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階段の手摺りに触れてはならぬ怪談

 2016.02.07     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 448

俺にはNっていう友人がいるんだが、どういう訳かNは自分の家に人を呼ぶのを嫌う。

いや、嫌うというか・・親に「友達を家に上げるな。」と言われていたらしい。

確か、家が片付いてないだとか、洗濯物が干してあるからだとか、毎回理由はそんな感じ。

 

Nは学校の中で一番の人気者で、友達の数も多くてさ。

家に遊びに行く約束とか良く言われるんだけど、そういう時、絶対にNは断る。

しかし、それが長い間続くと、何故かNの家は玄関だけで遊ぶならOKっていう許しが出た。

 

男5~6人が、人ん家の玄関でカードゲームしたりゲームボーイしたりするちょっと珍しい事になってたのはいい思い出。

玄関は広かったし、すぐ近くにトイレもあったから何不自由なく遊べたし、

最初は新鮮味のあった遊びのスタイルも、皆徐々に慣れてそれが普通になっていった。

 

俺は幼稚園の頃からNを知っていて、自分で言うのも何だが、Nとは親友のつもりでいる。

それくらい仲が良かったんだ。

一緒に飯を食いに行ったり、小学校を卒業した時には、一緒に旅行なんかも行ってた仲なんだが、

そんなに仲が良い俺でもNの家の中に入った事はなかった。

 

Nん家は3階建てで、3階に自分の部屋を持ってるのは知ってて、

若い時分、3階建ての民家なんて入った事がなく興味もあったし、

親友の俺くらいには家の中を見せて欲しいって思いも強かった。

 

 

そして、ある日。

とうとう俺は、どうしてもNの家で遊びたいとNに頼み込んだ。

 

最初はいつもみたく断るNだったが、ちょっと悩んでから、

「お前なら、家に上げたの親にバレても怒られんと思うし、別にええで。」

と許しを得る事ができた。

 

初めてNの部屋で遊べる。

その時は本当に嬉しかった。

 

Nの家に着き、ルンルン気分の俺、

「お前の家めっちゃ気になっててん」

とか言いつつ、二階に上がる。

 

二階はリビングで、Nが言う程部屋は汚くなかった。

いや、むしろ片付いている方だとさえ思った程だ。

片付いたリビングを横目に、俺はNに案内されて三階の階段へと向かう。

 

階段は当たり前だが一階から二階へ続く階段と同じ、木製の良く見る普通の階段。

案外普通だな、と思いながら一歩階段に足を乗せる。

 

すると妙な事に、少し遅れて階段の板の裏から、

「トン、」

と、小さな振動が返って来る。明らかに木のきしみではない。

 

俺がびっくりして、「えっ!?」と声を上げると、

Nは、「建て付けが悪くてな、気にしんといてくれ」と言う。

Nの言う事に納得しつつも、階段を昇る度に返ってくる振動に気味の悪さを感じ、

俺は何となく手すりに手をかけようとした。

 

「手すりに触るなよ、」

Nが振り向く事なく俺に言ってきた。

 

普段温厚なNらしくない命令口調だったので、俺は不思議に思ったが、慌ててNが、

「すまん、手すりには触らんといてくれ、頼むわ。」

と言い直してきたので、それ以上の事は聞かない事にした。

 

再び階段を昇り始めるのだが、やはり階段の小さな振動には慣れる事はできない。

階段を昇って8、9段目くらいだっただろうか。

 

階段に足を乗せた途端、

ゴツンッ!!

と、今までと比にならないくらいの大きな振動が俺の足の裏を叩いた。

 

その振動に思わず仰天して、俺は咄嗟にNに触れるなと言われていた手すりに手をかけてしまった。

あっ…

 

「おいっ!」

少しの間も無く、Nが凄い形相でこちらを振り向く。

 

それとほぼ同時、階段の全ての段が

ドドドドドドドドドドドドドッ!!

と振動した。

 

全身に鳥肌が立ち、恐怖におののく中、俺は直感した。

大量の何かが、階段の板の裏を踏み鳴らしている。

それも厨房の俺の足が振動で浮く程、かなり強い力で。

涙目の俺は前にいるNの脚にしがみつき、振動が止むことを願った。

 

振動していた時間がどれだけのものだったかわからない。

あれだけ強く揺れていた階段が急にピタッ。っと止まったのだ。

といっても、俺の方はgkbrしまくってて、とても立てるような状況じゃなかったのだが。

 

終始立ち続けていたNは、一度深いため息をして、

「降りよう」と俺に言う。

 

呆気にとられた俺に、

「俺の部屋に入る気なくなったやろ?」

とNが俺を起こしながらそう言う中、俺はただ頷くしかできなかった。

 

俺がNん家の玄関から出る時、

「階段の事、皆には言わんといてくれんか?」

とNが言ってきたので、俺は絶対に言わない事を約束した。

 

 

大学に入る辺りで、Nは親の都合で東北の方へ引っ越しする事となった。

Nの家族はあの家から離れた。

といっても、Nと俺はまだ繋がりがあり、今でもたまにNの新しい実家の方へ遊びに行ったりする。

新しい実家になってからは、Nもその両親も俺が家に上がる事を歓迎してくれている。

 

N家に上がる時は、もっぱら小さい頃の話で盛り上がるのだが、

俺は今でもあの階段の事は聞けないままでいる。

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