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会うと良くないことが起きると行ってきた彼女の予感

良くないことが起きる予感のイメージ
この記事の所要時間: 242

彼女とデートの日、待ち合わせ場所へ向かう途中、携帯が鳴った。彼女からだった。

「今日は行けない」と言う。

「もう会わない方がいい」と言う。

理由を訊いたが答えない。

 

しつこく訊くと「会うと良くないことが起きる」と言う。

「私は生きてちゃいけないの」と言う。

納得できなかった俺は「会おうよ」とごねた。

 

「死んじゃうかもしれないんだよ」と彼女が言った。

「死んでもいいから会ってよ」と俺は言った。

ここで引き下がって、納得できないまま生きるのは耐えられないと思ったから。

 

慌てた感じで彼女が「そんなこと言っちゃだめだよ!」と言った。

「本当に死んじゃうんだよ!」って。

30分ほどやりとりの後、彼女が折れた。来てくれることになった。

 

しばらくして、また携帯が鳴った。

「やっぱり行けない」と言う。

「今、どこにいるの?」

「東京駅」

「じゃあ、あとは乗りかえるだけじゃん」

 

「できないの」

「ハァ?何で?」

「悪い人が中に入って邪魔するの」

理解できなかった。

俺に会いたくなくて、そんなことを言ってるのかな、とも思った。

 

「じゃあ、そこにいて。俺がそっちに行くから」

「来ない方がいいよ」

「そこにいて。すぐ行くから」

俺は改札を抜けて、登り電車に乗った。

 

東京駅に着いた俺は、彼女に電話をかけた。

「着いた。今どこ?」と訊いた。

彼女は「○○って喫茶店の前」と駅構内の店名を言った。

「わかった。すぐ行く」と答えて、俺は走った。

 

見なれた店の前に彼女がいた。ほっとした。

なんか悲しそうに「何で来ちゃったの?」と言われた。

「会いたかったから」と答えた。彼女が笑った。

 

その店に入り、コーヒーを飲みながら話した。

彼女は妙に周囲を気にしていた。

しばらくして、彼女の携帯が鳴った。

 

中学の友達からだった。数年ぶりの連絡だという。

三人で一緒にゴハンでも食べようということになった。

有楽町で待ち合わせ、食事をした。

その友達曰く「なんとなく久しぶりに会ってみたくなった」とのことだった。

 

食事を終え、三人でぶらぶらした。

彼女はときどき周囲を気にしていた。

さほど遅くならない内に、別れて帰途についた。

 

別れ際、彼女が俺の手を握って「気をつけてね」と言った。

「よくないことがあるかもしれないから」って。

俺は本気にしなかった。

 

六日後、彼女が死んだ。事故だった。

もし、彼女が言っていたことが事実だったのなら、俺が殺したようなものかな。俺が殺したのかな。と思った。

確かに、よくないことが起きた。俺自身が死ぬよりも、よくないことだった。

 

十三年前の話だ。

画像出典元:futureshipwreck.tumblr.com

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