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ドルフィンリングで守られた夏休みの道連れ現象

ドルフィンリング
この記事の所要時間: 827

ドルフィンリングというイルカの形をした指輪が流行った大昔の話。

当時、私はリア消(低学年)で10歳年の離れた姉がいるんだけど、姉はいわゆるDQNで夏休みになるとほぼ毎晩DQN仲間をうちに連れてきては親と喧嘩をしていた。

この当時、子供嫌いのお兄さん(以下A)、優しいお姉さん(以下B)の二人がいつも家に遊びに来ていた。

 

Aさんは、私が姉の部屋に近づくと凄い怒って「ガキがくんじゃねーよ!」って怒鳴り散らすのね。

その度に、Bさんや他の人たちが「小さい子にそんな事言うなよ~」とフォローしてくれて、

「Cちゃん(私)だって遊びたかったんだよね」とか言ってお菓子くれたり、部屋に入れてくれた。

 

正直、私はAさんが嫌いだった。

だって、人の家に来て泊っていったりするのに優しくしてくれないし、

私が姉の部屋に近づこうとすると「チッ!」って舌打ちして威嚇するし、

たまに外で会っても「ガンくれてんじゃねーぞ!」とか言ったりして、とにかく怖かったから。

 

逆にBさんのことは大好きだった。

BさんはAさんと違ってて、うちに来る度に花火やお菓子をくれたり、

Aさんのフォローもしてくれたり、外で会えば必ず声をかけてくれて、

友達のいない私が寂しいだろうからって一緒に遊んでくれたりもしたんだ。

Bさんの口癖は「Cちゃんが私の妹ならいいのに」だった。

 

 

そんな荒れた夏休み(我が家の黒歴史)が終りに差し掛かったある日。

急にAさんがドルフィンリングをくれた。

姉の部屋にも行かず私の部屋に来て「ほら」って、投げてよこしたピンクのラッピングした箱に入ってた。

 

誕生日でもなんでもない普通の日なのに『おかしいな?』っとは思ったけど、

友達いなさ過ぎて頭がお花畑だった私は『やっとこのお兄さんとも仲良くできるんだ!』って思った。

 

当時の流行り物だったし、初めてAさんがプレゼントしてくれた物で、当時の私の指には親指でもブカブカだったけど、凄く嬉しくて貰った日は握りしめて寝たんだ。

そしたら、真夜中に手が熱くなってびっくりして目が覚めた。

Aさんから貰った指輪が焼けたように熱くなってた。

せっかく貰った指輪が壊れた~!って熱いわ寝ぼけてるわで、ギャン泣きしたのを今でも覚えてるんだけど、誰も様子を見に来てくれないのね。

 

真夜中だからしょうがないんだけど、横に寝てたはずの母もいなくて、流石におかしいなっと思った。

指輪はそのころには熱くなくなってて、その指輪を握りしめて明かりがついてたリビングに行ったら、

両親が真っ青な顔して「お姉ちゃんが事故にあった」って言った。

 

この辺りはもうほとんど覚えてないんだけど、

姉とそのDQN仲間たちがバイクでどこぞの山に遊びに行って、その帰りに仲間全員バイクの玉突き事故?にあったらしい。

姉の容態は電話じゃよくわからなかったけど、とにかく危ない状態だったらしい。

なのに、両親はリビングにいてちっとも病院に行こうとしないの。

 

私はパニックになって「おねーちゃんが死んじゃうかも知れない!病院に行こうよ!」って泣いて訴えたが、両親は頑として動かなかったのね。

で、私が自棄になって「私だけでも行くから!」ってパジャマのまま玄関に向かったら、父が全身で阻止してきた。

私はAAのズサーみたいな感じでドアに突っ込んでいく父の異常さが怖くてまた泣いた。

母親は「Cちゃんお部屋にもどろ?ね?ね?」って一生懸命宥めてくれるんだけど、その母親の顔も泣きそうっていうかおびえまくってた。

 

その両親の異常な雰囲気で私も「あ、コリャなんか変だぞ?」って妙に冷静になって、よく見ると両親ちゃんと外着に着替えてたんだ。

何でだろうっと思った瞬間、ピンポンが鳴ってBさんの声が聞こえて

「Cちゃん迎えに来たよ、お姉ちゃんの所においでー!」みたいな事を言ってた。

 

私は「Bさんが迎えにきた!おねーちゃんところ行こう」って親に言ったんだけど、両親ガクブルして顔真っ青なの。

母親は私を全力で抱き締めて締めて苦しかったし、父親は何かブツブツ言い出すしかなり異常な状況だった。

あまりに異常すぎて、私は『親が狂った!』っと思ってBさんの名前を呼びまくった。

「Bさん怖いよ!おねーちゃんが死んじゃう!パパとママがおかしくなった!!Bさん!Bさん!!」って。

 

でも、相変わらずBさんは助けてくれるどころか玄関の外で

「Cちゃん、お姉ちゃんのところにおいで」しか言わないの。

しかも声は凄く冷静…っていうか、むしろ楽しそうな感じ。

 

「Cちゃーん、お姉ちゃんの所おいでー」

「Bさん怖いよ!たすけて!」

 

どのくらいそのままギャーギャーしてたかわからないけど、急にまたAさんから貰った指輪が熱くなった。

手をはなそうと思ったんだけど、手だけ金縛りにあったみたいにグーの形のまま動かない。

その内、喉が苦しくなって声がうまく出なくなってきて、しまいには叫んでるつもりが全く声が出なくなった。

 

母親が、口をパクパクさせてるのに声が出なくなった私を見てぎょっとしてたけど、声が出なくなったせいで更にパニックが加速して暴れる私を抱き締めてる力は緩めてくれなかった。

その間もBさんは楽しそうに私を呼んでた。

その内、かすれた声が出てきたなっと思ったら、今度は勝手に言葉が溢れてきた。

 

「お前なんか私のお姉ちゃんじゃない!私のお姉ちゃんは○○(姉のフルネーム)だ!!」

「私は知ってるんだぞ、私に友達がいなくなったのはお前(Bさん)が私の友達をいじめて私に近寄るなって言ったからだ!!」

「お前が持ってきたお菓子や花火は、全部□□(近所の商店)で盗んだ物だ!気持ち悪い!!」

「お前なんか大嫌いだ!お前は私のお姉ちゃんじゃない!帰れ!二度と家に来るな!」

「私の家族は全員こっちにいる!私をそっちに連れて行こうとするな!!!」

 

実際は、もっと田舎のヤンキー口調で方言も入ってたけど、大体こんなことを叫んだ。

と言うか、この叫んだ内容は私は全然知らなかった。

Bさんが私の友達を苛めてなくした事も、いつもくれるお菓子が盗品だった事も。

パニック状態だったのに更にパニックに陥って、そこから何も覚えてない。

たぶん、気を失ったんだと思う。

 

目が覚めたらもう朝で、泣きはらした母親とげっそりした父親がいた。

そして

「病院から連絡があった。お姉ちゃんは足を折っただけだよ、お昼になったらお見舞いに行こう」

って言ってくれた。

 

そして、そのときは理解できなかったけど

「A君にお礼を言いなさい。その指輪は一生大事にしなさい」

って言われた。

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