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某研究所の実験動物棟でマウス飼育実験していた際に遭遇したクリーチャー

この記事の所要時間: 54

某研究所の実験動物棟で働いていたときの話です。

仕事内容は動物の世話、実験室の掃除、滅菌処理、実験補助等。

自分がいた実験動物棟は、クリーン動物(マウス)を飼育している棟で、入室には無塵衣という、塵の付きにくい全身を覆うタイプの衣に着替えます。

むき出しの部分は顔と手、足だけの服です。

滅菌マスクをし、手は消毒後、医療用手袋をつけます。足は滅菌済みの靴下をはきます。

この状態だと声、体型、目、眼鏡くらいでしか、人を判断できません。

 

 

その日、私は休日出勤に当たっており、チャチャッと終わらせて帰ろうと思い、急いでクリーンエリアへと向かいました。

扉の前には、私たち実験補助要員のネームプレートと研究員のネームプレートが掛かっており、私は自分の名前の書かれたプレートをひっくり返し、他に人がいないことを確認しました。

動物を扱うため、休日はローテーションで一人出勤があたりまえです。

また、研究員たちも、まず出勤する人はほとんどいません。

早々と無塵衣に着替え、エアシャワーを浴び、中に入りました。

 

クリーンエリアといっても色々で、通常、導線は…

脱衣所→エアシャワー→廊下→各部屋(動物室/実験室)→廊下→脱衣所

まあ、簡単に書くとこんな感じです。気圧調整もされています。

 

淡々と作業をこなしていき、作業も半ばに来たときでした。

「ゴゥーーー」
というエアシャワーの音がしました。

私は
「あ、誰か入ってきたな」
と思い作業を続けたのですが、しばらくして、おかししい事に気がつきました。

いくらたっても部屋に入る扉の音がしないのです。

普通、気圧調整された部屋に入るときは、扉の上にあるダンパー(空気を逃がす装置)が
「カパーン!」
と音がするし、

扉自体の音が
「ガチャン!」
と音がします。

一番遠くの部屋にいても聞こえる音です。

不思議に思い、各部屋を点検に行きました。

扉には小窓(のぞき窓)がついており、小窓には蓋がついています。

一部屋ずつ小窓を覗いていきます。

蓋を「カパッ」とあけ小窓を覗き、「パタン」と締め次の部屋へと。

全ての部屋を覗きましたが誰もいません。

釈然としませんでしたが、作業中の部屋に戻りました。

 

 

作業は、マウスの戸敷を新しいものに変えるという作業です。

部屋にはケージと呼ばれるマウスを飼育するケースが、ラックに並べられています。

ラックは一部屋に6個設置されており、1ラックは4段の作りになっています。

1段に5ケース。1ケースには1~5匹のマウス達が飼育されています。

 

かなりの数のマウスがガサガサゴソゴソ、「チチチッ」(泣き声)など絶えず音がしています。

と、そのとき一瞬マウス達のザワザワが止み、
「パタン」
という音が部屋に響きました。

扉についている小窓の蓋を閉める音です。

「!!」

「なんだ?!」

「誰か覗いていたのか?」

急いで扉を開け廊下を確認したのですが、一歩道の廊下には誰もいません。

廊下には飼育室/実験室へと繋がる扉が均等に並んでいるだけです。

 

ドアの開閉の音も聞こえませんし、
「なんかやばいぞ!」
と思い、とにかく急いで仕事を終わらせました。

 

クリーンエリアを出てネームプレートの確認をしましたが、”入室中”は自分のみ。

靴も確認しましたが、自分の靴しかありません。

おかしい。確かに音がしたのに。

 

エリア外から中の廊下を覗ける場所があり、見に行きました。

「あれ…誰かいる…」

一本の廊下の左右に扉が並んでいる。

その廊下の真ん中あたりに人がいます。

廊下の突き当たりは壁。反対の突き当たりは、今覗いている壁+窓。

「あれは誰だ?」

無塵衣を着た人が、這っているのが見えました。

四つんばいで、身を小さくして、ちょっと進んでは止まり、またちょっと進んでは止まりという感じです。

じっと見ていると、ソレの動きは止まりました。

そして、こっちを振り返りました。

私は反射的にお辞儀をしていました。

(エリア内では普通の挨拶の仕方です)

 

そして、誰かを確かめようと顔を見ました。

無塵衣の空いている部分(顔の部分)、マスクのせいで目だけしか見えませんが、その目がおかしい。目に何か生えている。

距離にして約30mくらい。遠くてよく見えない。

よく見ようと身を乗り出した時。

ソレが、凄いスピードでこっちに向かって這いずってきました。

四つんばいなのに滅茶苦茶はやい。

「うわっ!」

思わず声がでてしまった。

2~3mまで迫ったとき、目に生えているものがわかりました。

それは注射針でした。向かって左の眼球に注射針が刺さっていました。

反対の目は、目元が糜爛(ビラン)しているようで爛(タダ)れていました。

その瞬間、ピョンとソレがジャンプして私に飛びつこうとしました。

私は目をつぶってしまい、恐る恐る目を開けたのですが、壁(ガラス)にあたっているだろうソレは消えていました。音もしませんでした。

 

ほっとしたその時、女性の大きな声が!

「許さない!許さない!お前ら覚悟しておけ!*○×▼△!(聞き取り不可能)」

逃げた。私は転げるように逃げ帰りました。

職場の人には、この話をしませんでした。

その後、転職してしまったので、どうなったかはわかりません。

 

あれは何だったのか…

ただ、目元の糜爛って、マウスがよくなる症状なのです。

 

長文失礼しました。

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