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変な奴がいた発言を警察にしたら任意同行された山の怖さ

 2015.12.17     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
山のガードレールの向こう側が不気味
この記事の所要時間: 432

昔の話。俺は夜の山道を車でよく走っていた。

知り合いに無理言って譲ってもらったMGミジェット。

時代遅れのボロい車だったが、嬉しくてしょうがなく、毎晩のようにバイト終わりで山に行っていた。

 

その日も深夜0時過ぎにバイトが終わり山に向かった。

6月の中旬ぐらいだったと思う。

空は曇っていたが、雨が降りそうな気配は無い。

車の幌を外し、バイト先の駐車場を出た。

 

バイト先から山道の入り口までは約20分。

今は、その山道には平日・週末問わず走り屋の車で溢れているが、その頃は週末にチラホラ数台いるぐらいで、平日の深夜は貸切状態だった。

国道から山道の入り口に向けて右折する。

車は1台も見当たらない。

速い車に迷惑かけないで済みそうだ。

 

その山道には、道路灯も無い。

ヘッドライトの灯りだけが、道路を照らす。

慎重にギアチェンジをしながら走って行く。

しばらく走ると、直線と比較的緩やかなカーブのエリアになる。

そこで一息ついて、スピードを落とした。

 

この辺りが、山の一番深いところになる。

このまま進むと、他県に抜けてしまう。

「そろそろ戻ろうかな」
と考えながら、タバコを咥えて直線をトロトロ走っていた。

道は、50mぐらい先で右にカーブしている。

ヘッドライトのハイビームが白いガードレールを照らす。

そのとき、ヘッドライトの照らす先に何かが見えた。

 

「?」

目を凝らしながら車のスピードを落とし、ゆっくり近づく。

人だ。若い男。20代前半ってところか。

右カーブ入口辺りのガードレールの向こう側で、下を向いて立っている。

(単車でこけて、何か落としたのかな?)
と思い、カーブ手前で車を止めて声をかけた。

 

「大丈夫ですかー?なにか落としました?」

結構大きな声で話しかけたのだが、その男は下を向いたままでこちらには目もくれない。

っていうか、車のヘッドライトで照らされていて、一度も顔をあげないってどういうことだ?

と、そのとき気付いた。

単車なんてどこにもない…車も無い。

徒歩でここまで来るなんて考えられない。

しかも、男は懐中電灯すら持っていなかった。

 

急激に、恐怖が体中を駆け巡る。

その恐怖心に気付いたかのように、急に若い男は下を向いたまま、ガードレールを越えて俺のいる車道側に出ようとしだした。

俺はビックリして車を急発進させた。

男を避けるように、反対車線のガードレールすれすれにそのカーブを抜けていく。

怖い…風がさっきより冷たく感じる。

寒さと恐怖で、歯がガタガタいっている。

 

チラリとバックミラーを見たが、月の灯りも無いそこには暗闇しかない。

やはり、あんなところに人がいるはずが無い。

車の幌を外したことを後悔する。怖さ倍増だ。

タイヤのスキール音を立て、ガタガタ震えながら山道を抜けていくと、やっと他県の国道が見えた。

 

国道への出口にはパトカーが数台止まっていて、1人の警官が山道から出てくる俺の車を止めた。

「おい!どこからこの山に入ったんだ!?」
と怒鳴られたが、

「変な奴が山の中に!!!」
と、俺は警察の質問など無視して騒いだ。

そのまま署に任意同行。

 

 

なんでも、その日の昼(日が替わっていたので正確には前日の昼)に、その山でバラバラ遺体が発見されたらしい。

俺が山に入った側の県でも、山道への通行止めをしていたはずだ、と言われたが、俺が入ったときにはパトカーなんて1台もいなかった。

犯人は既に捕まっていて、犯人の自供で遺体が発見されたので、俺に容疑がかかることはなかったが・・・

俺の「変な奴がいた」発言が面倒なことになり、なかなか帰らせてもらえなかった。

 

その男の特徴と目撃したところを説明すると、警察が見に行った。

でも、そこには誰もいなかったし、ガードレールの向こう側を人が歩いた形跡もなかったらしい。

あれこれと調書を取られ、解放されたときにはもう空が明るくなってきていた。

帰り際、警察に亡くなった人はどんな人かと聞くと、中年の女性とのこと。

俺が見たのは、その亡くなった人ではなかったようだ。少しホッとした。

 

じゃあ、アレはなんだったんだ?

 

家に帰り、気絶するようにすぐ眠った。

目を覚ましたのは、夕方だった。

テレビをつけると、そのバラバラ殺人事件はニュースでも大きく取り上げられていた。

俺は煙草を吸いながらボーッと見ていた。

『…昨晩、山中で遺体で発見された○○○○さんの長男、□□さん22歳が、自宅で首を吊っているところを遺体で発見されました。
遺体は死後15時間以上経っており………』

俺が見た若い男だった。

そして、何故ずーっと下を向いたままだったのかを理解し、身を震わせた。

それから、もうその山には行っていない。

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