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漆黒の山に灯った青い狐火

火の玉
この記事の所要時間: 211

 大叔母から聞いた怖い話。大叔母がまだ若い頃、田舎にありがちな大家族だった我が家は、敷地内に母屋のほかに別棟が隣接して立ててあり、その1階を納屋、2階を子供たちの寝室にしてありました。

お手洗いは外にひとつだけ。外灯もろくにない時代でしたから、夜は本当に怖かったそうです。

 

 そんなある日、夜中に大叔母は小さい方の妹に、そっと起こされました。

お手洗いに行きたいけど怖いから、窓から見ていて欲しいと言われ、(もうその頃から足が悪く、這ったり、松葉杖で移動していたらしい)大叔母は窓を開けて妹が外のお手洗いに行くのを見ていました。

何度も何度も確かめるように振り返る妹に、大叔母は2階から手を振って、見ていることを伝えました。

 

 妹がお手洗いに入って暫く、大叔母はぼんやりと窓の外を眺めていました。満天の星空がきれいで、たまにフクロウの声が聞こえたりします。

そのとき、突然遠くでギャーンという声が聞こえました。狐です。狐というのは、猫を叩きつけた時にあげる悲鳴のような声で鳴くのです。

田舎なのでいまだに狐もいのししもアナグマ(だと思う)までいますが、やはり夜中に聞くと恐ろしいものがあります。(コンコンなんて可愛いものではありません)

 

 大叔母もはやく妹が帰ってこないかと、そわそわしながらふと、山のほうに目を向けました。

すると、よく晴れていたにもかかわらず、空はただ闇が広がるばかり。

そしてその中にふうっと浮かび上がった空より黒い山のシルエットの中に、ぽつりと青い火が灯りました。

 

 驚く大叔母の目の前で、その火はぽつ、ぽつ・・・と増えていきます。気が付くと、山はいくつもの青い狐火に覆われていたそうです。

そのあまりの美しさに、見入っていた大叔母でしたが、階段を駆け上ってきた妹の形相のほうが恐ろしく(笑)、布団をかぶって眠りにつきました。

別に実害はなかったそうです。

 

 でも幼い私は本当に怖くて、納屋の二階にあがることができませんでした。

このとき大叔母の見ていた山って、斜面に階段状にお墓のある小さな山なんですが、お墓の前に田んぼがあって、一人であぜ道の雑草を刈っていた母が、誰もいないお墓から仏壇にある鐘を鳴らす「ちーん」という音を聞いたと、青い顔をして帰ってきたことがありました。

(お墓しかないから、人がいてもそんな音が聞こえるはずがない)

・・・私、そこ通学路だったのに・・・コワ・・・

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