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視線を感じる危険な温泉旅館

この記事の所要時間: 435

それは13年くらい前に、友人2人と
「たまには温泉でのんびりしたいよね」
の一言からはじまりました。

「どうせなら、観光地よりもひなびた感じの落ち着いたところのほうがいいな。」
「ガイドブックにのってるとこはどうもね、人も多いし。」
皆それぞれ好きなことを言いながら、「あーでもない」「こーでもない」とやっていた末に、道南のとある温泉旅館に決定しました。

出発の朝は快晴だったそうです。全員が各自の荷物を持って集合しました。
その温泉迄約4時間。途中コンビニによったり、ガソリンスタンドで給油したり、たのしいドライブでした。その旅館につくまでは…

チェックインをしたのは午後3時位でした。
それまで快晴だった空も、いつのまにか雲がたちこみだし、今にも雨がふりそうな気配です。

しようがないのでとりあえず「部屋にいって休もう!」という皆の意見に従い部屋に案内してもらって、その部屋の戸をあけたとたん、「ざわっ」としたそうです。

いきなり気温が下がったような感じ。

「自分一人だったら部屋を変えてくれと言うけれど、みんなを怖がらせたくないから。」
だまっていました。

その部屋でテーブルでお茶を飲みながら話をしている時にも後ろからの”視線”を感じていたそうです。

ほかの2人は「暑い!」といっていましたが、姉は寒くてたまらなかったそうです。

嫌な視線を感じながらも、他の2人と
「あの**先生はだめだよ。」
とか
「最近、婦長さんがどーしたこーした。」
など職場での愚痴やうわさ話に花をさかせておりました。話をしている間にも、その”視線”がだんだん強くなっていくのを感じながら…

「ふっ」と気を抜いた途端にきたそうです。両肩に「ズシリ」と。
姉が言うには、霊にもいろいろ種類があって
「寂しいから自分に気がついて欲しい」
「自分が死んでいる事を知らないで、生前と同じにふるまっている」
等の霊はまだ良いそうです。たちの悪いのが「自分が苦しんでいるのだからおまえも苦しめ!」といった類いの霊だそうです。(うーん人間と一緒だ)

姉の両肩にのってきたのは「後者」でした。

「うわ、これはまずいな。」
とりあえず、いつも常備している荒塩を両肩に振りかけました(備えあれば憂いなしともいいますし…)
友人2人は姉が”見えてしまう人”と言うことを知ってますから、塩を取り出した時点で気がつきました。

友人A「なんか来た?」
姉「うん、さっきから後ろにいる。今私の肩つかんでる。」
友人B「やばいやつ?」
姉「かなりやばいかな。」
友人A,B「どうしたらいい?部屋変えてもらおうか。」
姉「部屋変えても多分ついて来ると思う。」
姉「私の後ろの壁、なにかある?」
友人「絵、風景画。」
姉「悪いけど、裏を見てくれる?」
友人2人びびりました。
「大丈夫だから、見て!」
と姉。

友人2人、おそるおそる絵をめくってみました。その絵の裏には御札が貼ってありました。

友人2人パニック状態!姉もさっさと逃げたかったそうですが、でもこのままにするわけにもいかず、
「ね、線香買ってきて、それとお供えになるお菓子とか果物。」
と友人に頼みました。

1人になった姉は、じっとしていました。
下手に話し掛けたりすると、この手の霊は図に乗って悪さをするのだそうです。

でも、「せっかく休みを取って、温泉に来て。しかもまだ温泉にも入っていない。」事に気がついた姉は無性に腹が立って来ました。(姉、短気です)
「でも相手をしたら、やばいよな~。この男」
霊にも男女があるそうです。
そうこうしている内に、友人2人線香とお菓子、それとなぜかろうそくをかかえて帰って来ました。(コンビニは便利だね!)

友人A,B「大丈夫だった?買って来たよ!」
姉「じゃあ、線香を焚いて。それと床の間にお供えをしてくれる。」

部屋に線香の煙がたちこみ出したころ、姉の両肩が「すうっ」と軽くなりました。
「今すぐ、荷物をまとめて出る準備をして。それと私の荷物もお願い、今動けない。」

姉は見ていました。後ろに居た男の霊が部屋のなかをぐるぐるまわりはじめた事を、その男の着ている背広は襟が広い今ではだれも着ないような古いスタイルだという事も。
その男は、首をうなだれながら部屋の中を歩き回っています。

姉「これは、やばすぎだな。」
その男は、引っ張る霊だったそうです。
引っ張る→生きてる人間を取り込む、というか自分と同じ目にあわせたいと思っている霊?精神状態によっては”同化”する事もあるそうです。

友人がロウソクに火を付けて床の間に備えました。
そのロウソクの火は「まんまる」な形をしています。
中学生の頃、姉は
「映画とかで、幽霊が出る時には、ろうそくほ火がゆらゆらしたりするけど、本当は違うんだよ。」
と言っていたのを思い出します。

男も歩き回る事に飽きたのか、床の間のお供えに気を取られたのか、床の間の前にじっと立ってます。

姉「この部屋出よう、今すぐ!」
反対する人いません。
フロントでチェックアウトして、車に乗り込み今朝来た道を戻りながら…
「なんだったの?」
姉「よくわかんないけど、あの部屋は集まるところみたい、でもほんとーにやばかったよ!」

全員、残りの有給休暇は自宅ですごしたそうです。

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