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やまびこは山の神の返事だと言い伝えられている地方の山彦祭り

 2016.02.12     都市伝説・ネタ     2件     Loadingお気に入りに追加
山の神「山彦」
この記事の所要時間: 1621

以下は友人のKから聞いた話だ。

季節は夏で、俺は当時小学校の高学年くらいだったと思う。

家族で父方の親戚の家に泊まりに行った時のことだ。

毎年一度はやっている親族の集まりだった。

 

夜、酒を飲むばかりの大人たちに退屈していた俺と四つ年上の姉貴は、何か面白いものはないかと探し回り、ついに隣の村で祭りをやっているという噂を聞き付けた。

そしてこれはもう行くしかないと、無理やり親戚のおじさん(下戸)を一人引っ張って、車を出してもらった。

おじさんの話によれば、その祭りは『やまびこ祭り』 という名前らしい。

 

なんでも、その周辺には昔から『やまびこは山の神の返事だ』という言い伝えがあり、豊作や雨を願う際、他にも何か願い事がある時には、山の頂上付近にある突き出た岩の上から叫ぶ、という風習があった。

『やまびこ祭り』 という名前はそこから来ているらしく、今でも祭りの終盤には子供たちが山に登り、自身の願い事を叫ぶ行事があるそうだ。

聞けば、おじさんも子供の頃祭りに参加して、叫んだことがあるんだとか。

 

「おじさんは、何て叫んだんです?」

行きの車の中で姉貴が尋ねる。

「『頭が良くなりますように』 ってな」

おじさんは「ははは」と笑った。俺と姉貴も遠慮なく笑った。

 

移動手段が車だったので、そう時間はかからなかった。

祭りのある村も含め、周辺地域自体が山間のそこそこ高い位置にあるんだが、祭りの会場は、もう少し山を上ったところにあるダム湖の横の広場だった。

俺たちがついた頃にはもう祭りは始まっていた。

広場の中心にはステージがあって、広場の周りをぐるりと囲むようにたくさんの提灯と屋台が並んでいた。

田舎の小さな祭りだと思っていたんだが、人の集まりもにぎわいも思ったよりある。

二時間後に車に戻って来ることをおじさんと約束して、ついでに少々の小遣いをせびって、俺と姉貴は祭りの人混みの中へと溶け込んでいった。

 

まずは綿菓子やイカ焼きを買って食べる。

しかしまあ、祭りで売っている食べ物はどうしてあんなにうまそうに見えるのか。

腹も満足したところで、姉貴が「金魚すくいがしたーい」と言うので、それに付き合った。

 

「わたし昔さ、金魚すくいの『すくい』 の部分って、救いの手を差し伸べることだと思ってたんよね。金魚たちは悪い人に捕まってて、助けてあげなくちゃってね」

「うわ、馬鹿じゃん」

「うっさい、若かったの。でさ、前の年にやぶれた金魚すくいの網を一本いただいて、次の年に自分でやぶれない紙張って持ってったの。
さすがに百匹超えた時点で止められたけど、でも、あの時の店のおじさんの顔ったらなかったわー」

 

もう言うまでも無いが、俺の姉貴は少し変わっている。いや、少しじゃないな。

ふと見上げると、金魚すくいをしている俺らの会話を、店の店主が険しい顔で聞いていた。

マズイかなと思った俺は二,三匹救った時点でわざと失敗して、やぶれた紙を店主に見せた。

姉貴は空気を読まずに三十匹ほど取ってたけど。

姉貴はその内の二匹だけを袋に入れてもらって、アカとクロという名前をそれぞれつけた。俺は金魚はもらわなかった。

そんなこんなで、俺と姉貴は祭りを十二分に楽しんでいた。

 

そうして俺たちが祭りに参加して一時間ほど経った頃だった。

『時間になったので、子供たちは集合してください』

突然、辺りに拡声器の声が響いた。

それを合図に辺りから子供が集まって来る。

どうやら、おじさんが言っていた行事がこれから始まるらしい。

俺と姉貴は顔を見合わせた。

 

「……どうする?」

「行くに決まってるでしょ。おもしろそうじゃん」

やっぱりか。

 

行くと、何やら番号のついたカードを渡された。

子供たちは渡されたカードの番号の下、幾つかの班に分かれることになった。

集まっていたのはほとんどが小学生くらいの男の子で、他に数人、お守役なんだろう、姉貴と同い年くらいの男子がいた。

俺と姉貴は同じ班になった。

といっても、子供たち全員が一斉に山に登るのだから、班の意味はあるのだろうかと、その時は思った。

今考えると、お守役の子の負担を考えてということだろうが。

 

ダム湖横の広場から、山頂に続くという細い山道を一列になって歩いた。

列の途中途中にいるお守役の兄ちゃんが提灯のような明かりを持っていたので、そう暗くはなかったが、祭りの明かりから離れるにつれ、夜の山の雰囲気は不気味さを増していった。

俺は知らぬ間に、前を行く姉貴の裾を掴んでいた。

虫や鳥の鳴き声以外、誰も声を出さなかった。まるで肝試しだ。

女の子がほとんどいないことにも、これで納得だ。こんなとこに来る女の子なんてのは、よほど変わり者か物好きだろう。

その物好きは、俺の前でさっきから全く喋らずに黙々と歩いている。

こんなに登るのかと内心愚痴る程、道は急で長かった。

 

随分高いとこまで来ただろうと思ったところで、いきなり開けた場所に出た。

一枚の大きな岩が山肌から突き出ていて、俺たちはその岩の上にいるようだった。

周りは落下防止用のフェンスで囲まれている。

お守役の男子の一人が俺ら姉弟を含めついてきた子供たちに、「今からあそこで叫ぶんだ」と説明した。

 

カードに書かれた番号順。俺と姉貴は最後の方だった。

暗くてよく分からなかったが、岩の向こうは谷か崖のようだった。その向かい側、遠くかすかに黒い山脈の影が見える。

最初の男の子が、岩の先に立ってありったけの声で叫んだ。

よく聞き取れなかったが、ゲームか何かが欲しいと叫んだんだろう。

若干のタイムラグの後、その声はしっかりとしたやまびことなって返って来た。

 

「……誰の声だろ?」

隣の姉貴がぽつりと呟く。

俺はてっきりさっきのやまびこのことだと思い、「誰って、やまびこじゃん」と若干馬鹿にしたように言った。

しかし姉は、俺の話を聞いていないようだった。辺りをきょろきょろと見回している。

 

そうこうしている内に、二人目、三人目と子供たちは順番に叫んでいった。

意中の子へのありったけの想いを叫ぶ男の子もいた。

その全てが、やまびこになって返って来る。

「やっぱり聞こえる。……違う。誰。誰?」

そうしてやまびこが返って来る度に、姉貴の様子はおかしくなっていった。

 

俺が半ば本気で心配しかけた時、姉貴はカードの順番を無視して走るように進み出た。

周りの何だ何だという雰囲気も、順番を守れという声も、姉貴には届いていないようだった。

突き出た岩の先、落下防止のフェンスを掴み、姉貴は大声で叫んだ。

「誰!?答えてっ!」

 

大声だったのに姉貴の声は返って来なかった。

代わりに、地の底から吹き上げるような強い風が吹いた。

それはまるで人間の唸り声みたいで、その場にいた全員が固まったと思う。ただ一人、姉貴を除いて。

俺の直感が『何かやっべえぞ!』 と警告を発した。

 

それと同時だった。突然、姉貴が笑いだした。「うはははは」という、正気とも狂気ともつかない笑い声だった。

呆気に取られる俺を含め周りをよそに、フェンスを掴み崖下を覗き込みながら姉貴は笑う。笑いながら叫んだ。

「すごい、すごい、すごいっ。人だ。やまびこなんかじゃない!這いあがって来る。わっ、すごい。ほら、来て。皆にも見せてあげて!」

 

その瞬間、別の叫び声が上がった。俺の傍にいた一人の子供が出したものだった。

その叫びはやまびことなり、こだまする。

俺も叫びたかった。

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コメント

    • 名前: 素人
    • 投稿日:2016/02/12(金) 21:01:54 ID:I3ODg5MTE

    生け贄か…
    そういう事も、あったかもしれない

    山は黙して語らず

    • 名前: 怖い名無しさん
    • 投稿日:2016/04/04(月) 01:13:03 ID:YzODk1NDE

    お姉さん、とても不思議な人ですね、想像力というかなんというか、考える力が凄いですね、いったい前世はなんだったんでしょう、余程肝が据わっている人だったんでしょうかね。私からは以上です。

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