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視覚が麻痺すると利き足の逆方向へずれて歩いてしまう

この記事の所要時間: 210

場所は詳しくきいていないけど確か私の地元のお話。

県名は内緒ですが(すみません)私は先輩の話をきくまでその場所をきいたことなかったので有名でないところなのかな。作り話らしいです。

当時先輩は音大に通う1年生でした。

大学のサークルで例年肝試しをしていたそうです。

1年生と2,3年生1人ずつの2人1組でトンネルの中を歩いて抜けるというものでした。

トンネルの長さは長くもなく短くもなくといったかんじです。

ただしそこのトンネルはもう使われていないので、内部には一切照明がありません。

これがこの肝試しの特徴だったそうです。

懐中電灯はもたずに歩くのです。

 

先輩は恐怖というよりも興味でいっぱいだったそうです。

人数もけっこういたのでみな落ち着いていましたがやがて一組、また一組とトンネルの中へ消えていくごとに少しずつ緊張感が高まっていきます。

やがて先輩たちの番がきました。

先輩が右手にたってゆっくりと入っていったそうです。

 

入り口ではぜんぜん平気だったけれど、トンネルの中は本当に真っ暗で、けれど怖いというよりはむしろ気をつけて歩かなければいけないと思っていたそうです。

足元も見えません、とその時、隣にいた相方が声をあげました。

反射的にその人がいると思うほうを向くとやはりなにもみえません。

が相方は笑いながら、壁にぶつかったのだと言いました。

人間はまっすぐ歩いているようでも、視覚が麻痺すると利き足の逆にずれていくのだとその相方はぼそぼそといっていたそうです。

 

それから二人はできるだけ真っ直ぐ歩くように気をつけました。

正面からオレンジのパーカーを着たおじさんが二人の若干横を通り過ぎていき、やがてトンネルの出口が薄い暗闇であらわれたそうです

 

出口には先に通過した人たちが待機していました。

みんな何事もなかったようですが、後続の結果にいくらか期待していたようで、どうだったかときいてきました。

別になにもなかったよ。

とトンネルを振り向きながら答えた先輩と相方は凍りつきました。

 

先輩たちが歩いてきたトンネルは真っ暗だったのです。

オレンジのパーカーも顔だって見えるはずがなかったのです。

けれど二人ともまったく同じものを見てしまいました。

パーカーのおじさんは通りすがる時、相方の左手、つまり壁があるはずのところを歩いていったのです。

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