい花を買ってそこに置き、お祈りしてきたらしい。

 

友人「いやぁ、ほんと、慣れない事はするものじゃないね」

俺「あー、まったくだ。なんで占いなんてやろうと思ったんだ?」

友人「なんか良くない?美少女占い師、って。ミステリアスっていうか、なんというかグッとくるでしょ」

「美」なのかどうかは人の好みだが、確実に「少女」ではない、という突っ込みはやめておいて、調子にのっている友人に他の点を攻めてみた。

俺「でも一度見ようとして諦めて、結局普通に成仏させて終わった訳だな」

単純な友人は少しカチンときたらしい。それでか、渋々とこんなことを言った。

友人「実を言うと、見えなかった訳じゃない」

 

また強がりを、と思いつつ嫌味半分で聞いてみる。

俺「そら凄いねぇ、どうやって見たんだ?それで一体何が見えた?死んだ人の未来には」

友人「直に見た。死んだ人を直視なんて、二度としたくないけど。次やったら、私死ぬかも」

ちょっと後悔してるような素振り。

死んだ人の目の奥を覗き込むことなんで、俺にはできない。

そしてこう言った。

 

友人「何が見えたかは言えない。正確に言うと、覚えてない。

きっと覚えていてはいけないことだったと思う。生きている人間が知ってはいけないこと。

生きている世界にある言葉では、表現できないことだと思う」

 

長い付き合いの友人は、そう言って話を締めくくった。

そして講釈代とか言って、その日の飲み代を奢らされた。

悔しいので、ここに書き込んでみた。

画像出典元:www.portalgraphics.net

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