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飛頭蛮のような髷を落としたざんばら髪の生首が飛び回った山の怪異

飛頭蛮のような髷を落としたざんばら髪の生首
この記事の所要時間: 22

友人の話。

フィールドワークのため、山に一人こもっていた時のこと。

夕食後に水場で食器を洗っていると、何かが激しく後頭部に激突した。

ガンッ!

 

目から星が出た。溜まらず膝をつく。

続けて重い物が水に落ちる音がした。

何だ、何が飛んできたんだ?

頭を振りながら水に手をいれ、拾い上げる。

 

目の前にあったのは、髷を落としたざんばら髪の生首だった。

生首は舌を出してにんまりと笑い、空に飛び上がる。

固まっている彼の頭上を何度か旋回し、尾根の方へ向けて飛び去った。

まるで現実感が感じられず、夢かと疑ったそうだ。

 

 

翌日は別の場所で野営したのだが、夕刻を過ぎると彼は落ち着かなくなった。

警戒が功を奏したか、やがて夕焼けの中を飛んでくる物体を見つけたという。

 

遠目では生首かどうかはっきりわからない。

強気な彼は、正体を確認してやろうと、杖を握り締めて立ち上がった。

しかし、彼はすぐに杖を取り落とすことになる。

 

生首は二つに増えていた。

 

もう正体を確かめるどころの話ではない。一目散にテントの中に逃げ込んだ。

とても外を見る勇気はなく、そのまま夜が明けるのを待ったそうだ。

時々、含み笑いのような声が聞こえ、生きた心地もしなかった。

 

その地点から山を下りるのに、さらに二日かかった。

最終日、飛んできた生首は五つになっていたそうだ。

 

最初の激突以外には直接の被害はなかったが、無事に帰還できるかどうか不安で心細く、冗談抜きで発狂するかと思ったという。

帰ってから知ったのだが、彼が野営した地は、その昔刑場だった場所らしい。

しかも彼が食器を洗ったのは、斬り落とした首を洗っていた水場だとも聞いた。

 

「他の人たちは何事もなくあの場所を利用しているのに、何で俺だけ・・・」

彼はいまだに、そう愚痴をこぼしている。

飛頭蛮とは?

飛頭蛮(ひとうばん)は、中国の妖怪。

古典の記述によれば、通常は人間の姿と変わりないが、夜になると首(頭部)だけが胴から離れて空中を飛び回るものとされる。

出典元:ja.wikipedia.org

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