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死者と必ず会える方法で最愛のパートナーと再会した青年

死者と必ず会える方法
この記事の所要時間: 736

これは、叔父さんがイギリスに滞在していた時に、現地のイギリス人の仕事仲間から聞いた話だ。

とある青年がいたという。

学生で、同じ学年に付き合っている彼女がいた。

非常に仲睦まじく、お互い卒業したら結婚の約束までしていたという。

 

だが、ある日不幸が起きた。

彼女が交通事故で死んでしまった。

彼女は歩行者で、運転手の脇見運転からなる、悲劇の事故だった。

彼は病院に駆けつけた。

死因は脳挫傷で、遺体は眠っているだけの様な、本当に綺麗な物だったと言う。

彼は深く悲しみ、絶望した。

葬儀は、彼女の遺族らと共に、深い悲しみの中、行われた。

 

それからというもの、彼は抜け殻の様になってしまった。

学校へもあまり出席せず、彼女と同居していた古いアパートに篭りっきりの生活をしていた。

少しでも彼女の思い出に触れていたいが為、居間・台所・風呂・玄関・寝室・トイレに至るまで、彼女との思い出の写真を置き、何時でも目に入るようにしていた。

そんな彼を心配して、友人達が良く部屋に出入りして励ましていたが、あまり効果は無かった。

2Fの真上の部屋は小さな教会になっており、彼と親しく、割と歳も若い神父も励ましにやってきていたが、効果はなかった。

毎日、飢えない程度の粗末な食事をし、彼女の写真を見つめて過ごす日々が続いた。

 

 

ある夜。

彼は、子供の頃に聞いた話をふと思い出した。

「死者と必ず会える方法がある」

その方法とは、

 

「時刻は、深夜2時前後が良い。まず、会いたい死者を思い浮かべる。その死者の遺品があればなお良い。

家の門を開けておく。ただし、家の戸締りは必ず完璧に施錠する事。

遺品を胸に抱き、蝋燭1本にだけ火を灯し、部屋の灯りを消し、ベッドに入り目を瞑る。

そして、死者が墓場から這い出てくるのを想像する。生前の綺麗な姿のまま…

死者は、ゆっくりゆっくり、自分の家に歩いてくるのを想像する。

1歩1歩、ゆっくりと…そして、門を通り、玄関の前に立つのを想像する。」

 

想像するのはそこまで。

そして、絶対に守らなければいけない事は

「死者が何と言おうとも、絶対に家の中には入れない事」

だった。

扉越しにしか話せない、何とも切ない事ではあるが、それがルールらしい。

 

青年は、漠然とそんな話を思い出していた。

会いたい。迷信だろうが作り話だろうが。もう1度会って話したい。

もちろん、迷信だとは頭では思っていたが、

もしも「彼女と話した様になった気がしたら」いくらか心も休まるかもしれない。と、

自分へのセラピー的な効果も期待し、それをやってみる事にした。

 

時刻は、深夜2時ちょっと前。

オートロックなんて洒落た物は無いので、アパートの門を開けておく。

生前、彼女が気に入っていたワンピースを胸に抱き、蝋燭を灯し、部屋の灯りを消し、彼女の「蘇り」を想像した。

アパートは老朽化が激しく、2Fの真上の教会(彼の部屋の天井に当たる)から、何やら水漏れの様な音がする。

ピチャッ…ピチャッ…彼の部屋のどこかに水滴が落ちているらしい。

そんな事はどうでも良い…集中して…

生前の…綺麗な姿で…彼女が微笑みながら…部屋にお茶でも飲みに来る様な…

ドンドン ドンドン

 

ハッ、と目が覚めた。

いつの間にか寝ていたらしい。

ドンドン ドンドン

 

何の音…?

隣の住人?

隣人も夜型の人だから、うるさ

ド ン ド ン ! !  ド ン ド ン ! !

 

…違う。

自分の部屋の玄関のドアを、誰かが叩いている。

時計を見ると、深夜2時50分。

こんな時間に友人…とは考えにくい。

…まさか。

流石に冷汗が額を伝う。

蝋燭を手に持ち、恐る恐る、玄関に近づく。

叩く音が止んだ。

 

「…誰?」

返事がない。

 

「○○か…?」

彼女の名を呼ぶが、返事が無い。

恐る恐る、覗き穴から覗く。

長い髪の女が、後ろを向いてドアの前に居る!!

何者かが、確実に居る!!

 

「○○なら答えてくれ…」

青年は、ふいに涙が溢れてきた。

楽しかった思い出の数々が蘇る。

 

「寒い…」

ふいに、女が口を開いた。

彼女の声の様な気もするし、そうではない気もする。

 

「寒い…中に入れて…○○」

 

女は青年の名を呼んだ。

涙が止まらない。抱きしめてやりたい!!

青年は、ルールの事など忘れて、ドアを開けた。

 

女は信じられないスピードで、後ろ向きのまま、スッ、と部屋に入った。

青年が顔を見ようとするが、長い髪を垂らし、俯いたまま必ず背中を向ける。

青年が近づこうとすれば、スッと距離を置く。

 

「とりあえず、ベッドにでも腰掛けてくれよ…」

 

青年が言うと、女は俯いたままベッドに腰を落とした。

しかし、この臭い…たまらない臭いがした。

彼女が歩いた跡も、泥の様なモノが床にこびり付いている。

しかし、彼女は彼女だ。色々と話したい。

 

死人にお茶を出すのも妙な気がしたが、2人分の紅茶を入れ、彼女の横に座った。

蝋燭をテーブルに置き、青年は語り尽くした。

死んだ時、苦しくはなかったか、生前のさまざまな思い出、守ってやれなかった事…

 

1時間は一方的に語っただろうか。

相変わらず彼女は俯いたまま、黙ってジッとしている。

やがて、蝋燭の蝋が無くなりそうになったので、新しい蝋燭に変える事にした。

火をつけて彼女を照らす。

 

…おかしい。

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