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「きじまさん」恐るべき伝言ゲームの怪談

恐るべき伝言ゲーム
この記事の所要時間: 423

”きじまさん”という、あるチームの創立メンバーの友人がいた。

この人が、ひき逃げによる交通事故に遭ったところから、すべては始まりました。

リーダーを含めたメンバーが病院に駆けつけた時、「面会謝絶」の札がドアから外されたところでした。

廊下には両親がいて、母親は泣き崩れていましたが、父親は息子も喜ぶだろうからと、彼らを通してくれました。

 

病室に入った彼らが見たものは、全身を包帯に巻かれた”きじまさん”が、ベッドに横たわる姿でした。

四肢がなくなっていました。

両腕も両脚も切断され、しかし点滴や酸素吸入などは無く、ただ心電図のモニターが規則的な音を立てていた。

手遅れだったのです。打つ手がなかったのでした。

包帯から覗いた片方の眼だけが、ぐるりと動いて彼らを見た。

そして、低く包帯にくぐもった声が、ぶつぶつ何かをつぶやいた。

 

リーダーが耳を寄せると、

「俺をこんなにした犯人を捜し出してくれ…」

わかった、とリーダーは答えた。

「必ず犯人を捜し出して仇を討ってやる!」

直後、心電図の波形が平坦になった。

 

彼らは犯人探しに奔走した。

しかし、しょせん素人なので、犯人を見つけ捕らえる事もできずに、一年が過ぎた。

 

 

”きじまさん”の一周忌がきた。

彼らは墓前に集まった。

連絡をとりあったのではなく、「約束を果たせなかった」と、全員が詫びるために来たのであった。

彼らは墓前に手を合わせ、中には嗚咽する者までいた。

誰もが、「すまん、許してくれ、成仏してくれ」と祈った。

 

どこからか、ぼそぼそとつぶやく声が聞こえる。

背後からだった。

彼らは見た。

後ろの墓石に”きじまさん”が座っていた。

腕も脚も無く、全身包帯に巻かれて片方の眼だけを覗かせ…

 

「俺を殺したンは、お前やろ!」と、唸るように言った。

大の男達が悲鳴を上げた。

口々に、叫び、わめいた。

「違う!俺らと違う!」

”きじまさん”は、現れた時と同じ唐突さで、すうっと消えた。

 

誰にも言うな。

リーダーの一言で、全員が自分達の胸の中にしまっておく事にした。

 

 

そして、数年後…

ある夏のこと。そのメンバーのひとりが、怪談で”きじまさん”の幽霊のことを話してしまった。

その場の友人は震え上がって喜んだ。

ところが…である。

 

帰宅して数日、その友人から電話があった。

友人は震える声でこう言った。

「きじまさんを見た」

 

自宅で入浴中、洗髪してる背後で、「ぼそぼそ」声がしたので振りかえると、

「俺を殺したンは、お前やろ!」

気のせいだよ、と彼は友人に言った。

 

電話を切った数分後、別の友人が「きじまさんを見た」と…。

自宅のマンションのエレベーターに、ひとりで乗っていて誰もいないのに、「ぼそぼそ」声がする。

振りかえっても当然誰もいない。

だが視線の下の方に、四肢のない体を、ぐるぐると包帯に巻かれた片方の眼が睨んでいた。

「俺を殺したンは、お前やろ!」

 

結局その夜は、何本もの電話を友人たちから受けた。

「きじまさんを見た」と。

 

 

話はここまでです。

きじまさんは、いまだに犯人を探しているらしい。

話を聞いた人は「きじまさん」に訪問される、恐るべき伝言ゲームなのだ。

この話を聞いた数日のうちに、”きじまさん”を見るかもしれない。

 

もし、聞かれたら…「違う!」と、答える。

そして、その体験を誰かに話すこと。

”きじまさん”が犯人にたどり着けるように……。

 

と言いつつ、この怪談が「最恐」と呼ばれるのはここからです。

実はこの話、作り話なんだそうです。

そのチームの人が友達に、「なんだ、まだ信じとったんか?あれなあ、実話とちゃうねん」と、言ったそうです。

”きじまさん”と言う人は存在しないらしいのです。

 

なあーんだ、と思いましたか?

本当に奇怪で奇妙なのは、この事ではなかったのです。

 

説明しましょう。

”きじまさん”が存在する可能性はないとしても、

「両腕両脚が切断され、全身が包帯で覆われて、片方の眼だけが露出している」

と言う情報があり、お気づきであろうか?

 

片方の眼とは言ったものの、左右どちらとは告げられていない。

目撃が誤認や錯覚の場合、偶然に正解と一致する確立は50%である。

ところが作り話で右・左と言ってないのなら、その証言の確率は50%であり、半分は食い違っていなければならないのだ。

 

が、しかし。

寄せられた目撃証言は、一件の例外もなく一致しているのである。

「左眼に睨まれた」と…

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