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とある事件が原因で精神病院に隔離された生存者の話

とある事件の生存者
この記事の所要時間: 550

これは本当にあった事件の話で、ある精神病院に隔離された事件の生存者の話です。

だから細部が本当なのか、狂人の戯言なのかは、わかりません。

 

しかし、事件そのものは実際に起こり、北海道新聞の過去記事を探せば「大雪山ロッジ殺人事件」というのがあります。

その男は確かにその事件の生き残りであるのも間違いない、という事は初めに言っておきます。

 

 

事の発端は主人公である事件の生き残りの男が、札幌市中央区の中○公園にある古本屋にフラリと入ったことから始まった。

余談だが、残念ながらその古本屋は現在はないらしい。

何気なく男が手に取った本の隙間から大学ノートが落ちてきた。

何か書いてあったので読んでみると・・・。

奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる奴がくる

もう自分で命を断つしかないのか…

 

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

という物騒な内容が、最初から最後までびっしりと書いてあった。

 

気味が悪くなった男は店主に

「こんなものがあったんだけど、なんですか?これ?」

と聞いてみた。

 

店主は「あ!」と声をあげて

「なんでもない、これは売り物じゃないんだ。」

と言ってノートをむしり取った。

 

その日は仕方なく帰った男だったが、あのノートに書かれていた内容が頭から離れない。

奴とは一体、誰なのだろうか?

ノートを書いた人は今も生きているのだろうか?

 

男は次の日も気になって気になって、気が付いたらまたその古本屋に来てしまっていた。

そして再び店主に問いただしてみたが、教えてくれない。

それでも更に気になって、男は一週間ずっと通い続けた。

 

さすがにうんざりした店主は、ついに根負けして口を開いた。

「あんた、そんなにこのノートが何なのか知りたいのかい?だったら、八月二十三日に大雪山の五合目にあるロッジに泊まってみると良い…。ただし後悔しても私は知らないよ」

 

男はここまで聞いてしまったら、もう止まらなかった。

友達四人を誘い、五人でその年の八月二十三日に大雪山のロッジを目指して登山を開始した。

登山したメンバーの内訳は女二人男三人。

 

登山そのものには、不可解な事は何も起こらなかった。

順調にロッジまで到着したそうだ。

 

ロッジに到着すると、女二人は「お茶の用意をしてくるね。」と言ってすぐに準備を始めた。

男達は二階に昇り、寝室に荷物を運んで整理を始めた。

登山を提案した男は、窓辺に座り景色を眺めていたそうだ。

 

五分くらいした後、寝室のドアの向こうから声がした。

「ねえ、開けて。お茶持ってきたよ。」

階下でお茶の準備をしていた女の声だった。

 

手にお盆を持っているから、自分でドアを開けられないらしい。

当然ドアの近くにいた男が、ドアを開けた。その瞬間だった。

 

突然、そいつの首が落ちた…。

ゴトッ!

しかし、何かがおかしい。

 

頭部が長髪の女の顔なのだ。

いや、正確に言うと頭部が女なのではなく、首が切り落とされた男の体の上に女の生首が乗っているようなのだ。

そいつの首の付け根からは、絶えず血が溢れてだしていた。

手には何かを持っているようで、生首女の目は恨めしそうにずっとこちらを見ていた。

 

そいつは有無も言わさず、荷物を整理する為に部屋の中心にいた友人の首も切り落とした。

同時に窓際に座っていた男は、無我夢中で窓から飛び降りた。

そして命からがら逃げ出して、登山道を偶然通りかかった登山者に助けを求めたそうだ。

 

「な…仲間が何者かに首を切り落とされて殺された!」

この信じ難い話に半信半疑だった登山者だったが、急いでロッジに到着してみると、凄まじい光景に腰を抜かしてしまった。

入口を開けて一階に入ってみると、女が二人とも首を切り落とされて死んでいた。

 

「これは大変だ…!」

その後すぐに警察が出動した。

生き延びた男は、窓から飛び降りた時に足を骨折していたらしく、病院へ搬送された。

 

警察が現場検証をしたところによると、四人の遺体の切断された切り口があまりにも鋭く斬られていたのか、出血もほとんどなかったそうだ。

警察はどんな凶器を使用したのか、まったくわからないと首をひねるばかりだった。

そして不思議な事に、犠牲者達の首は一つも見つからなかったそうだ。

結局、事件は迷宮入りしてしまった。

 

病院では、ベッドに横たわる怯えた姿の逃げ延びた男がいた。

そしてその部屋では看護師が男の点滴を替えている時だった。

コンコン…。

 

「あれ?誰だろう?はーい、どうぞ。」

しかし、ドアは開かなかった…。

 

その替わりに声が聞こえた。

「この部屋に入院している者の母でございます。実は荷物を持っていまして…すいません、開けて頂けませんか?」

男の母親の声だ。

 

が、母親は単身赴任の父を訪ねて東京にいるはずだった。

ここは旭川だ…こんなに早く母が到着できるのだろうか?

そもそも誰が連絡したのだろうか?

この時、男はその不自然さに気づいた。

 

「はーい、今開けますね…。」

「駄目だ!開けては駄目だ!」

と、男が看護師に声をあげようとした瞬間

 

ゴトッ…!

 

男が気づいた事とは、どうやらそいつは自分では決してドアを開けない、と言う事。

そいつは、どんな人の声も真似できるらしいと言う事。

そいつは、あらゆる口実でドアを開けさせようとする事。

そして、最後にそいつは自分の存在を知った人間を、殺すまで追い続けると言う事…。

 

男はその時はベッドを仕切るカーテンの中で気絶してしまったので、助かったようだった。

しかしそれ以来、男はドアのある場所へは近づく事もできなくなってしまったらしい。

現在もその男は精神病院の鉄格子の中で、大学ノートにこう書き続けているそうだ。

あの古本屋で見つけた、ノートの持ち主と同じように…。

奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る奴が来る

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