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破格の低価格で競売にかけられても買い手がつかない隣の家

 2016.06.19     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
破格の低価格で競売にかけられても買い手がつかない隣の家
この記事の所要時間: 241

 俺んちの2軒隣の家がさ、自宅兼事業所になっていて自営業を営んでいたんだよね。家も立派で大きいんだけどさ。

両親と娘の3人家族で、その娘は俺の3つ下だったんだけど、近所だから小学生の頃はいつも遊んでいたんだ。

でもいつの頃からかな、その子をめっきり見なくなってね。

事業所に毎日停まっていた従業員の車も見ることは無くなったんだ。

当時は理解出来なかったけど、事業が上手くいかずに破産・一家首吊り心中したと聞いた。

 

 建物は破格の低価格で競売にかけられたけど誰も買い手がつかないまま、俺が中学生に上がる頃にはいつしか近所では噂されるようになったんだ。

『夜な夜な誰もいない家から音がする』と。

俺は何もそういった体験はしなかったし、思い入れのある家だから気にもしなかったんだ。

でも、やっぱり今思い返すと異様な雰囲気はあったと思う。何て言うか、陰鬱な雰囲気っていうのかな。

そりゃ誰も人住んでないからね、そういう雰囲気はあった。

 

 中学生に上がり、遊ぶ友達も変わると今まで俺んちに遊びに来たことない子とかが来るようになった。

そんな中、1人の子が「隣の家(正確には2軒隣)誰か住んでるの?なんかいつも暗いよね。」と。

俺は答えをはぐらかし、引っ越した。と伝えると、

「さっき家の階段の所で女の子座ってたからさー。」

近所には子供もいなかったし、一体誰のこと言ってんだろう?と大して気にも止めなかったんだ。

 

 その夜、俺は金縛りで目が覚めた。この頃は部活もやってて疲れも酷かったし、何より金縛りによくあっていたので「またか」と思いつつやり過ごそうとしたんだ。

でもその日は中々とけなかった。とけないどころか、耳鳴り、目眩が酷くなってくる。次第に何故か恐怖の意識が沸いてきた。

「早くとけろ、早くとけろ…」

よく分からない恐怖に襲われながら、ふと目を開けると窓ガラスの反射越しに誰かが立っている。

白いワンピースを着た女だ。首から上は見えない。俺のベッドのすぐ横でユラユラと揺れている。

俺は意識を失った。

 

 翌日、俺は部活を終え学校から帰宅し就寝した。先日は怖い夢を見たから、今日は見たくないなぁ。そんな事を考えながら。

そして、それはやってきた。お腹が痛くなり目を覚ますと、布団の上に先日の女がいた。

なんていうか、騎乗位のような形で乗っかり前後にユラユラ揺れていたんだ。

頭や顔は見えない。見えないというかない。そして俺ははっきり聞いた。

「…カエリタイノ」

俺は気を失った。

 

 

 あれから10年経った今、その女は一度も現れていない。俺に何かが起こったということもない。

でもあの女は、当時一緒に遊んで亡くなった子が、帰る家を無くして一人寂しく彷徨っていたんだ、と思ってる。

当時、彼女はよくワンピースを着ていたのを覚えてる。

 

 今現在100坪を越えるその大豪邸は、価格1300万という破格の値段でも未だ買い手はついていない。

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