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理系人間な兄が大学時代の下宿先でビビった科学では証明できないこと

理系人間の非科学的現象告白
この記事の所要時間: 236

 私の兄は出身大学名からしてバリバリ理系人間だが、兄をして心胆寒からしめた体験談。

一浪の艱難辛苦を乗り越え晴れて第一志望校に合格し、意気揚々と上京した筈の兄が両親にも事後承諾の形で、僅か一月かそこらで下宿先を変えた。

元来几帳面な質で、そういう大事な事は必ず相談なり先に話をするなりしてきた彼の余りにらしくない唐突さに両親も困惑したが、乗換えの手間等がどうとかで、とにかく家賃は変わらないから、とどうにか説き伏せたようであった。

その後はまあまあ順調に4年を過ごし、郷里で教鞭を取ることになり、実家に戻ってきた。

 

 ある夜、2人で留守番中、オカルトネタの番組など観ていたのだが、もちろん冗談のつもりで

「なんかこういうの体験ある?」

と、軽く聴いてみると、兄は予想外に真剣な面持ちで話始めた。

 

 最初の下宿先にいた時、まだ夕方には早いかな、位の時間帯、大学から帰ってまったり寛ぎながら、夕飯を食べに行くか自炊するか等と考えていると、座ってた身体がいきなり何だか重ったるくなり、全身が動かなくなった。

が、最初は

「成程、これが金縛りって奴か」

と悠長に思っていたらしい。

 

 いい加減不安になってきた頃、角部屋で2面ある窓の片方から、子供の頭位の大きさの白っぽいような青っぽいような、ぼんやり光る丸いものがふわふわと舞いながら入ってくると、それは暫く部屋や身体の回りを彷徨い、ふいに口に入り込もうとした。

何だかさっぱり判らないが、とにかくヤバいと本能的に察した兄は、とにかく息を止めたり用心して呼吸をしたり、懸命に抵抗を試みた。

やがてその白い丸っぽい奴は、諦めたのか、入ってきた時と同じように外に出て行き、同時に金縛りも解けたのに気付くと、慌て窓を閉め鍵をかけたそうだ。

 

「あれは今思いだしても気味悪かったな、何だったんだか」

 

 心無し青ざめた兄の呟きに、私は一度しか行かなかった、その下宿先を思い出してみた。

アパートと言うよりは、大家さんの敷地内に建った寮っぽい二階建てで、まず共用の広い玄関があり、靴を脱いで上がる。そのせいか廊下も清潔で、共同の手洗いと風呂も小綺麗だったな…。

兄の部屋は一階の、玄関を入ってすぐだったから、角部屋で日当たりも良く南側は庭が見え、新しい畳と日光がいい香りで、東側の窓は…

そういえば…低めの塀と生け垣の向こうは、確か墓地だった…ような…。

 

 私は、兄の突然の引っ越しの、本当の理由に得心した。また、その手の話に到底まともに耳を貸す聴く両親(特に父)では無いのも…。

余談ながら、歳月は流れ、今、兄は某私立高校で物理と化学を教えている。

その学校の校舎は古墳の上に建っており、突き当たり壁面からの手招きや、足音だけ聞こえる時がある階段や、確かに人影を確認したのに先客が乗ってないエレベーターが日々無駄に教師や生徒をビビらせるので、地元では割と有名な勤務先である。

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