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夢の廃病院で見た地下の登れない階段と今後の人生

登れない階段
この記事の所要時間: 630

昔、警備員をしていた時の事。

俺は警備会社に入社早々、ある区域の機械警備の担当をする事となった。

その日、昼間は先輩社員と警備対象となる数十もの建物の場所を車で巡回確認し、夜間は待機所で警報信号に備える事になった。

その区域には機械警備と別に、夜間巡回警備をする物件も3ケ所あり、物件の一つにAという元病院だった建物があった。

 

先輩曰く、そこは「出る」病院らしく、霊感に強い人は絶対近づきたくないと言う場所だったらしい。

俺は確かにそれまで何度か幽霊を見たことはあるが、普段は霊感なんて別に感じない人間だったので、

ありがちな話だ位にしか思わなかったし、実際新入社員で覚える事が多くそれどころでも無かった。

 

その病院の巡回は夜間2回、午後11時ごろと午前3時ごろの予定。

他の2件の物件の巡回を終え、病院の1回目の巡回を予定通り行うこととなった。

深い山中にあるその地域の中心に、比較的大きな川が流れており、その川沿いに病院はあった。

以前、水は霊を呼び込むと言う話(リングの井戸みたいな)を聞いた事があり、妙に納得できる部分があった。

 

新病院への移転の為、80年代後半に廃墟となった病院。

地上2階、地下1階、長さ約100m×30m。

解体しない理由は、その解体費用に問題があったそうだが、以前解体しようとしたときに何か問題があったという、これまた在りがちな噂があると先輩は言っていた。

病院は高さ3m位のバリケードで囲まれており、入り口はアコーディオン式で南京錠を開けて敷地内に入る。

例によって落書きや割れた窓ガラス、自分の身長とかわらない生い茂る雑草…

病院内の巡回経路が決まっていて、斜面に面した建物であることから屋外にある螺旋階段を上り、2階入口から内部へ入ることになっていた。

 

2階の古びた南京錠を開け中へと入ると、懐中電灯で照らす細長い建物の内部に無数の病室が確認できる。

建物内部は生暖かいような、寒気がするような言葉では言い表しにくい空間…

当然ベッドなどは無いにせよ、1986年の週刊少年ジャンプがあったり、いまだ生活感が残っている。

先輩によれば、そうやって夜中に懐中電灯で巡回警備する事自体が、事情を知らない人からすると建物で妙な光を見たとかいう怪談になってるらしく、そういう意味では笑える。

巡回経路順に、スロープ(車椅子や足の不自由な人用の坂道)を通って1階へ降り、同じように病室やナースセンターを確認していく。何も異常は無い。

 

地下に降りるには階段を使わないといけないので、病院に入る前に建物配置図で確認した階段のほうに行こうとするが、

「地下はいいよ、どうせ何も無いし…」

と言うので、内部巡回は切り上げ。

 

本来は当然回らないといけないが、この先輩かなりビビリだったらしくて。

で、内部を出て外周も確認。異常なく巡回終了。

そこから待機所へと移動し、車中で遅い夕飯をとり、緊急警報と2回目の病院巡回に備えることになった。

午前1時ごろ、先輩は一日中俺を指導していた事もあり、疲れて寝てしまった。

俺も最初は配置図で物件内部の確認をしていたのだが、やはり疲れてうとうとしてきた。

待機中とはいえ仮眠は許されている事もあり、1時間位ならと思い目覚しを2時30分にかけて寝る事にした…

 

……

…薄暗い…

場所が良く分からない…

何か、階段の前にいるようだ…階段…?

どこかの建物の階段の一番下らしいが、階段の踊り場にある窓からかすかに光がさしている…

その場所から別の部屋につながってる様だが、なぜか行く気がしない…

とにかく登らないと、ここにいてはいけない、そんな気がした…

 

足を踏み出し、階段を上ろうとした、が出来ない…?

何故だろう、足が重い…

よく見ると、足元にツタのようなものが絡んでいる…それが徐々に自分の体へと絡んでいく…

ツタを取り払おうとする…が、今度は階段の方から大きなベニヤ板らしいものが自分の体に倒れかかってくる…

薄いのでこれも払おうとするが、何か次々と板が階段の上から倒れてくるようだ…

板のせいで、かすかな光も見えなくなりつつある…

とうとう幾重にも重なるベニヤ板と絡まるツタのせいで、仰向けに倒れてしまった…

 

…苦しい…重い…呼吸が出来ない…暗い…

…ここで死ぬんだ、そんな気がした…

…あぁ、階段を…階段を、登りたかったのに…

 

 

ここで目が覚めた。

夢だった。

9月中旬とはいえ、肌寒い山間での深夜、車内で汗だくになっていた…

午前2時20分、先輩はよく寝ている。

 

あの夢は何なのかというより、ほぼ確証がその時点であった。

怖いとは当然思った。が、行かなくてはという気になった。

先輩をそっと起こし、次の巡回は自分一人でするのでと告げ、待機所から車を走らせ、病院へと向かった。

 

病院の外観は先ほどと変わりなかった…

順路どおり内部へ入館。

2階の確認を終えた。ここで、順路通りではない階段を探してみる。

配置図通り、階段はあった。そのまま降りていく。

幅2mもない狭い階段。足元を懐中電灯で照らす。

踊り場がある。窓から川が見える。

 

1階に着いた。

ここで、1階を巡回しなければならない。が、そのまま地下へ降りてみる。

1階と地下の間の踊り場…窓ガラスがベニヤ板らしいもので外から封じられている…

(本来地下に窓があるはずはないが、後で外から確認したがここは斜面にある建物なので窓があり、すぐその下は地面になっていた)

日が昇ると光がさすのだろうか…

そして、地下へと降りて階段を見上げて懐中電灯を照らす…

…光はさしてないが、夢と全く同じ光景…

 

…その後の事はよく覚えていない。

それから、俺は一人立ちして機械警備に当る日々を送る事となった。

が、ことごとく、俺には事故と事件が付きまとった。

強盗、殺傷、暴力、交通事故、機械の故障…

こんな仕事だから当たり前と言えばそれまでだが、その起こる頻度が並ではなかった。

次第に、自分と同じ勤務になるのを避けようとする同僚も多くなり、仕事はうまくいかなくなった。

結局、1年しないで俺は仕事を辞める事になった。

 

呆然とした日々を過ごしながらも、俺はこの1年余りで起こった事が何だったのか知りたくなった。

確かに、自分の不注意などの事故もあったが、何か釈然としない…

俺はある占い師を尋ねてみた。

占い師にこの1年の事、夢のことも話した。

占い師はかなり躊躇ったが、言った。

 

「何か…行ってはいけない場所に行ってしまいましたね。

あなたの人生、今後も不幸が重なってくるよ。

その夢は、あなたの今後の人生を暗示してたんだよ…」

 

占い師から、今の境遇を変えるという方法は教わった…

毎日それを実行している。

が、変わらず他の仕事に就いても、俺の身の回りには次から次に不可解な事故や事件が起こる…

正直、もう生きる気力がない…

何故、俺がこうならなければならなかったのだろうか…?

画像出典元:www.okayama-news.info

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