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方位や一緒に住む人の影響で霊を引き寄せることもあるらしい

この記事の所要時間: 436

兄が家を出て近くのアパートに引っ越した。

兄の部屋は2階の一番奥。

2階の廊下は非常階段のように鉄でできていた。

だから人が歩くと当然足音が響く。

 

その夜、兄が一人で部屋にいるとカンカンと廊下を歩く音がする。

その足音が兄の部屋の前に止まりコンコンとノックの音が聞こえた。

 

兄は彼女か友達だろうと思って出てみると誰もいなかった。

 

そんなことが何回か続いた。

兄の友人もノックの音を聞いている。

 

そのうち、部屋の中で人の気配がするようになった。

 

部屋に帰ってくると、誰もいないはずの部屋の中に誰かがうずくまっている。

だけど、電気をつけると誰もいない。

 

私も兄に呼ばれ、その部屋に行ってみた。

私が部屋に入り、電気をつけようとすると

「そこにいるよ!」

兄は私の手を押し止め部屋の一点を指した。

「その影の所にいるだろう、そこだよ!」

だけど、私自身は幽霊とか見たこともなかったし別に何にも感じなかった。

 

私は兄が神経過敏になってるんだと思った。

昔からツッパリタイプの兄だったのでちょっと意外な気もした。

 

案の定、電気をつけてもそこには何もいなかった。

 

 

あとで兄の友達から別の話を聞いた。

部屋で徹夜マージャンをやっていると、時折窓の外を何か白いモノが通り過ぎるというのだ。

あまり新しくないアパートだから、窓は磨りガラスで外ははっきりとは見えない。

周りは家が建て込んでいるので、自動車のライトが差し込むような場所でもない。

最初は、仲間が悪戯しているのかと思ったが窓の外にも廊下にも、誰もいないし何も白いものなどなかった。

 

ある日、やはり仲間と徹マンしていて、部屋の端にあるベットで彼女が一人で横になっていたのだが、その彼女が突然苦しみだして自分で自分の首を締め始めた。

兄と仲間が驚いてその手を振り解こうとしたのだが、とても女とは思えないような力で締め付けている。

やっと男5人がかりで手を外し押さえつけたのだが、気を抜くとまたすぐに首をしめようとする。

その日は、朝までそんな状態が続いた。

 

しかし、朝になってみると彼女はケロッっとして、自分がしたことなど何も覚えていなかった。

 

この部屋で前に人が死んだとかそういった話は聞かない。

近くに遺跡はあるものの妖しげな噂もない。

以前、大工をしていた父はその部屋は方位がよくないからだという。

結局、兄はそのアパートを引き払い、別のアパートに引っ越した。

 

今度の部屋は1階だった。

 

しかし、前の部屋ほどではなかったが、やはり妙なことがおきた。

 

ある朝、私が家を出ようとすると、兄がやってきて

「朝方、お袋とお前、うちに来なかったか?」

と聞くのだ。

今度の兄のアパートは、家から5分ぐらいの所だが私も母ももちろん行っていない。

 

「俺が寝てると誰かが玄関から2人で入ってきて、俺の頭のところで覗き込んでたんだけど」

 

私は寝ぼけたんだよとか何とか言って、その時はあんまり取り合わなかった。

母もその手の感覚には疎いのだ。

しかし、父は割と霊感が強いらしく気にしており、結局父の知り合いに見てもらうことになった。

 

知り合いの人が言うには、原因はアパートや兄の方ではなく、兄の彼女の方だった。

実は、兄の彼女は非常に霊感が強く、どうもあちこちから呼び寄せてしまったり、あるいは引き込まれてしまうらしい。

 

彼女の話を聞いてみると、そういうことは日常茶飯事らしい。

交差点の真中に子供の頭だけが見えたり、昼日中、道を歩いていて、人とすれ違ったとたん、その人が手首だけを残して消えてしまったりする。

普通の人だと思っていただけに、恐いと思うより先にびっくりしたそうだ。

以前、海に行った時もそこは崖の上で見晴らしもよく胸の上あたりまで手すりが付いていたのだが、崖下の波しぶきを見ているうちにそれが「おいでおいで」しているように思えて気が付くと身を乗り出して今にも落ちそうになっていたそうだ。

あんなに高い手すりなのに、どうやってそんな体勢になったのか自分でも分からないと言う。

そうした影響が、兄にも現れたということだった。

父の知り合いによると、今の所さほど実害はないらしい。

結局お祓いしてもらい、身を守る方法を教わってからはあまり妙なことは起きなくなった。

 

その後、兄は彼女と結婚したのだけど、ほどなく別れてしまった。

今は別の人と再婚して、何事もなく暮らしている。

 

長文失礼しました。

ベタな話ばかりなのですが、脚色はほとんどありません。

私が本人からじかに聞き、あるいは目にしたことばかりです。

でも正直なところ、私は一種の神経症みたいなものだと思っています。

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