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山形県の鳥居ヶ丘にまつわる不思議な話

 2016.02.14     オカルト・超常現象     1件     Loadingお気に入りに追加
山形市鳥居ヶ丘にある元木の石鳥居
この記事の所要時間: 940

私の実家の近くには『鳥居が丘』という名の土地がある。

とても古い石鳥居が、住宅地の中にポツリと立っているという、おかしな土地だ。

そこは『神社が丘』でも『稲荷が丘』でもなく、『“鳥居”が丘』なのだ。

つまり、少なくともその名が付けられた昔には、既に鳥居だけがそこに立っていたと言うことだろう。

無論現在も、その形の悪い石鳥居に対応する社などは、存在しない。

 

私は高校の頃、よく晩に居辛い家を抜け出して、その鳥居の辺り迄散歩する事があった。

そこは住宅地の直中だと言うのに、妙に静かだった。

孤独に浸る事を邪魔するものが、そこにはまるで無い。

思えばその頃は、不思議なモノをよく見た気がする。

青春時代の孤独とか言うやつはもしかしたら、心も体もあの世側に近付けていくのではないだろうか。

そんな事を考える。

そんな日々の、ある夜の事だ。

 

 

その夜は、酷く雪深く感じられた。

何せ、いつも通る抜け道が除雪でよけられた雪に塞がれていたのだ。

だからその日は、仕方なく違う道を選んだ。

農協の建物に付いている時計を見ると、丁度午前零時だった。

寒いのは当たり前だ。

部屋着に、とりあえずコートだけを羽織って着たのだから。

小さな墓地が見え、確かその角を曲がれば例の鳥居の筈だった。

 

…ふと、妙な事に気付く。

その小さな墓地に似合わない、妙に大きな墓が有るのだ。

いや、大きいと言うよりは、高いと言った方がいい。優に3mはあろうか。

妙に細長い形の墓石の影だった。その細長さは、どこか女性を連想させる。

珍しい墓石だな、こんなの今まで気付かなかった。

そう思い、携帯で写メでも撮ろうと照明を点ける。

 

すると、陰になっていたその墓石の先端が、カクリ、と曲がった。

そこから、バラバラバラ、と簾の様な物が垂れる。

何だろう。その先端に、照明を合わせていく。

画面に映ったのは、大きな目が一つと、フグの様な小さな口、びっしり生えた歯の隙間からだらりと垂れ出た、襞だらけの長い舌の、顔とも言えぬ様な顔だった。

簾の様な物は髪の毛としか言い様がなかった。

 

私は恐怖に声も出せずにいると、カクリ、もう一段階折れ曲がって、その後ズルズル…と、形容し難くどういう原理かなど見当もつかないが、普通の生き物には到底有り得ない進み方で、にじり寄って来ている。

「お…お…」

歯だらけでバランスと言うものがまるで無い、深海魚の様な口から、怖気を催させる声が漏れた。

その声は驚くべき事に、一声毎に周囲の闇を濃くさせていく。

 

それは錯覚などというレベルではなかった。

雪が黒く染まっているのだ。

雪国の夜は、淡い光が下から沸き立つ様に薄明るく見えるものだが、その反射光すらも黒く染まっていくのが分かる。

黒い光に脚が蝕まれていく。

その中で、何か酷く湿った物が蠢いている。

 

これは、指、だろうか?

弾かれた様に、本能的に明るい方へと向かう。足がもつれ、這う様な形になる。

周りは人が居る筈の住居に囲まれているというのに、恐怖に喉が引きつり、叫び声一つ出てこない。

まるで、あの髪の毛が喉に絡みついている様だ。

住宅の窓はどれも時間のせいか、まるで生きている者が中にいる気がしない暗さをしている。

これでは呼び鈴を鳴らし住人を待つ間に、あの怪物に追いつかれてしまう。

 

明るい方へ、とにかく明かりの点いている人家へ。

曲がり角から、微かに光が漏れているのを見つける。

黒い雪の上を、泳ぐ様に走り、曲がる。

 

すると、住宅の明かりかと思ったそれは、驚いた事に例の石鳥居が発していたものなのだった。

いや、鳥居そのものが光っているというよりは、鳥居に囲われた内側の空間から光が溢れている、という具合に見えた。

突拍子もない事が連続し、もう訳が分からないが、後ろからはあの怪物が迫っている。

人家は、と思うが、不運な事にそこは、四方、皆背を向けて建っていた。

 

もう何でもいい。縋る様に、鳥居に這い寄る。

鳥居の発する光の中で後ろを振り向くと、怪物は光の及ぶ範囲には近寄れないのか、大分離れた薄闇の中でうずくまっている。

うずくまっている、という言い方が正しいのかは分からないが、とりあえず背丈は半分程に縮み、一塊に縮まっているように見えた。

ナメクジの様だ、と思ったのを覚えている。

 

すると突然轟音が響き出した。

すぐ後ろ、石鳥居から発せられている。

その轟音に見合う突風が吹き寄せる。

 

振り返り鳥居を見たが、その轟音の中、一体何が起こっているのか分からず、混乱は飽和し、今にも心臓そのものが割れて叫びを上げそうに思われた。

その鳥居の間を、何も見えないのに、何かが、それも大きさの計り知れぬものが、今通り続けているのが分かるのだ。

あるのは風だけだというのに。

 

あれを何と形容すればよいのか。

鳥居が発している光そのものすらも、風に押し流されて、一方向に吸い込まれていく様だった。

光が風に運ばれるなどということが、有り得るだろうか?

しかし、そうとしか言い様が無い光景だった。

 

突風の混乱の中、もう私自身の恐怖すらもその風に押し流されていく心持ちだった。

ふと先の怪物の方を見ると、「ヒイー、ヒイー」と言う情けない声を上げながら、墓地の方へと引き上げて行こうとしている。

しかし、その動きは鈍く、進む度に体が小さくなっていっている様に見えた。

それを見ながらも、高まっていく轟音と光に、私は段々と気が遠くなっていった。

 

 

目が覚めると、自室の布団の上だった。

時刻は、ちょうど午前零時。携帯の時計で確認しても、零時ちょうどだ。

先程、農協の時計で午前零時である事を確認した。

あの時計は、ズレる事などない筈だが…。

 

夢であるのか、というと、雪にまみれたコートを着て寝ていた事から、それは違うと確信する。

何より、あの感覚全てを夢だと言うなら、何が夢でないものなのかすら分からなくなってしまう。

ふと携帯を開いてみると、細長い墓石の画像が、確かに入っていた。

間違い無く、あの場所までは行ったのだ。

片道20分は掛かるというのに、何故。

 

あの鳥居で、光がまるでCGの様に、風に引きずられる様を見た。

光が風に流されるというなら、時間など吹き飛ばされるのが道理だとでも言うのか?

馬鹿げている。何もかも余りに馬鹿げている。

 

眩暈がした。心臓の鼓動は酷く早いのに、恐ろしく眠い。

あのおぞましい顔は写っていなかったが、さすがに気味が悪く、その場で消した。

しかし、いつシャッターボタンを押したのだったか…。

いや、今はとにかく朝だけが来て欲しい。

何も考えたくない。

そのまま私は、眠りに落ちた。

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コメント

    • 名前: 怖い名無しさん
    • 投稿日:2016/08/16(火) 07:39:31 ID:IzMzgwOTA

    文体が仰々しすぎて興醒め。その割にケータイ小説みたいな読みづらい改行だらけだし。

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