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「見えなくていいもの」物心ついた時から霊感が強かった俺と爺ちゃんとの秘密

 2016.07.10     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
黒い人
この記事の所要時間: 438

 俺は物心ついた時から霊感が強かったらしく、話せる様になってからはいつも他の人には見えない者と遊んだりしていた。

正直、生きてる者とこの世の者ではないものとの区別が全くつかなかった。知らないおじさんが玄関から入ってきても誰も気付かず、

「おじさんがそこに立っとーよ」と言っては「そげん人はおらん!」と怒られ、叩かれたりもした。

だから俺は怒られるのが嫌で、少しずつ無口になっていった。

 

 ただ1人、俺の味方だったのが爺ちゃんだった。一緒に歩いてる時、向こうから歩いてくる男が全体的に灰色がかっていて顔が土気色、そして背中にピッタリと張り付いている黒いものを見た。

爺ちゃんに「あの人どげんかしたと?何で黒いのしょってるん?」と聞いたら

「ああいうんはよくよく見とったらいけんよ、ちゃんと区別をつけるようにしんしゃい。人には影が出来るが、あのもんに影はなかろうが。まだ生きとるけどな…」と言われた。

 

 見れば確かにその男には影がなかった。そして追い風にも関わらず、線香と何か腐った様な強烈な臭いがしてくる。すれ違う時にはその臭いで何度か吐いてしまったのを覚えてる。

そういうものを何度も目にしたりして爺ちゃんに色々教わっていく度に

「ここには近寄ったらだめ」「あの人には近寄ったらだめ」

と、段々分かる様になっていった。そして爺ちゃん以外の人には話してはいけない事も。

 

 

 そんなある日(小学校2、3年位)夏休みで母の妹家族のとこへ遊びに行った。(その頃、爺ちゃんは妹家族と同居してた)

丁度同い年位の子が二人いたから、楽しくて毎日遊んでたらある日の昼に暑さで鼻血を出してしまった。

 

 叔母さんの家に行くと少し横になってなさいとの事で、ある一室に連れて行かれそうになったんだけど、そこは自分なりに気付いてた「近寄ったらだめ」な場所だった。

断ったけどガキの言う事なんて勿論聞いてはくれず、でも1人は絶対に嫌だったから庭にいた爺ちゃんを呼んで一緒に寝てもらう事に。

「何かあってもジィがおるけん、大丈夫」の言葉に安心して気がついたら寝てた。

 

 どれ位寝たのか、ふと目を醒ますと異様な寒さと線香の臭い。ヤバい、怖いと初めて思い爺ちゃんを見るとグッスリ寝てる。

起こそうと思った時に初めて自分の体が動かない事に気付いた。掠れ声位しか出ない。それでも爺ちゃんを呼び続けた。

その時、ゆっくりと襖が開いて出てきたもの。

首と右腕、左膝から下が無く、戦時中に着ていたと思われるボロボロの服を着て焼けただれたものが、這いずりながら俺の足元まで来た。

 

 そいつは俺がかけていたタオルケットをゆっくり引っ張る。何度爺ちゃんを呼んだか、

「爺ちゃん起きて!」と掠れ声で叫んだ瞬間

「なんや?」とこっちを向いた爺ちゃんの顔は焼けただれ、皮膚が剥け、片目と鼻のない今俺のタオルケットを引っ張っているそいつの顔だった。

 

 多分一瞬気絶したと思う。でも「まだ終わらんぞ…」って低い声と変な笑い声で気が付いた時、そいつの体はもう半分位俺の体に乗っていた。

そいつの血と自分の汗が混ざってヌルヌルする様な気持ち悪い感触。

その時突然、すげー勢いでお経を唱える声がした。泣きながら横目で爺ちゃんを見ると、怖い顔で聞いた事のないお経を正座し、こっちを向いてあげ続けてた。

そしたらそいつが舌打ちしながら「クソガキが…」みたいな事をモゴモゴ言いながら、煙の渦に吸い込まれてった。

 

 その後はもう、爺ちゃんにしがみついて大泣き。泣き声を聞き付けてきた叔母さんに爺ちゃんは「怖い夢を見ただけだ」と言い、ごまかしてくれた。

落ち着いてから爺ちゃんにあのお経はなに?って聞いたら

「ジィにもわからん、勝手に口をついて出たけん、多分ご先祖様が助けてくれたんやろ」と。

 

 その後、二人でアイスを食べながら庭の雑草を取ってたんだけど、何となく俺が掘り返した所から木の札が顔を出した。

爺ちゃんを呼ぶと、血相を変えてこっちにやってきて全部掘り返すと、その何枚かの札には何か書いてあり大量の釘が打ってあった。

「お前は見んでよか、触るな」と言い、裏の焼却炉の方へ持っていってしまった。

後に何が書いてあったのか聞くと、子供への怨み事が沢山書かれていたらしい。

 

 

 小6の三学期、爺ちゃんが胃癌末期と知らされ、最期まで爺ちゃんにバレない様にしろと家族に言われたが(今思えば小学生に対して無茶ぶりだ)、1人で毎日見舞いに行く度に俺が我慢出来ずに泣くもんだから、完全にバレてしまってた。

というか、爺ちゃんは最初から自分が長くない事を分かってた気がする。

「ジィがあっちに行く時はお前のいらん力を持ってくけん、ジィがおらんようなってもなーんも心配いらん」

といつも優しく頭を撫でながら安心させる様に言ってくれていた。

 

 そして爺ちゃんが亡くなってから十数年、怪しい場所や人から線香や腐敗臭、頭痛はしても、それ以上のものは一切見えなくなった。

ただ、結婚して子供もいる今、長男が幼かった頃の俺とソックリな行動をたまにしているのを見ると、先の事を考えて背筋が少し寒くなる。

以上、長文申し訳ない。

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