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商売をやろうとしても上手くいかない曰く付きの場所

 2016.01.21     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 312

得意先が移転し、お祝いかねて訪れた。

そこは、1階が店舗で2階が事務所。

とりあえず、事務所で話を聞くからと、店舗の奥の給湯室から伸びる階段で2階にあがる。

しかし、この階段何か違和感がある。

なぜか、下から2段目だけが何故か幅が狭く、段が高い。

事務所に上がり、話も盛り上がって、帰り際2段目の事はすっかり頭から消え、危うく足を挫きそうになる。

 

すると

「階段危ないから気をつけて」

と社長の声。

 

先に言えよ。

 

「大丈夫ですから~」

と、お愛想をして店を出る。

 

この会社、業績は良くないが、社長の人柄と社員のがんばりで何とかやりくりしている程度。

しかし、この新しい移転先は昔から何をやってもうまく行かない場所。

以前は、大手ディーラーだったが、やはり上手く行かず格安で賃貸されている曰く有りの場所であった。

 

 

数ヶ月が過ぎ、定例でその店を訪れると社長が居ない。

奥さんに訳を聞くと、事故で入院中との事。

とっさに浮かんだのが自殺?

しかし、間違ってもそんな事を口に出すわけもいかず。

 

病院の場所を聞くと

「ここじゃ何だから事務所へどうぞ」

と2階に。

奥さんもやはり自殺未遂を疑っている様子。

 

帰りに、やはり2段目で転びそうになる。

奥さんも

「ココ分かっててもつまずくのよね、なんでココだけ変な作りなんだろ」

と笑っていた。

 

病院で社長と対面。

怪我は酷く片目は失明寸前だが、思いのほか元気で只の事故だったのかも思うほど明るく前向きだった。

事故の事を聞くと、単独事故で時速60~80kで高速橋脚コンクリにほぼ正面から衝突したのだそうだ。

何故、正面から?誰でもそう思う、俺も思った、聞くか迷っていると・・。

 

社長の方から

「自殺する気なんかない。でも、事故の前後の記憶がなく憶えているのは、店の事をぼんやり考えながら運転していたんだと思う」

 

数ヶ月で退院も出来、復帰が出来ると言うことなので、退院後また店に伺いますと約束をして別れた。

社長が入院している数ヶ月で業績は悪くなり、あの店危ないぞと噂を聞くまでになった。

それから暫らくして、社長が亡くなったと奥さんから電話がある。

葬儀などは既に済ませており、店をたたむ事にしたから色々相談をしたいので、店に来て欲しいと呼ばれる。

 

事務所で話を聞くと、亡くなったのは奥さんの車で病院を抜け出し、店に向かう途中。

今度は、電信柱に激突したのだという。

なぜ、急に店に向かったのかも分からないし、どうしてまた事故にあったのかも分からない。

ホントに事故なのかも分からない、ひょっとして自殺だったのかもと一気にしゃべり泣き崩れた。

 

俺は正直自殺だと思った。

泣き崩れる奥さんを前にして何も言えず、閉店に向けての処理の方法や手続き関係を説明し、

事務所の階段を降りるとやはり下から2段目で転びそうになり、胸に挿していたボールペンを落っことした。

 

ペンを拾おうと手を伸ばし、なにげに1段目と2段目の間を見ると・・

一瞬、ほんの一瞬だけど、事故後に病院で見た片目の腫れ上がった社長の顔があった。

そして、腫上がった手がサッ引っ込むところも。

 

その後、店は閉店し別の店になったが、上手く行かず直ぐに閉店となり、以降空き家のまま。

曰くのある場所には、それなりの訳が在るのだと実感した。

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