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背後から感じた何者かの悪意

 2015.03.29     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 220

13年前の夏の話です。

ある週末の夜、私は知人から麻雀の誘いを受けました。

翌日何も予定がなかったので、気軽に応じました。

知人宅は私鉄沿線にあり、駅から少し離れた所にありました。

私も数回しか訪れたことはなかったのですが、何とかなるだろうと、その時は思いました。

そこは世田谷です。通りを隔てて町名が変わるような場所でした。

また深夜というともあり、辺りは見慣れぬ風景になっています。

携帯で知人に連絡を取り、番地を聞いたのですが、案の定迷ってしまいました。

狭い路地に入り込み、歩くこと数分、目の前に公団住宅らしき建物が現れました。その入り口らしき場所に、住宅表示板が見えました。

私がその板の前に立ち、現在地を確認していると、何気に視線がそれました。視界の端に黒い人影が………

 

それは階段の踊り場から、地面を覗き込んでいます。

自分のいる所から百メートルほど離れていました。
(どうやら男らしい)

しばらく目が離せずいると、なぜか背中に悪寒が走りました。

ここにいてはいけない。そう感じた瞬間、それはこちらに顔を向けました。

私が駆け出すと、背後に足音が反響しました。

ぺたぺたという音に思わず振り返ると、それはかなりのスピードで階段を降りてきます。

(追われている)本能的に感じました。

それを撒こうとして、細い路地を右往左往走りましたが、足音は近づく一方です。そして、全くペースが乱れないのです。

逃げているという実感は、強い恐怖となり、まるで押しつぶされそうでした。

やっと街灯のある通りに出ると、突然女性の悲鳴がしました。

出くわした女性が、私の尋常でない様子に驚いたのかもしれません。

奇妙な話ですが、私はなぜか解放感を覚えました。

何者かの悪意を振り切ったという感じです。

 

コンビニ近くのバス停のベンチに腰掛け、動悸が治まるまで休みました。

気持ちが落ち着いて、知人に電話しました。

駅まで迎えに行くという話になり、私は電話を切らずに歩き出しました。

道のりを誘導してもらいながら、きた道を引き返していると、急に通話が途切れました。

辺りは人通りもない住宅地で、静寂に包まれています。

すぐに背後から、ぺたぺたという足音が聞こえてきました。

 

結局、その夜は知人宅へ行かずじまいでした。

たまたますぐにタクシーを拾うことができたので、迷わず帰ることにしました。

いきなり運転手さんに
「運がよかったですね」
と声をかけられました。

あまり深い意味はなさそうでしたが、その一言は胸に響きました。

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