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あの世とこの世の境目と知らずにテントを張った山の中の野営

野営にまつわる怖い話
この記事の所要時間: 233

ある山に入った時の事。ふもとの村まで後少しというとこだったけど、先輩たちは人里が嫌いで村の見える山の中腹で野営する事になった。

手ごろな大きく平らな岩が2つ並んでいたので、そこで夕食の準備と夕食。

夕食の片づけも済ませてさて寝るかとなった時、その岩の間にテントを張った。

テントの脇には、けもの道のような山道が通っていた。

 

深夜、ふと目覚めると、山の下の方から話し声のようなものが近づく。

ん?と思っていると今度は山の上の方からしゃくじょうの音が複数。

これはヤバイと仲間を起こしてテントの中で震えていると山の上からも下からも、音と提灯のような明かりが迫ってくる。

「だめだ!」と思った瞬間、テントの窓がざっ!と開かれた。

そこには60代くらいの初老の男性の顔、ギャァ~~~!

 

すると、その男性が「こんなとこで何しとるね?」ん?普通の人間だった。

脱力しながら外に出ると、行列が表で止まっているのが見えた。

全員が額には寸ぼうしという三角の紙を当てて、黒い喪服だった。

なんだこりゃ?!と思っているとその列の先頭には4人ほどで担がれた、今は見なくなった座棺という土葬用の棺桶がぶらさがっていた。

 

葬列、夜中の葬列である。その地方では不浄を嫌って深夜に死者を葬ってしまい、葬儀はその次の昼間に行うとのこと。

しかも、先輩たちが寝ていたその奥には土葬専用の墓所がある。

先輩たちが寝ていた場所は言わばあの世とこの世の境目だったらしい。

棺桶は数人だけで担がれてその墓所まで送られ埋められる。

 

仕方なく先輩たちはふもとの村で寝る事になったのだが、山の上から聞こえたしゃくじょうの音は何だったのかと村人に聞くと

「そりゃあんた、あの世からのお迎えだよ。わしらがもう少し遅かったら・・・」

翌日、先輩たちはその村の鎮守の神様の社にお詫びをして村を後にした。

どこなのかは教えてもらえなかったけど、まだそういうのって残ってるのかなぁ。

 

 

オチが遅くなると思ったので、少し端折った分補足。

山間の小さな土地の小さな村だったらしく、土葬する場所がいっぱいにならないように、土葬用の墓所と、墓石のある墓地を別にしてあるそうな。

だから、実際に埋める方の場所は、古い場所の上からまた掘ってその土中にある遺骨を小さな箱に入れて、新しい棺の下に埋め直すんだと先輩たちは教えてもらったんだって。

 

先輩たちが夕食の準備したり夕食を食べた平らな岩はちょうど座棺が置ける大きさになってて、下手は現世で上手は来世、下手から親族が上手の岩に置き直して、そこで最後のお別れになる。

その後は、選ばれた親族以外の人達の手で埋葬に向かうんだって。

言わば先輩たちの居た場所はさながら三途の川なんだって。

ある意味、墓所よりも恐いという話でした。

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