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「墓に入る権利」創作怪談

ホームレス
この記事の所要時間: 817

短編怪談

 

39 :名無し百物語:2015/01/28(水) 22:06:26.97 ID:fQSbg/TY.net[1/3]

 えーとよ、つい最近までホームレスやってたんだよ。あることを経験して、今はそれから復帰中だ。NPOとかいうやつの世話で、アパートを借りて生活保護を申請した。

いや、いつまでもそのままじゃいねえさ。毎日職探しに出てるよ。ちゃんと田舎へ戻れるような身分になりてえ。先祖代々の墓に入れるようにな。

でな、このホームレス状態から立ち直ろうと思ったのが、墓の話がきっかけなんだ。

 

 今年俺は、ある公園にブルーシートを張って住んでた。いや、そんなでかいとこじゃなくて、そのかわり森が深かった。そこに仲間3人と暮らしてたんだよ。

ま、仲間って言っても春から夏までの話で、みな冬が迫ってくれば、暖かいとこを求めて出て行くんだよ。して、次の年に帰ってこねえことも珍しくねえ。

だからまあ、行きずりの仲間ってことだ。徳さん、ヨシノ、竹公って仮の名にしとくわ。本名は知らねえからどうでもいいようなもんだが。

 

 ある暑っつい晩に、変な男が俺のテントを訪ねて来たんだよ。シートの張った部分を手のひらでバンバンと叩いて。

顔を出してみたら、スーツを着たやつだったんで緊張した。

ああ、区役所の福祉部のやつだと思ったんだよ。やつらは自立支援と言うが、やることは追い出しだから。

 

 ところが違ってた。スーツは黒で、俺から見ても仕立てのいいもんだってことがわかった。

顔はのっぺりとしてて、しわがなかった。じゃ、若いのかっていうと、髪が白髪交じりでね。

なんか得体の知れない不気味なやつだったんだよ。

 

 でな、そいつが切り出した話がまた異常な内容だった。俺に「田舎に先祖代々の墓はあるか?」って聞いてきて、

「あるんだったら、そこにあんたが入る権利を売ってくれ」って言うんだ。

なあ、わけわからねえだろ。俺の田舎はよ、弟が2人いて墓の世話とかやってるはずだし、売るなんて言うはずがねえ。

ところが「墓所を売ってくれ」とか「墓の権利を売ってくれとか」

 

 そういうことじゃなかったんだ。そりゃあ、俺は田舎に帰る気はねえよ。というか恥ずかしくって帰れねえ。この年になって定職も住む家もねえわけだからな。

だけど、田舎の墓には実質的には何の関係もねえ話で、ただ、俺がその墓に絶対入らないって確約をしてくれってことみたいだった。

 

40 :名無し百物語:2015/01/28(水) 22:07:04.98 ID:fQSbg/TY.net[2/3]

 それが「墓に入る権利」って意味らしい。変な話だと思うだろ。しかもそれを確約してくれたら、5万払うって言うんだ。

5万ったら、風呂に行って服を買って焼き肉を腹一杯食っても釣りが来る。

だからよ、承知しかけたんだ。だが、男が契約書を出してきたところで、気が変わった。

 

 何かの騙しじゃねえかと思ったんだ。こんな境遇になってまた、さらに騙されるなんて悲惨じゃねえか。そう思ったのと、男の様子が不気味なんでやめたんだ。

「わけわかんない話にはのれん、他をあたってくれ」こう断ったんだよ。

男はごり押しする様子はなくて、「そうですか」と言ってあっさり引き下がった。

それを見て、なんか損した気分になったよ。

 

 でな、よく朝になって、他の3人と公園のトイレで顔を合わせた。話を聞いたら、昨夜の男はそいつらのとこにも訪ねてきて、俺と同じ提案をした。

で、3人はそれを承知して拇印を押し、5万もらったって言うんだ。

懐が暖かくて、みなニコニコ顔だった。なんだか俺だけのけ者になったみたいで、激しく後悔したよ。

そいつら3人はその日どっかに出かけて行ったが、俺は悔しいんで話は聞かなかった。その夜のことだよ。

 

 外だけど、蚊がいるからシートの隙間をふさいでて暑くて寝苦しいんだ。眠れないでいたら、「ぎょえわーっ」って大きな叫び声が響いた。

ヨシノの声だと思った。こいつが俺らの中では一番若い。何かあったかと思って、おそるおそるシートまで行ってみたんだ。

したら、徳さんと竹公も来てたんで、「おいどうした」ってテントをめくってみた。

ところがよ、つい数秒前に叫び声が聞こえたってのに、ヨシノの姿がなんかったんだ。

 

 それでな、シート小屋の中がべしょべしょに濡れてた。水じゃなくて、粘り気のある透明な液体。接着剤みたいな感じだが臭いはしなかった。

で、3人であたりを探したが姿はどこにもなし。

それからとうとう帰ってくることはなかったよ。どっか他の場所に移ったのかもしえねえが、でも、いくらホームレスだって、出ていく前には寝屋をかたづけるし、あいさつだってする。

それにヨシノのなけなしの持ちもんは全部残ってたんだ。

 

 それから3日くらいして、俺が夕方雑誌拾いから帰ってきたら、徳さんがブランコのある遊び場のベンチに座ってたんだよ。

・・・普通、俺らはそういう人目のあるとこには姿を見せないようにしてるんだよ。特に子どもずれの母親なんかいる場所には絶対。

だってよ、苦情が行って追い出される可能性が高くなるじゃないか。

で、徳さんの後ろに近寄って「おっさん、何してる?」って聞いた。

 

41 :名無し百物語:2015/01/28(水) 22:08:04.95 ID:fQSbg/TY.net[3/3]

 徳さんは60代に入ってて、俺らの中では一番年上なんだ。したら、俺を見てすげえほっとした顔をして、「あれ本物だと思うか?」そう言って、ゴミ箱を指さしたんだ。てか、指の先にそれしかなかった。

あの、燃えるゴミと、ペットボトル、ビン缶に分かれた金属のゴミ箱だよ。

 

「こんなの本物も偽物もねえだろ」俺は近寄ってゴミ箱を平手で叩いた。

「なんでそんなことを言うんだ」少しボケがかってきたんかと思ったんだよ。

したら「夜になるとゴミ箱みてえなのが俺の骨を吸いに来るんだ。だから、それがここのゴミ箱じゃねえかと考えて見張ってたんだ」なんて言う。

 

「骨を吸う? こりゃダメか」と思ったが「ゴミ箱が人を害することはねえよ」そう言って、やや力を込めてゴミ箱をバンと叩いたつもりだったが、手にイヤーな弾力を感じたんだよ。

ゴムって言うか、病人の皮膚でも叩いたような。

「う!?」と思ってもう一度たたき直したら、今度はちゃんと金属の感触があって音が響いた。

徳さんは虚ろな目になって、もう俺のほうを見てなかった。

 

 でな、その夜も夜中に叫び声があがって、徳さんはテントから姿が消えたんだ。持ち物全部と、あの透明なべたべたが残ってるのはヨシノのときと同じ。

でな、やっぱ気味が悪いだろ。それで、一番俺と年が近くて仲のいい竹公と話をした。したら、竹公はのんきなもんで

「やつらこないだの5万で気が大きくなってるんだろ。なに、金なんてあっという間になくなるから、すぐまた戻ってくるだろ」

こんな感じでまったく気にしてなかったんだ。

「お前の身に変なこと起きてないか?」と聞いても、「なんもない、なんもない」って。

 

 でもよやっぱ変だから、俺は警戒をゆるめなかった。こんな暮らしでもよ、締めるとこは締めとかねえと、どんなことが降りかかるかわからねえ。

そうやって生き延びてきたんだ。

今回は俺の本能ってか、それがビンビン警告を発してた。

シートを畳んで場所を移ることを考えてたんだよ。

 

 その翌日、竹公の姿が消えた。夜中の叫び声はなし。シートの中は前2人と同じで、気味悪いぬるぬるでびっしょり。

でな、俺は見ちまったんだよ。シートの腰くらいの高さのところに、ヌルヌルの大きな塊があり、そこにな、カサブタみたいなのが4枚貼りついてた。

・・・人の爪に見えたんだよ。

俺はその足で荷物をまとめ、かなり離れた他の場所に移ったんだ。

 

 そこは河原で、他のやつらもたくさんテント張ってて、本来は人付き合いがうざったいほうだが、かえって安心できる気がしたんだ。

知り合ったやつに、「墓に入る権利を買う男の話を知らなねえか」って聞いたら、「何だよそれ」って反応だったし。まあこれで話はほとんど終わりなんだが・・・

 

 そこは河原だから、処理された下水の流れてくるでかい排水坑が、数百mおきにあるんだ。

でよ、栄養豊富だからその下の川には魚が集まるんだよ。それを釣りしてた。竿は木の枝でいいし、針と釣り糸だけあれば餌はミミズで十分。

何、暇つぶしで釣った鮒を食うわけじゃねえ。1度食ってみたら泥臭くてダメだった。

 

 で、水面を見てたら、坑の鉄柵になんか変なもんが引っかかってたんだよ。最初は透明のゴミ袋かと思ったが、それにしては滑らかな感じがした。

そうだなクラゲと言えば一番近いか。でもクラゲより透明でかなりの大きさがあった。

変に思って近寄ってみた。そのときに放水があって、それは鉄柵を抜けて俺の足元まで流れてきた。

それは生きてるふうもなく、自分で動きもしなかったが、下側に顔らしきもんが表面に浮いてるのが見えた。

目も口も穴だけだったが、ヨシノに似てる気がしたんだよ・・・

引用元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/kaidan/1406623022/

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