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学校内で制服やスカートを引っ張ってくる何者かの手の感触に恐怖した犯人探し

 2015.12.05     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 59

小学生のころの話です。

私の通っていた小学校には、毎年教育実習生が来ていました。

実習が終わる時には、クラスの一人一人から何かしらメッセージを贈るのが通例でした。

ある年に私達のクラスに来た実習生は、かねてから
「Tシャツに寄せ書きしてほしい」
と話していました。

だから、色紙や手紙の類いは用意されず、かわりに油性ペンがたくさん用意されました。

 

最終日にお別れ会がひらかれ、花束と写真を渡したあとみんなで一斉に実習生を取り囲みました。

メッセージが、白いTシャツのあらゆる場所にめちゃくちゃに書き込まれていきます。

ギャーギャーと大騒ぎでした。

それを担任は少し離れた場所から眺めていました。

そんな中、早々に騒ぎから離れている子がいました。

 

K君という静かな男の子です。

静かと言っても内気なわけではなく、ちょっと独自の価値観を持っているというか潔癖というか。

周囲を見下しているような態度をとることも少なくありませんでした。

その時も小ばかにしたような顔をして、壁に寄り掛かったまま、なかば睨みつけるように眺めていました。

 

私はそれを見て
「さっきのアレだな」
と思いました。

寄せ書きを始めて間もない時、K君の背中に誰かの手がギュッとしがみついているのを見ていたんです。

4、5人の手が両手で制服をギュッと掴んで、引っ掻くような動きもしていました。

普段のK君の態度は、確実にみんなの不興を買っていたので、ちょっとした悪戯をされることがよくあり、その時もそれだと思っていました。

お別れ会はそれ以外は和やかに終了し、実習生は去っていきました。

 

 

問題は、翌日のクラス会で発覚しました。

あの時、K君の制服の上着に誰かが落書きしたというのです。

制服は黒い学ランなのでぱっと見は分からないのですが、よく見ると確かにグシャグシャとペンのあとがあります。

こんなはっきりした嫌がらせがあるのは初めてでした。

担任は一人一人に小さな紙を渡し、何か知っている人は丸を書けと言いました。

その人には機会を見て話を聞くから、と。

こっそり犯人捜しをしようというんですね。

私はあののことを思い出し、少し迷いながら小さく丸を書きました。

そして、担任に見たままを話しました。

 

その週の終わりのクラス会で、担任とK君から報告がありました。

犯人が名乗り出たことと、反省しているから相手を知っている子は責めないであげてほしい、ということでした。

解決して良かったなぁ、と帰る気まんまんの私に担任が少し残るよう言ってきました。

放課後になると担任は
「どうして嘘をつくの!」
といきなり叱り付けてきました。

落書きは、お別れ会が終わってからされたもので、本人もそう言っているし、見ていた人も複数いる。

だから、私が落書き現場を見た(そうは言ってない)というのは嘘だ、というのです。

私は、何も言えないままのことは全て嘘か幻覚だということにされました。

そのまま30分ほど説教されてから解放されました。

 

ぼんやりと図書室に向かっていると、ちょうど出てきたK君と鉢合わせました。

その時になってふつふつと怒りがわき、私はK君に八つ当たりするべく腕を引っつかんで無理矢理校舎のはずれに連れていきました。

そこで
「お前のせいじゃないけど、お前のせいだ!」
と、いちゃもんつけまくりました。

ところが、K君は淡々と
「意味が分からないけど、一応聞いてやるから順番に話せよ」
と言い返してきました。

あまりの平常ぶりと上から目線に怒りが振り切れた私は、泣きながら詳細を話しました。

すると、K君は
「なんで、さっさと言いに来ないんだ」
と青ざめながら、アホな私にいくつか教えてくれました。

 

 

あの日、K君も背中に”手”の感触を感じていたらしいんです。

ギュッと、制服をにぎりしめるたくさんの”手”の感触。

文句を言おうと振り向いた瞬間に手は離れ、それらしい人物が見当たらなかったこと。

違和感があったけど、その時は気付かなかったこと。

落書きを見つけてから、あのが犯人と思ったけど違ったこと。

私の話は自分の体験と重なるけど、周囲の発言や状況に矛盾していること……。

 

あの時は確かにぎゅうぎゅうになっていたけれど、K君一人に何人もが両手でしがみつけるようなスペースはなかったんです。

やろうと思えばやれたかもしれませんが、無理な体勢になるのでかなり目立ったはずです。

私は、言われてやっと気付きました。

K君の背中側で密着していた二人はペンを持っていたし、そのさらに後ろとなると容易に手の届かない距離です。

だけ、それも両手が見えているのはおかしいんです。

 

気付いてしまうと、一気に怖くなりました。

校舎のはずれの薄暗い雰囲気にも煽られ、何か言いかけたK君を置き去りにして走って逃げました。

K君は、しばらくすると追い付いてきました。

私は置き去りにしたことを謝ろうと思ったのですが、

K君が走りながら
「今 つ か ま れ た !」
と叫んだので、また我を忘れて走りました。

階段で二人並んだ時、私のスカートに何か引っ掛かるような感覚があり、完全にパニックになりました。

勢いよく校舎を駆け抜け、グラウンドで遊んでいた友人達に合流して助けを求めました。

途中で捨ててきてしまった荷物を全員で取りに行ったのですが、何も起こりませんでした。

 

その話はちょっとした噂になり、私達はしばらくビクビクしながら過ごしました。

けれど、結局それ以降は何事もありませんでした。

私が転校してしまったので、知らないだけかもしれませんが。

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