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髪の恐ろしく長い人はちょっと苦手

この記事の所要時間: 430

幽霊話じゃないけど、洒落にならないくらい怖かった話を。

3年程前、私は美大に通っていたんだけど、同じ学年にTというちょっと不思議な子がいた。

Tは属に言う「オタク系」な外見で、何よりも髪が物凄く長かった。

足首くらいまであったらしく、それをいつも一本の三つ編みにしていた。

もちろん手入れもされていないようで、バサバサで油っぽかった。

でも別に害があったわけでないので、仲良くはなかったが嫌ってはいなかった。

 

そんなある夏、学校の研修旅行で一週間程、京都奈良へ行くことに。

その内の最後二日間の宿の部屋が、私はTと一緒になってしまった。

できれば仲のいい子と一緒がよかったけど、

「まぁ寝るだけだし…」

と大して気にしていなかった。

 

無事に研修も進んで、最後の二日間の一日目、Tと同じ部屋になったわけだけど。

夜、友人達と酒盛りをして部屋に戻ると、Tはまだ起きていた。

特に共通の話題もないし、とりあえず

「寝ないの?」

と聞くと

「この後髪を洗いたいから…」

という。

この研修でまだ一回も髪を洗っていなかったらしく、流石の彼女も洗いたくなったのか。

しかし長過ぎる髪のため、大浴場で洗ったりすると迷惑がかかるから…ということで部屋に備え付けの洗面所で洗うつもりらしい。

ちなみに部屋に風呂はついてなかった。

私はもう眠かったし、明日も早いから…ということでさっさと寝てしまった。

 

夜、ふと目が覚めて横を見ると、Tがあの長い髪をゆっくりとかしていた。

こう…リングの貞子のお母さんみたいな感じに、横に垂らしてゆっくりと…。

その姿が何だか物凄く怖くて、とっさに寝たふりをした。

髪をとかしているTの表情はあまり見えなかったけど、すごくウットリした感じだった。

 

次の日は研修最後の日で、昼間の研修が終わってからその旅館で夕食となった。

その日の夕食はスキヤキで、いくつかのテーブルに分かれて食事をしていた。

私はTとは違うテーブルで、とにかく肉を食べまくっていたのだけど(笑)

しばらくして、突然Tのいたテーブルから悲鳴が聞こえた。

見ると、何かが燃えている!Tの髪が燃えてる~!

どういうわけかTの長い髪がに火がついてしまったようで、鍋はひっくり返すは泣き出す人はいるわの大騒ぎだった。

髪の燃える臭いなのか、凄く嫌な臭いがしていて、結局Tの髪はチリチリに焦げてしまった…。

でも、頭に燃え移る前に消火できたのか、T本人に怪我は無いようだった。

それでもまぁ何かあるといけないから、ということでTは病院に行くことに。

結局私1人で部屋に戻った。

 

Tは荷物も持って病院に行ったのだが、どうやらスケッチブックを忘れて行ったらしい。

研修旅行というのは、色々な神社仏閣を巡ってスケッチをしたりする内容がほとんどだったので、それで使った物だと思われる。

スケッチブックくらいなら、持って帰って今度渡してやるか…と思い、何となくその中をパラパラ見てみた。

もちろん中には、仏像なんかのスケッチが描いてあったんだけど、最後の方の1ページが物凄く気味悪かった。

強い筆圧で、ページ一面に何かが描かれて真っ黒になってしまっている…。

それがよく見ると、全部アルファベットの『R』だった。Rだけがくり返し描かれて真っ黒になっている…。

気持悪!と思った時、スケッチブックに髪の毛がついているのに気付いた。

長~い髪…Tのものだろうけど、その髪がページとページの間に挟まっている。

しかもほぼ全ページに、髪が挟まっていた。

手にもついてしまって、慌てて洗面所で洗い流そうとしたら…。

 

洗面所が何か変。水が流れていかない…。

朝は気付かなかったけど、何かが詰まっているようだった。

その時点ですごく嫌な予感がして、友達と旅館の人を呼んで見てもらった。

そしたら案の定。ごっそりとTの髪の毛が…。

それが半端な量でなく、人の頭一つ分くらいあるんじゃないかと思うくらい。

そこまでして、部屋のいたる所に髪の毛が落ちているのに気付いてしまった。

長過ぎて細くなってしまっているので、中々気付かなかったのだけど、よく見ると部屋中が髪だらけだった。

普通の人間の抜け毛の量かもしれないけれど、長さが半端でないのですごく多く見える。

もう気持悪くて、結局その日は友達の部屋で眠らせてもらった。

スケッチブックは、仕方なく持ち帰ったけれど…。

でも結局スケッチブックは渡せなかった。

何故ってTは学校に来なくなってしまったから。

精神病になった、とか引きこもりになった、とか色々噂が流れたけど、本当のことは誰もわからず、私も卒業。

スケッチブックはアトリエに置き去りにしてきてしまった。

 

そんなことがあったせいで、今でも髪の長い人はちょっと苦手だったりする。

長文失礼。これが私が今まで生きてきた中で一番洒落にならなかった話。

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