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東北の某所にある自殺の名所としても有名な峠道であった怖い話

峠道にまつわる怖い話
この記事の所要時間: 212

オカンが会社の同僚から聞いたお話。

話者は男なんだが、二十年も前、二十歳そこらの時分には暴走族をやっていたそうだ。

毎日、県下では難所として有名な峠道を、暴走族仲間と一緒に爆走していた。

 

 

ある日、その人の暴走族仲間の一人が事故を起こして死んだ。

その事故と言うのが妙なものだったそうで、カーブを曲がりきれなかったのか、彼と彼が乗ったバイクは峠道の外に放り出され、あとはバイクごと谷深い山中へと消えていった。

一緒に走っていた仲間の通報ですぐさま警察がやってきたが、どういうわけか谷底から彼とバイクが見つからない。

数百人態勢での捜索活動が行われたが、結局彼の遺体もバイクも見つからなかった。

 

数日後、話者の男性が夜中、暴走仲間の男女四人と車でその峠道を通った。

しばらく経って、今までわいわい騒いでいた運転手の男性が急に押し黙った。

どうしたんだとみんなが言うと、運転手の男性が「何か聞こえないか?」と言って耳をすます仕草をした。

突然なんだと耳を澄ましてみると、後方から改造バイク特有の、唸るようなエンジン音が聞こえてきた。

 

「あいつのバイクの音だ」

暴走族だったこともあって、エンジン音を聞いてすぐに、

そのエンジン音が事故を起こした彼のものだと気がついたそうだ。

 

すぐに、後方からバイクのライトが追いかけてきた。

そのヘッドライトは光が上下二股になっていた。

その改造も、やはり彼のバイクに施されていた改造だった。

 

車内は騒然となった。遺体が見つからないとはいえ、場所が場所だ。彼が死んだことは間違いない。

だったら後ろから追いかけてくるのは……。

とにかく車を路肩に止めて、彼が来るのを待つことにした。

 

バイクの唸りがすぐ背後に来た。ヘッドランプの光が車の横に来た。

物凄い唸り声を上げて、彼のバイクは車の横をすり抜けて行った。

テールランプが見えた瞬間、あ、と全員が声を上げた。

 

「車体がない」

 

そのバイクはヘッドランプとテールランプの光しか見えなかった。

ランプの光に照らし出されて浮かび上がるはずの車体も、搭乗者も、見えなかった。

体のないバイクは、そのまま峠道の向こうに消えていった。

彼の遺体も車体も、いまだに見つかっていない。

 

東北の某所、自殺の名所としても有名な峠道であったお話。

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