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鍾馗が描かれた掛け軸に隠されていた地獄と呪詛

ショウキが描かれた掛け軸に隠されていた地獄と呪詛
この記事の所要時間: 54

俺の家には嫌な絵がある。

いわゆる掛け軸で、作者不明で描かれているのはショウキだった。

俺の家にあるというのはちょっと大げさで、今は地元の神社にある。

 

この絵は、俺の親父が子供の頃に俺の祖父が知り合いから貰ってきたものである。

貰ったいきさつは、祖父の知り合いが亡くなって、その奥さんから是非貰ってほしいと言われたといったものだ。

しかし、生前故人とさして親交が深かった訳ではない祖父が貰い手になったのは、実は厄介払いの為だった。

 

というのも、その絵の持ち主は必ずごく自然な形で死ぬ(心臓発作とか)からだ。

ちなみに、故人もどこからか譲り受けたのだが、その前の持ち主もやはり若くして亡くなっている。

その前も多分そうなのだろう。

 

曰く付きの絵、ということだが祖父は大変気に入っていたという。

手放すきっかけとなったのは、俺の親父がかわいがっていた鳩が1羽残らず突然に死んだからだ。

さすがの祖父もこれには気味悪がったらしく、地元の神社に納めたのだった。

 

ところで、その神社は地元では有名でだいぶ前に二回ほどテレビの取材がきたことがある。

そこの神主さんは、俺の七五三のときにはだいぶ年を取っていて、読み上げる祝詞なんかはカセットテープみたいだった。

町の歴史に強く、相談事には親身にのる神主さんだったが、祖父のこの絵の件に関しては固く拒んだらしい。

祖父は祖父で、こんな絵を持っているのは嫌だったので、本気で土下座してようやく預かってもらえることになったそうだ。

ここで、その絵と俺の家との関わりはいったん途切れる。

 

 

関わりが復活したのは俺が小学校5年の頃だ。

当時の俺は始終狐に憑かれたような悪ガキだった。

 

神社でよく仲間と木登りをしていたのだが、ある日、神主さんにトッ捕まって社務所の奥の座敷に連れて行かれた。

聞かされるは優等生だった俺の親父の話で、いかに俺がバカかを諭す内容だったのだが、思い出したように神主さんは例の絵の話を始めた。

俺は聞かされたこともない話に夢中で、その絵を見せてくれと頼み込んだ。

 

神主さんは渋々見せてくれたが、その絵のすばらしさは本当に国宝級だと子供心に思った。

そして、神主さんが話した話は何となく言いにくくて親類の誰にも話せなかった。

 

以下、神主さんの言だが言っていた内容を書いてみたい。

 

「異常に無駄な空白部分に、薄く雲の絵が書いてあるのが見えるだろうが、
一見するとただのシミだ。昔はたいそうな絵であったに違いがない。

ただ、絵の具の代わりに使ったものが問題だ。多分、何かの血だろう。
絵の具の部分だけうまく残ってショウキの絵にはなっているが、本当は多分違う。
凝縮された地獄だ。この世の果てだ。この絵そのものが呪詛だ。

この絵には対になる絵があと六枚はあるはずだが、残りの絵も同じだ。私は見たことはない。
死んだ祖父が子供の頃に語ってくれたものとよく似てるんだ。引き受けたくなかったんだよ。
清めた縄が半年もしないうちに腐って土になるような絵なんか。

描いた人の落款がないのも当たり前だ。
呪う奴がわざわざ自分の名前を残すなんて聞いたこともない。

箱だけが新しいが、元の箱は必ず何か言葉が描いてあったはずだ。
古い忌まわしい言葉が。その箱さえあれば絵の真相を知ることができたろうに。」

 

 

最後に二つ、シメとして書きたいエピソードがある。

祖父が死ぬまえ、病床で俺は祖父と二人きりになったことがある。

祖父は痛み止めの注射でうわごとしか言わなかったが、少しだけ目が覚めて大学生だった俺に言った言葉がある。

 

「言葉は、人間が作り出した一番古い意思の伝達の方法だ。
人を怒らせるのも、悲しませるのも、笑わせるのも、喜ばせるのも言葉があるからできる。
言葉は人の気持ちを動かせることができるんだ。
だから、お前は人の気持ちを考えて、よくよく考えてから物事を言いなさい。

いいか、言葉は人に聞かせるものだとは限らない。神様にも通じるんだ。
祝詞はそうだろう?
古い言葉で意味はわからないだろうが、あれは神様とお話しする為の言葉だ。
同じように呪いの言葉だってある。秘密にしすぎて忘れただけなんだな。

あと言葉には力があるが、念を込めて人が作ったものほど怖いものはないんだ。
何かの目的の為に、人が一心不乱に作り上げた何かが場合によっては一番怖いんだ。」

 

それを俺に語った祖父は話し疲れて寝てしまった。

 

 

もう一つ、あの絵のことだが、雲に見えていたのは雲ではないと、あるとき気がついた。

雲のように見せて描いた地獄絵だと。

 

完璧な状態のその絵は人の心をつかんだのだろう。

よく見ればそれは地獄絵なのに。確証はないが多分そうだと思う。

祖父も死に際の意識が混濁しているときに、あの絵の世界を見ているような節があったからだ。

 

「骨が丸い。」そんな言葉をつぶやいていた祖父が少し怖かった。

 

終わりです。読みにくい文ですがつきあってくださってありがとうございました。

鍾馗とは?

鍾馗(しょうき)は、主に中国の民間伝承に伝わる道教系の神。

日本では、疱瘡除けや学業成就に効があるとされ、端午の節句に絵や人形を奉納したりする。

また、鍾馗の図像は魔よけの効験があるとされ、旗、屏風、掛け軸として飾ったり、屋根の上に鍾馗の像を載せたりする。

鍾馗の図像は必ず長い髭を蓄え、中国の官人の衣装を着て剣を持ち、大きな眼で何かを睨みつけている姿である。

出典元:ja.wikipedia.org

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