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人間をついばむカラスはすぐ殺せという口伝

 2016.02.25     都市伝説・ネタ     4件     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 2548

翌朝のことだ。いくら田舎の高校生とはいえ、朝5時に起きるほど健康的ではないのだが、父から叩き起こされた。

「これからドスコイ神社に行く」

ふざけた名前の神社だが、通称ドスコイ神社。

部落の子供が必ず一度はその敷地で相撲をとって遊ぶことから、その神社はドスコイ神社と呼ばれていた。

 

「昨日のことで?」

「そうだ。人間をついばむカラスのことだ。ドスコイ神社にあるんだ。
お前はまだ若いし怖がらせたくはなかったんだけど。
まぁ、でも、二十歳になったらなんて目安でしかないからな。
お前は妙に落ち着いてるから、見せても大丈夫だろう」

「父ちゃん、今日は仕事休むの?」

「ああ。お前も今日は部活は休め」

 

父からボン、と濡らしたタオルを顔に向かって投げられる。洗面所にも行かせてくれないらしい。

すぐに身支度をして、ドスコイ神社へと向かう。

朝5時に起こされたとか、大会が近い俺に部活を休めとか、普通なら俺が怒っても不思議じゃないことはたくさんあったけど。

皆が過剰に反応する『人間をついばむカラスはすぐ殺せ』の正体がとうとう分かるんだという期待に、些細なことは気にならなかった。

 

「父ちゃん、人間をついばむカラスって、妖怪かなんかなの?」

「カラスはカラスだ。ただの鳥だよ。それにな、もうカラスじゃないんだ。俺たちが殺さないといけないのは」

「殺すって・・・」

「ほら、もうドスコイ神社だ。あの本殿の中にあるから。俺に聞かれてもうまく説明できないし、俺だって…いや、なんでもない」

「?」

 

いつのまに預かっていたのか、父はごつい鍵を取り出して本殿(といってもかなり小さいが)の錠を開ける。

扉を開けるとほんのりと墨の香りがした。

本殿の中には御神体なんてなかった。いや、御神体どころか何もない。ただの部屋。

 

「何もないけど?」

「何もないか」

「…何もないよ」

「・・・。」

「いや、何もないから…え?」

 

その時、懐中電灯の照らすその先にかすかな、しかし確かな違和感。

茶色のはずの本殿の壁が、ところどころ黒いのだ。

経年による染みか…。いや、そうではなかった。明らかに人為的な曲線。

壁一面どころか、天井にまで描かれている大きな絵。これは絵だ。

壁をなぞるように光を這わせ、その絵が何なのかを見る。

 

その物語は、右の壁から奥の壁へ、左の壁を経由して天井で終末が描かれていた。

墨で描かれた真っ黒な鳥。その鳥がつくる漆黒の巣。その巣から産まれる真っ黒な卵。

その卵が割れると、そこから血しぶきをあげる真っ黒な・・・・人間?

周りに描かれた『普通の』人間を、その黒い人間が蹂躙している。

俗な言い方をすると、ぶっ殺している。

そして最後は、その黒い人間は小さな無数の蜘蛛に囲まれ、大きく両腕を広げていた。

 

信じる信じないとかではなくて、それ以前の問題だった。

ただ、その絵が正常な人間が描いたものではないことぐらい、美術2の俺にもわかっただけだ。

 

「何この絵、気持ちわり」

「神社の入り口の石碑な。あれ、流暢な文体で読めたもんじゃないが、もう高校生だからなんとなくわかるだろ。『口伝は駄目だという口伝』。そう書いてある」

 

「だから絵で伝えようって?」

「そう。お前はがっかりするかもしれないが、じいちゃんも、とめきっつぁんも、本当のことは知らないんだよ。だけど、昔の人は厳しかったからな。お前よりも父ちゃんが、父ちゃんよりもじいちゃんが、カラスを怖がるのはしょうがないんだ」

つまるところこの絵は、先人たちが描いた化け物への防衛策。

 

「父ちゃん…この絵。伝えたいことは大体分かるけど、でも分かんないよ」

「そうだろうな。俺もそうだった」

「教えてよ」

「お前がこの絵を見て思うことが全てなんだよ。口伝は駄目なんだ。
お前なりに解釈して、部落の飲み会で自分の考えを語り合って、怖がって、
それを繰り返すうちに、『人間をついばむカラス』は殺さないといけないと、みんな思うようになるんだ。
だけどな…これだけは、口で伝えることになってるんだ」

そう言って、父は人差し指を下に向ける。

 

つられて下に懐中電灯を向けると、大きな太い字で『人間』と書いてあった。

「ニンゲン?」

「ちがう。これは『ジンカン』と読む。これから殺すんだ」

正確には『人間をついばむ』ではない。

カラスは、髪の毛を狙っているのだ。人間の髪の毛だけで黒の巣をつくるために。そう思った。

 

その日の夕方には、部落の家という家の玄関先に蜘蛛の巣が張られていた。

ミニトマトを育てるときなんかに立てる支柱を2本地面に刺して、その間に巣食わせていた。

「変な宗教団体みたいだ」

理由を知らなければ誰だってそう思うだろう。

しかしまぁ、よくみんなうまい具合に蜘蛛の巣を張ったものだった。

 

「必死になればな。こうしないと死ぬかもしれないって思ったら、意外と出来るもんだ」

「あの絵の通りなら、ジンカンを殺すのは蜘蛛ってこと?」

「…そうだな。みんなそう思ってる」

「あの絵描いた人、頭悪いね。文章で残せばよかったじゃないか」

「その通りだな。だけどきっと、頭悪いから文章では残せなかったんだよ」

 

父と俺はひときわ大きな女郎蜘蛛を捕まえて、巣食わせた。

祖父はというと、他の家の蜘蛛の巣つくりを手伝っていた。

「うちの蜘蛛より大きいのは、とめきっつぁんのとこぐらいだね」

父は小さく「そうだな」と言うと、さっさと風呂に入ってしまった。

いつもより無口なのは仕方ないだろう。こんな日なんだから。

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コメント

    • 名前: 怖い名無しさん
    • 投稿日:2016/02/26(金) 15:50:22 ID:gyNTExMjM

    おもしろい。
    カラスが好きになった。

    • 名前: 匿名
    • 投稿日:2016/02/28(日) 17:00:57 ID:I2NzYwMDM

    確かに腐乱死体の臭いは強烈。一度嗅いだら忘れられん

    • 名前: 怖い名無しさん
    • 投稿日:2016/07/04(月) 01:20:53 ID:AzMjI1OTc

    ドキドキしたよ〜ヽ(´o`;

    • 名前: 怖い名無しさん
    • 投稿日:2017/01/11(水) 00:32:49 ID:QwNzY2MDM

    なぜもうジンカンは現れないって判断になったの?
    だれか教えて

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