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トラックの荷台の中にいる何か

 2014.12.10     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 743

私は、仕事でトラックに乗っていました。
4tのルート便ドライバーです。

大体朝4:00頃から、自分のトラックにその日に運ぶ荷物を積みこんで、出発時間は日によって(コースによって)バラバラだから、トラックの寝台で仮眠するという生活を続けています。

この話は、2年ほど前になるんですが、ちょうど節分が終わったばかりだったから2月の中旬くらいのことだったと思います。

 

その日も、出勤して倉庫に積まれている荷を積みこんでいたんですよ。

休日出勤だったんで、事務所にも倉庫にも誰もいませんでした。

先輩も休出って聞いていたけれど、予定表をみたら昨夜の便で既に出てしまっている。

私は8:00までに出発すればよかったから、積み込みが終わってからは、いつものように寝台で仮眠してました。

寝台っていうのは、運転席と助手席のうしろにある空間のことなんですけれど、寝台の更に後ろはすぐに荷台なんです。

もっとも繋がっているわけじゃなく、壁を二枚挟む形になっているんですが。

 

それで、私寝台に横になってウトウトしていました。

日が昇ってくると、眩しいから顔にタオルを乗せていたんです。

どのくらい寝たかは覚えていないんですが、突然荷台側の壁というか荷台からドンドンドンッ!って壁を叩く音が聞こえたんです。

その音で飛び起きて、何事かと思ってすぐに確認したんです。

ウチの会社のトラックは、幌車じゃなくてアルミキャビンなので、開口部は後ろのゲートと側面のハッチの2箇所なんですが、ゲートは安全のために運転席側から電気的にロックを掛けていたんで、荷台内に誰かが入ったとしたらハッチからしか入れません。

 

で、みたらハッチが開いている。
その時は、まだ完全に頭が起きていないのもあって、ハッチから顔だけ突っ込んで確認したけれど誰もいませんでした。

荷物が荒らされた形跡もないですし、泥棒っていう訳でもない。

その1件ですっかり目が覚めちゃって、コーヒーでも飲もうと思って事務所に行ったんです。

そうしたら先輩が休憩室のソファーで寝ていました。
昨夜でて今帰ってきたようでした。

(さっきの先輩の悪戯かよ!しかも寝たふりしてやがるし…)

私は寝起き悪いんで、かなりムカツいて狸寝入りしてるであろう先輩を放置プレイして、コーヒーも飲まずにとっとと配送に出発しました。

 

その日のルートは、200kmほど走って5件の取引先に荷物を届けるコースです。

朝9:00に会社を出発して5件目の取引先に到着した時には20:00になっていました。

実は、途中でトラックのブレーキ(エアブレーキの方)が完全に逝っちゃって走れなくなったんです。

空荷だったらなんとかなるんですが、過積載気味(笑)に荷物積んでたんでとてもじゃないけど危ないからってことで、急遽サービス会社に電話して路上で応急処置をしてもらったんです。

おかげで3軒目以降の取引先の店着時間をオーバーしちゃってクレームを頂いてしまいました。

 

そんなこんなで、5件目でも小言を言われて頭を下げながら最期の荷物をその店に降ろしてたんですが…。
気づいたんですよね、そこで。

寝台で寝ていて荷台の壁の音で起きた。
それなのに荷台一番奥(走行方向でいうと前)に荷物が天井近くまで積み上げられてる。

おかしいですよね。

先輩の悪戯だったと思っていたのに、これじゃたとえ荷台内に入っても内側からキャビン裏の壁を叩くなんて真似は出来っこない。

外から叩く事も構造上不可能なんです。

 

すーっと汗が引いていくのがわかりました。
正直わけがわかりませんでした。

それでも仕事ですから荷物を全部降ろして、取引先のスタッフの方にもう一度お詫びして帰ろうとしたんです。
そうしたら呼びとめられまして、内心(まだ文句あるのかよ)とキレそうになったんです。
でも違いました。

 

スタッフの方「あの、荷台の中にお連れの方乗せたままでいいんですか…?」

そうきたかっ!って思いましたよ…。

私「いいんです!」

 

確認なんかしたくありませんでした。
てか出来ませんでした。

ラジオをガンガンにかけて、出来るだけ何も考えないように帰りましたよ。

会社についたけど、休みの日だし誰もいっこない。

タイムカードを押して速攻帰ろうと思って事務所に行ったんです。

そうしたら誰もいないと思ってた事務所に先輩がいたんです。

あの時ほど先輩の存在が嬉しかった事はありません。

 

でも、変なんですよ。
先輩…朝みた時と同じ格好でソファーで寝てるんです。

すぐに気づきました。
先輩の肌の色が、生きている人間のそれじゃないってことに…。

そのあと、一応救急車と警察を呼んで色々事情聴取みたいなことをして、結局家に帰ったのは翌日の3時をまわっていました。

 

翌日、翌々日と休暇を貰って翌翌々日ですか…出社したんです。

そこで初めて知ったんですが、先輩は自殺だったらしいんです。

司法解剖の結果、体内からアルコールと眠剤だったか安定剤が大量に検出されたそうです。

死亡推定時刻は、私が先輩を見た(出発前の朝)3時間前後あとでした。

ということは、あの時先輩はまだ生きていたことになるんです。
後悔の念で涙が出ました。

あの時、もし私が先輩の異変に気づいていれば、もしかしたら…ってやつです。

 

でも、思ったんですよ。
だったら、あの壁を叩く音はなんだったんだろうって…。

さらに詳しく聞いた話だと、先輩がアルコールと薬を摂取したのは私が積み込みをしていた時間だったって聞いたんです。
あの音が、先輩の悪戯だった可能性は低いってコトになるんです。

大体これから自殺をする人間が、そんなお茶目な事をするなんて考え難いし。

そういえば、最後の取引先でスタッフの方が変なことを言っていたのを思い出しました。

あの人にどんな人が荷台に乗っていたかを聞けば何かわかるかもしれない。

次に配送に行った時にさりげなく聞いてみよう。
そう思いました。

結局、それは実行出来なかったんですが。

 

 

後日談です。

出社したさらに翌日。
警察の方から出頭要請がありました。
なぜか社長も一緒です。

警察の方に聞いた話は衝撃的でした。
当初、先輩の自殺理由は誰も思い当たらなかったんです。

独身ですが一応彼女もいるし、とても明るくて職場のムードメーカーでもありました。

家族や友人に聞いても誰も思い当たるふしはない。
突発的な自殺、ということで片付けられるところだったんです。

 

しかし、自殺動機が警察の方で浮かんだと言うのです。

先輩は、自殺前々日の夜、飲みに出かけたらしいのですが(家族談)帰ってくるとすぐに出勤したそうです。
いつもより数時間はやく。

そしてその日。
先輩の走ったコースの途中の山間部で、老人の遺体が遺棄されているのが見つかったそうです。

遺体は損傷がひどく、検死の結果交通事故に巻き込まれた可能性が高いということでした。

そうです、先輩が配送の途中でそこに遺棄したのです。

警察の調べで先輩の車のバンパー部分にあり、その部分の塗装と遺体の衣服に付着していた塗装が一致したということでした。

警察の要請で、会社のトラックを調べたところあるトラックの荷台内の床から血液反応が確認されたそうです。

そのトラックは、あの日に私が乗ったトラックでした。

あの叩く音が先輩の霊だったのか事故の被害者の霊だったのか、はたまた私の気のせいだったのかはわかりません。
いえ、もうどうでもいいです。

私は、次の日会社を辞めました。
もう2度と、トラックには乗るつもりはありません。

 

 

最期に。
長々と書きこんでしまいましたが読んでくれた人、ありがとうございました。

ウチの方は田舎で車がないとなにも出来ないような土地柄なのですが、私は出来るだけ運転はしないようにしています。
あの

ドンドンドン!

という音が忘れられないとていうのもありますが、先輩の死後にお悔やみに行った時の家族や彼女の顔。
絶対に忘れられません。

 

車を運転している以上、何時何処で殺人を犯してしまうかわかりません。

この話をする事で、私が伝えたかったのはその事です。

これを読んでくれた方。どうか車の運転には気をつけてください。

欺瞞かもしれませんが、みなさんがこれで少しでも安全運転を意識してくだされば、きっと被害者の方の供養にもなると思います。
長文失礼しました。

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