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神と髪|かみを食べるもの

廃墟と化した神社に棲まう神
この記事の所要時間: 626

私の家は昔は陰陽師?拝み屋?みたいな事をやっていて、苗字も特殊だったりする。

何故か女にしか強い力が付かないから、昔から珍しい事に当主は女ばかり。

でも、最近は色々な血が混ざってしまって、払えるのは祖母だけになってしまった。

昔の形は遠に薄れてしまったので、父も含め祖母の息子は普通の仕事についてる。

 

だけど、何故か珍しく力を持ってしまって生まれたのが私。

何代目か解らないけど、強い力のある人の命日に生まれたせいだと祖母に言われました。

 

そんな家だった事や私の力の為に、幼い頃は毎日の様に怖い思いをしました。

それに、割と霊と言うのは波長が合わないと見えない物で、クラスメートは当たり前ですが両親にまで嘘吐きと言われて居ました。

そんな時代でしたから、ある日イジメられ、祖母に絶対行くなと言われていた廃墟の様な神社の社に閉じ込められてしまいました。

きっと名前を出すだけで泣いていた私を面白がって居たんでしょうね。

 

入って数10分ただただ、出して欲しいと叫びましたが。

不意に、外から聞こえて居たイジメっ子達の声が止んでしまいました。

途端、ひんやりとした空気が私の頬を掠めました。

不思議と気持ち悪いと言う感覚は有りませんでした。

 

『振り向いてはだめだよ』

中性的だけど、鈴の様な綺麗な男性な声だった様な気がします。

 

そして、彼(?)は祖母の言いつけで伸ばしていた私の長い髪に触れました。

『綺麗だ、ほしい』

淡々と淡々と彼は喋ります。不意に恐怖心を感じました。

 

祖母に

「お前の魂は空っぽだから、異質な物にとって栄養になる。だから、お前が食われそうになったその時は髪を切り与えろ」

と言われたのを思い出しました。

 

何度も反響する様に、頭の中でほしいと言う言葉が響きます。

震える声で、背後の彼へと声を掛けました。

「髪なら髪なら良いです」

 

言い終えるか否かの瞬間、背後からくちゃーと言う涎の様な声が響き、次の瞬間首が涼しくなりました。

嗚呼食べられてしまったんだなと思いながら、膝が震え倒れそうになりました。

けれど彼の手でしょうか、腰元を支えられゆっくりと下ろされました。

私はお化けと言う様な物に触られた事がなく、少し驚きながらも体内の熱が奪われていくのが分かります。

 

そのまま、眠ってしまったのでしょうか。

起きた時、私はいじめっ子の背中に居ました。

彼らは泣いていて、その声に一瞬気を取られていましたが、背後から足音が聞こえてきました。

 

いじめっ子達は私を神社から出そうとする時、扉が開かず、また出てきた私が髪が短くなっていた事…倒れていた事に驚いていた様でした。

また、彼等は真っ白い靄の様な物に追いかけられたと言う話をしていました。

 

私は早く帰らなきゃ行けないと思っていたので、彼等に声を掛けようとしたのですが、口が開かないのです。徐々に視力もぼやーっとしてきます。

聴力だけが以上に敏感になり、耳元に背後から聞こえる足音が大きくなります。

 

私は思いっきり私を背負う男子を叩きました。

そして、背中から降りるといじめっ子の腕を取り、ひたすら走りました。

足音は大きくなります。直感的に私の視力がなくなったら、私は死ぬし彼等も死ぬと幼いながらに恐怖を抱きました。

 

私は祖母を頼り、本家へとただ田舎道を走っていきました。

大きな門がぼやけて見えます。その前には祖母が立っています。

何故か祖母だけがはっきりと見えます。

安堵で祖母に向かって走ろうとします。

 

けれど、祖母は鬼の形相で叫びました。

「アンタが最後に入る様に二人を門に放り込め!」

私はただただ怖くて二人から手を離し、二人の背中を押して門へと飛び込みました。

そして、最後に祖母が入ってきます。

 

中には、いじめっ子二人の母親が白装束で立っていました。

「神社に行ったね」

祖母が怒鳴ります。

視力も声も戻らず、口を魚の様にぱくぱくする事しか出来ません。

 

祖母の指先が唇にふれ、次に胸元から真っ赤な独特の匂いのする紅が口元に塗られました。

不思議と声が出ます。言い訳混じりに言葉を続けましたが聞いてくれず、いじめっ子を含め本家のお経で固められた一室に、通されました。

  • さっき追いかけてきたのが「神」だと言う事。
  • 昔流行っていた神社の神だが、飢饉に陥ったさい生贄を与えてしまったのがきっかけで病んでしまっている。
  • 私は気にいられて影を食べられている(確かに私の影は無かった)。
  • 食べられたのは、髪では無くて私が生まれつき付けている神である事。
  • 私の視力が戻らないのは、神が付いていないから。
  • 私は神が憑いていなければ、三つの時死ぬ子だった事。
  • 今しゃべれるのは、祖母の力で完全に戻ってるわけじゃない事。
  • いじめっ子は神憑きで、また神社の神のお気に入りの子を虐められた為、祟られている事。

それらを祖母から聞いた。

 

そして、最後に私に神下ろしを行う。と口にした。

最悪の場合に備え、いじめっ子達の母親が呼ばれたのは自分の息子達の代わりの贄になる為だった。

私もいじめっ子もしてしまった事に後悔して泣いていた。

そして、祖母は私に真っ直ぐ言った。

 

「お前に代わりは居ない。お前と同じ霊力のやつも居ない。
死ぬかもしれない…
流石の私も神は払えない。だから、お前の中に彼奴を下ろす。
良いか、お前の気持ちが邪な物に落ちなければ…きっと大丈夫」

 

私はアレが自分の中に落ちる事が怖くて泣いた。

けれど、祖母に今のままなら祖母が死んだ時、食われてしまうと。

また、私に下ろさなければいじめっ子も危ないと。

そこまで言うと頷く事しか出来ない。

 

私と祖母だけで門の外に出ることに。

私は門を潜った瞬間、何も見えなくなって…倒れてしまった。

意識がなくなってからどうなったか解らないけど、起きた時には私の部屋と銘打たれた本家の一番奥で寝ていた。

 

ずっと髪を撫でられてた気がしたが、周りには誰も居らず。

起きあがると祖母が入ってきて、ただ一言「居る」と言った。

嗚呼私の中に入ったんだな。って解った。でも変な感じはしなかった。

嗚呼髪を触っていたのは彼かとすら思えた。

 

その後の一週間、私は禊ぎをさせられ夜になると祖母が寝るまで付いていてくれました。

その一週間私は毎日夢を見て、彼の記憶だったのかは解らないですけど、人を食べてしまった日の彼の悲しみが何度も襲いかかってきた。

ただの夢だったかも知れないけど、彼は人間を愛していたんだなと思ったし、私が髪をあげるなんて言わなきゃ素直に返してくれるんじゃないかって、凄く辛くなったし悲しかった。

 

以上で私に憑いている彼の話はおしまいです。

まだまだ変わった話は有るのですが。彼が付いてからは少なくなっています。

今私は高校生ですが、何れ祖母の仕事を告ぐのかなと今は思っています。

では読みにくい文章だったとは思いますが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

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