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カメラに魂を吸い取られてる

この記事の所要時間: 330

写真てあるじゃん、今回はそれの話。

現代はカメラだって色々な種類があるよな。デジカメ主流だけど携帯だってあるし、それにまだポラロイドだって使われてる。

でさ、心霊写真ってやっぱりいまだにあるわけよ。

どれだけカメラの技術が発達しても、さ。

だがな、窓に霊がうつっているとか、白い手がうつっているってのは、かわいいもんだ。

 

これはもうすでに亡くなった祖父から聞いた話。

写真の話。

 

彼らの代にはまだカメラなんて定着してなかった。

いまだにいうだろ?

大正生まれは写真嫌いだって。

なんで嫌いかって、別に恐ろしい形相をした鬼やら、きちがいじみた目をした霊なんて一切うつってなかったのさ。

写真の中にはちょっと無表情にこわばった自分の顔がうつってたって。

祖父ははじめてとった写真のことをよく覚えていた。

感動したんだってよ。

 

祖父のまわりの人々は大半が感動したという者と、きもちわるいと言い出す者との二通りに別れたそうだ。

気味悪がったのは大抵が保守的というかアナクロってのも変だけどよ、亭主が多かったそうだ。

 

そんな中でカメラにひどく傾倒したやつがいた。

そいつは30過ぎの一人身の男でな、変わったものが好きなやつだったそうだ。

当時カメラがどれだけ高価だったかはしらないが、そいつはなんとかして一台手に入れたそうだ。

それからそいつは写真をとりまくったらしい。

毎日毎日。

 

 

やがて

みるみるその男はやつれていった。

家の窓は閉め切られて、中の様子はわからない。

が、日に一度は外でみかけていたらしい。

やつれ具合は恐ろしかったが、別に死んでいるわけでも狂っているふうでもなかった。

 

だが近所の男たちにとっては恐ろしかったんだな。

あいつはカメラに魂を吸い取られてるって。

写真なんかとるもんじゃない、っていう噂が広まり始めた。

 

ある日、祖父はその男と街中で出会った。

目にはくまができ頬はこけていたが、不思議と生気に溢れていた。

なんとなく興味があった祖父は食事に招いたそうだ。

男はまったく普通の素振りで笑ってokした。

 

酒を随分くらったあとで祖父はつい噂のことを話してしまった。

が、そいつは笑いとばしていた。

気を悪くしたわけでもなさそうだったので、祖父はおもいきってきいてみた。

毎日毎日、なんの写真をとっているのか?と。

 

そうするとそいつは急にぶるぶると震え始めた。

頬の肉がぶるぶると、それからレンズが覗いてる、とだけ呟いたそうだ。

 

そのころからだろうか、男を外でみかけなくなった。

近所のやつらは薄々きづいてたろうよ。

だが薄情なもんだ、2週間ほどしてようやく男の家から死体が発見された。

 

だが恐ろしかったのは、そいつの死体でもなんでもない。

ぼろい木の机の上にそいつが大事にしていたカメラがおかれていたそうだ。

そして床一面にありとあらゆる写真がしきつめられるようにして散乱していた。

別に霊なんて写ってない、狂った男が写っていたわけでもない、普通の顔をした写真を狂って撮ってたんだとよ。

 

それから祖父はしばらくカメラが怖かったそうだ。

だがこの話をきかせてくれたときにはもう平気だっていってた。

ここまで話してから、「そうそう」と前置きをして祖父は思い出したように俺にいったよ。

 

魂が抜ける写真てのには条件があるらしい。

この話をよく考えればわかるんだってよ。

俺はわかったよ。

 

お前等も写真とるときよくレンズの中を覗いてみろよ。

目玉がみえるもしれないぜ。

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