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ど田舎の村にある墓地で肝試し中に感じた視線の種類

 2016.02.05     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
ど田舎村にある墓地
この記事の所要時間: 631

俺がまだ小学生だった時のこと。

その頃俺は、東北地方のど田舎の村に住んでいた。

米どころで、家の前には広大な水田が広がり、そこに水を引く水路が流れるさらさらという音が心地いい場所だった。

 

そんな俺の家から、車で5分ほどの近所に墓地がある。

ここら一帯の農家の先祖代々の墓がたちならぶその墓地は、山の中腹にあって木々が鬱蒼と茂り、昼間でも暗い場所だった。

俺が生まれた頃にはさすがになかったが、昔は土葬が普通だったと聞かされたことがある。

そんなこともあって、いくら冒険大好きな田舎のガキどもも、すすんで墓場に近づくことはしなかった。

 

 

ある夏。

東京に住んでいた同い年のいとこが、盆休みに俺の家に泊まりに来た。

いとこのする東京の話は興味深くて、俺は熱心に耳を傾け、またその見返りに、でかいカブトムシやクワガタが取れる場所を教えてやったりして楽しく過ごした。

 

親戚一同で墓参りにも行った。

都会のきれいに整備された墓地とは違うおどろおどろしい雰囲気にいとこは興味をひかれたらしく、目をきらきらさせて

「●ちゃん(俺)、ここなんか幽霊でそうですげーよな!」

などとのたまい、おばさんに不謹慎だと拳固をくらったりしていた。

 

その日の夜のこと。

縁側でばーちゃんの作ってくれた氷ぜんざいを食っているとき、いとこが不意に

「墓場に肝試しに行こうぜ」

と言い出した。

 

俺は

「やめとこうよ、でないとまたおばちゃんに叱られるぞ」

となだめたのだが、田舎という非日常空間に放り込まれてテンションの上がったいとこは中々聞き入れない。

 

しまいには

「●ちゃんだってどうせこっちの友達と肝試ししたりしてるんだろ、俺もやりたい」

「カブトムシのいるところだって教えてくれたんだから、いいじゃんか」

などと言い出す始末。

 

引くに引けなくなった俺は友達数人に電話して声をかけてみた。

(電話で仲間を募るふりして、「こっちの奴等だってそんなおっかないことはしない」と説得してもらうつもりだった)

 

すると、妙な具合に

「東京モンに田舎の凄さを教えてやるぜ」

と意気込む阿呆が2人も釣れてしまい、肝試し開催があっさり決定。

めいめい懐中電灯を手にウチの玄関に集合して墓場へと出発した。

 

車で5分の距離でも子供の足で歩けばそれなりに時間がかかる。

その道中は、東京のテレビ番組の話をいとこにねだったりして楽しく駄弁っていたのだが、墓場が近づくに連れて段々無言になってしまった。

集落から山の方に入っていく未舗装の小道へ折れた時には完全に喋る気力がうせた。

虫や蛙の声がいやに響いて聞こえる。

暗い。………怖い。

 

しかし、ここまで来て

「やっぱ怖いから帰ろう」

なんてへたれたことは、口が裂けても言えない。

覚悟を決めた小学生4人組は、虚勢を張りつつも小道をずんずん進んでいった。

 

そして、遂に墓場に到着。

その日はよく晴れて、来る途中は満天の星が瞬いていたのが、ここでは木々に遮られて一つも見えない。まさに真っ暗闇だ。

風もあまり届かず、脂汗と冷や汗があいまって何とも気持ちが悪い。

俺は全力で帰りたかった。

 

しばらく4人無言でいたが、なけなしの勇気を振り絞り、とりあえず墓場を一周してみることにした。

墓場は結構広く、しかも山の斜面にあるので傾斜がきつく歩きにくい。

しかも土葬時代の名残なのか、墓石がなく土盛りの後ろに卒塔婆を立てただけの最強に気味悪い墓も結構ある。

あの土を掻き分けてぼろぼろに腐った腕がのぞいたらどうしよう、とかいう想像が俺の頭の中を駆け巡る。

怖い。怖い。怖い。

 

しかし、想像に反して墓場は沈黙を保ったままだった。

10分ほどの恐怖の行軍を終えて墓場の入口に戻ってきた俺たちは、

「たいしたことないぜ」

「拍子抜けだな」

等と心にもない虚勢を張りながら笑い合った。

 

「肝試しも終わったし、もう帰ろうぜ」

友達の言葉に全員が頷き、墓場に背を向けて歩き出した、

そのときだった。

 

不意に背筋が粟立った。

強烈なおぞけが、背骨のあたりから手足の先へとゆっくり広がってくる。

指先がぴりぴり痺れる。

吹き出た汗がぬめる。膝が震えだす。

俺は懐中電灯を取り落としそうになった。

 

なにかが視ている。

 

何故かわからないが、そう確信した。

叫びだしそうになったが、喉が干上がって声が出ない。

 

振り返ったいとこが

「どうしたの?」

と俺に声をかける。何も感じないのだろうか。

 

(何でもない)

声が出ない代わりに何とか首を振って応え、俺はぎくしゃくと3人の後に続いた。

視線は背中に張り付いたままだ。

 

お願いです。ごめんなさい。見逃してください。助けて、助けて、助けて。

 

正体のわからない誰かに心の中で謝り続けながら、俺は必死で歩きつづけた。

視線がやっと外れたのを感じたのは、小道の出口を曲がった時だった。

がくりと力が抜け、俺は滝のように汗を流しながらぜいぜいと喘いだ。

いとこや友達は最後まで何も感じなかったようで、不思議そうに俺を見ていた。

 

家に帰り着くとちょうど親父が風呂に入っていたので、着替えもタオルも持たないまま風呂場に直行して一緒に入った。

親父は一緒に風呂に入るのは久々だと暢気に喜んでいたが、その夜はとにかく一人になりたくなかったのだ。

眠る時も自室にいとこを呼んで寝た。

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