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閉鎖し廃病棟となった場所から掛かってきたナースコール

この記事の所要時間: 126

M県Y市T病院。今から45年前の、梅雨時の晩の事である。

夜勤に当たっていた新人看護婦M子は、1年先輩のHとナースステーションにいた。

その頃、M子は独り暮らしをしようと考えており、Hに部屋の家賃の事や家具の事を相談していたという。

 

時間は午前1時半。

前日22時の巡視が終わり、次の巡視まであと30分というところだった。

突然、ナースコールが響いた。どこからのコールなのか、パネルを見て確認する。

するとどうした事か、ナースコールは半年前に閉鎖し、廃病棟となった西棟から掛かっていたのである。

西棟は電気はまだ通っているが窓は塞がれて、外来に使われていた玄関にも鍵が掛けられている。

ナースステーションから鍵を持ち出さない限り、人が入る事は出来ない。2人は戦慄した。

しかし病棟の管理の事もあり、見回りに行かなくてはならない。

Hがあまりに怖がるので、多少楽天的で活発な性格をしたM子が見回りに行く事になった。

 

ナースコールは西棟の1階、112号室から。

M子は懐中電灯を片手に、半年前までのこの病棟の様子を思い出しながら112号室へ向かった。

少し立て付けの悪いドアを開ける。

すると不思議な事に、病室から薄ぼんやりした灯が廊下に溢れた。

病室の裸電球が点いていたのだ。

風もないのに、電気の紐が揺れている。全く無気味である。

M子はもうシーツやマットを取り除かれ、冷たい鉄パイプと板だけになったベッドの上に、妙な物が置かれている事に気付いた。

古ぶるしい木の箱と、聖書。木の箱には臍の緒が入っていた。

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