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裏山にあった防空壕のような祠に近付いてはいけない約束

 2016.01.29     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 552

俺が小学低学年の時、両親の離婚問題(裁判等)で、俺は夏休みの間、母方の田舎で爺ちゃん婆ちゃんと暮らすことになった。
ほんとド田舎で周りは田んぼと山。
まぁ当時ガキだった俺には、昆虫採集が出来て楽しかったが。

 

でも、爺婆に

「あそこだけは行ってはいけん!」

と何度も言われた場所があった。

 

それは、裏山の中腹にある祠(防空壕のようなもの)だった。

行ってはダメと言われれば、やっぱ行きたくなる。

 

 

ある日、俺はクワガタを捕りに行くと嘘をつき、その山に入った。

獣道を10分程登ると祠がある。

その祠の入り口は横幅2メートル縦1.5メートル程で、白い綱が横方向に垂れ掛かっていて、それに白い布が数枚掛けられていた。

(力士の化粧回しぽい)

外から中を覗き込んだが、入ってすぐに数段の降りる階段があり、その先は少し広めの空間があるように見えた。

 

とりあえず、白い綱を股がり、中に入った。

入った瞬間に、夏なのに中はメチャ涼しい、てか寒いぐらいだった。

苔の生えた階段を降りると、外から見た通り若干横幅が広がっていて、更に奥まで続いていた。

しかし、奥は真っ暗な上に風の音が反響してなんとも不気味で、昼間だったがその時は怖くなり、すぐに引き返した。

 

その晩、爺婆の約束を破った後ろめたさがあったのか、夢にまで祠が出てきた。

明くる日、どうしても祠の事が気になり、懐中電灯を片手にもう一度祠へ出向いた。

祠手前で周囲に誰もいないことをよく確認し、素早く入った。

階段を降りて直ぐ様、懐中電灯をつけて奥を照らした。

見たところ奥行きは10メートル程だろうか・・・

もう少し前進しないとはっきり見えないが、何やら奥にも入り口にあったのと同じような白い綱のようなものが見えた。

 

反響する風の音

「ゴォー…」

に合わせて、その綱が少し揺れているのが辛うじて見えた。

 

急に怖くなってまた引き返そうと思ったが、好奇心も旺盛だったのでジリジリと前進した。

出来るだけ懐中電灯を握った右手を前に伸ばして。

2メートル程進むと、白い綱がはっきり見えた。

更にその奥には木の観音扉があった。

 

「ただの変わった神社かな?」

と思い、懐中電灯でその観音扉を照らしてみた。

 

その観音扉、閉まっているんだが、障子みたいな感じで枠組みがあるんだが、障子紙自体はボロボロで中が丸見え。

何やらお供え物があったであろう食器類や蝋燭立て、そして中央奥に変色して所々緑がかった丸い鏡があった。

なんかそこらの神社の境内と変わらなかったか、半分がっかり、半分安堵って感じで、引き返そうとしたとき、

「ゴォー…」

と風の反響音と共に

「ギィ…」

と軋む音がした。

 

振り返り懐中電灯を照らすと、観音扉が片方だけゆっくりと開きだし、

「パサッ」

と白い綱も片方だけが落ちた。

 

俺は全身に鳥肌がたち、ビビりすぎて声は愚か一歩も動けなかった。

その時、観音扉の中の鏡のなかに何やら動くものが見えた。

小さな小さな白く動くものが…

懐中電灯の灯りが反射してハッキリは見えないが、何かが鏡の中で動いている…

いや、よく見ると鏡の中ではなく、鏡に写る俺の頭部の後ろ…

つまり、俺の後ろに何かいるのが鏡に映っていた。

 

俺は膝はガクガク、身体中に悪寒が走り振り返る事も出来ず、ただただ心の中で

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、…」

と何度も言った。

 

その白い何かは、しばらく俺の背後で活発に動いていた。

はっきりとは見えないのだが、なぜか背後にピタリと寄り添うようにいるのがわかった。

人影のように見えた。

俺は鏡から目を反らすと、その瞬間にその白い人影に襲われる気がして、目線から指先爪先まで微動たり出来なかった。

鏡越しに背後の人影は、激しく腕をメチャクチャな感じで振り回し、気でも触れたかのような感じで暴れているように見えた。

 

何分間、いや、ほんとに、時間の感覚が解らず、とりあえず

「ごめんなさい、」

と念じていたら、少しずつその白い人影は霧のように消えていった。

 

その瞬間、俺は地面だけを見て一目散に抜けかけた腰とガクブルな足で走って逃げた。

帰ってからも爺婆にはその事を告げなかった。

(約束を破ったことで怒られるのが恐く)

結局、それ以来祠へは行かず、夏休みが終わった。

そして、俺は母に育てられる事になり、母と二人で新たな町で生活することになった。

 

 

それから数年たち、俺が社会人になってから爺が他界した。

もちろん、葬式は田舎の爺宅で行われたのだが、爺の田舎では葬式の晩に村の者が集まり、夜通し酒を飲んで明るく死者を送るしきたりがある。

俺も地元のオッサンらと酒を飲み、いろんな事を話しているとき、ふと祠について聞いてみた。

「爺に、何度も祠には近づくなって言われたけど、なんかあるんですか?」

みたいな感じで。

 

すると、それまで騒いでいたオッサン連中の顔色があからさまに変わった。

「防空壕だ…」

と一人のオッサンが言った。

 

しかし、べろんべろんに酔った地元の青年が

「あ、俺、あれの噂!ガキの頃聞いたことあるさ、昔、○○○゛○なオナゴさ、あそこに…」

 

すると、すぐ横にいたオッサンが

「何バカな事言うとる!変な話するでね!飲み過ぎだオメー!」

と、その若者を羽交い締めにして表へ連れ出した。

 

俺はすぐにピンときた、と言うか話が繋がった。

あの時、俺が振り向いていれば、今頃俺はここには存在しないだろう。

もちろん、その祠に入ったことは誰にも言ってない。

 

あの時、私の背後には

「白い何か」

ではなく

「半狂乱な色白の女」

が両手をデタラメに振り回しながら立っていたのです。

あの祠に祀られていた彼女。

 

一つだけ気になるのは、彼女は最後、霧のように消えていったのですが、成仏したのでしょうか?

それとも、白い綱(今思えば白い綱に垂れ下がっていた白い布は呪符?)が外れたことにより祠から解放され、今も何処かをさ迷っている。

あるいは、自分をそのような境遇に合わせた人物を探しているのでしょうか?

今でもあの日の事を思い出すと全身に鳥肌立ち、眠れません。

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