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戸締りはシッカリして下さいね

 2014.12.01     恐怖体験談     1件     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 53

これは俺がまだ、学生だった頃だから

もう、5年も前の話になる。

古い話で悪いんだが・・・

 

 

当時、俺は八王子にある学校近くのアパートで独り暮らしをしていた。

その日は、俺の部屋で友人と酒を飲んでいた。

いつもなら、クダラナイ話で何時間も盛り上がっていたのだが、その時は少し酒を飲み過ぎた為、俺も友人も11時過ぎには寝入ってしまっていた。

何時間位経ったのだろう?

突然、玄関で呼び鈴の音が聞こえた。

時計を見ると0時30分をまわっていたが、俺は寝ぼけていたこともあり、飛び上がるように起きると、すぐに玄関の扉を開けてしまった・・・

 

と、そこには25~6歳位のグレーのトレーナーを着た男が立っていた。

「なんですか?」

俺は訝しげに男に尋ねた。

「○○さんですね?(俺の苗字)」

男が尋ね返す。

「えぇ、そうですが?」

なおも怪訝そうに答える俺にその男は、ユックリと落ち着いた口調で話はじめた。

 

「僕は、この地域の町内会長をしているものです。実は、今しがたこの地区で殺人事件が起きました。犯人は逃走中でまだ捕まっていません。危ないですから戸締りをキチンとして、今日は出歩くのを控えて下さい。」

俺は、寝ぼけたままで

「はぁ、解りました・・・。」

と言うと玄関を閉めた。

そして、酒の酔いもまだ残っていたのでまた眠ってしまった。

 

翌朝、新聞でもニュースでも確認したが、近所で殺人事件など起きた話は載っていなかった。

友達は、

「あんなに若い町内会長なんているかよ。」

と不審げに言っていたが、そう言われてみれば、夜中に警察でもない男が、近所にその様な注意をして廻る事、自体が妙な話だった。

「なんだったんだよ、あいつは?」

その時は少し気味が悪かったが、しばらくして、そのこと事態を忘れてしまっていた。

 

ところが、その二ヶ月後に俺は、その時の男を再度、目撃することになった。

前回同様、やはり夜中の0時30分を過ぎたころだった。

呼び鈴がなったのだ。

しかし、それは俺の部屋ではない。

隣りの部屋だった。

1回、そして、2回、どうやら隣は留守らしい。

と、呼び鈴は再度、立て続けに鳴った。

 

「うるせぇなぁ」

こんな夜中にそれだけならして出てこなければ留守だろ!

俺は、少し不機嫌になって、玄関の扉を半分開けた。

そこには、先日の男が前回同様、グレーのトレーナーを着て立っていた。

 

俺の扉を開けた音に気が付いて男が振り向き、俺と眼があった。

俺は、少し気味が悪かったが、それ以上に腹も立っていたので

「隣、留守なんじゃないですか?なんすか?」

と不機嫌に言った。

 

「あぁ、○○さん。いえこの間の犯人なんですが、まだ、捕まって居ないんですよ。だから、捕まるまでは近所の皆さんに、夜中は出歩かないように注意して廻ってるんです。」

俺はムッとして

「この間の朝、新聞もニュースも確認したけどそんな事件起こってないじゃないっすか!あんた誰だよ?」

俺は語尾を荒げながら、その男に言ったのだが、男はひるぐ様子もなく

「いえ、そんなことはありません。それに、犯人はまだ捕まっていないのです。とても危険です。いいですか、夜中は出歩いてはいけませんよ。」

と逆に強く諭すように俺に言った。

 

男の眼が据わっていたこともあり、俺は少し背筋も寒くなり、

「そうっすか。」

と愛想なく言って、玄関の扉をオモイッキリ閉めて鍵を掛けた。

腹立たしい思いと、気持ち悪い気分が入り混じったなんとも奇妙な心持でその夜、俺は寝床についた。

そして、翌日に俺は背筋が凍る思いをしたのだ。

 

その日の朝のワイドショーでは、独身OLの殺人事件が取り上げられていた。

場所は、俺の住むすぐ傍のマンションだった。

寝込んでいたOLの家に、空き巣に入った犯人が物音に気付きOLを殺してしまったのだと言う。

 

走り去る犯人の姿を目撃者した人が語った犯人の特徴は、20代後半の若い男でグレーのトレーナーを着ていたと・・・。

前の晩に俺の見た男の特徴。

そして、話の内容に妙に重なっていたのだ。

 

俺が背筋が凍る思いをしたのは、その夜になってからだ。

やはり、夜中の0時過ぎに玄関のベルが鳴ったのだ。

俺は、怖くて扉を開ける気にはなれなかった。

が、ベルは、1回、2回、3回となっている。

扉を開けずに俺が、玄関先で

「誰ですか?」

とたずねると先日の男の声がした。

「○○さんですか?ほら、言ったでしょ。犯人はまだ逃走中ですよ。戸締りはシッカリして下さいね。」

その声で、俺はハッとした。

窓、鍵を閉めてない・・・

 

急いで、部屋の窓の鍵を閉めようとカーテンを開けると、玄関に居た筈の男が、窓の前に立っていたんだ。

グレーのトレーナーを着て・・・。

息を呑むという表現がどんなものなのか、俺はその時はじめてしった・・・。

 

鍵をすぐに閉めて、カーテンも閉めて、何を血迷ったのか、部屋にあった扇風機を両手に構えて、俺は窓を見張った。

何十分もしたが窓を割って入ってくる様子もない。

ただ、カーテンを再度開いて外を確かめる気にもなれない俺は、暫くはそのままでジッとしていた。

そうこうしている内に、巡回中の警察官のおかげで、無事犯人の男は逮捕され、俺は事なきを得ることとなったのだ。

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コメント

    • 名前: 怖い名無しさん
    • 投稿日:2019/09/24(火) 22:28:45 ID:Q0MDEwNDg

    これは、非常に怖い話ですね。戸締まりはほんとにきちんとしないとまずいですね。

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