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焦げ臭い匂いのする建物にいたバアさん

この記事の所要時間: 254

もう20年も前の話だけど、当時俺は小田急線の経堂に住んでてさ、夜中に城山通り沿いのコンビニに夜食を買いに行った。

自転車で城山通りを走ってて、コンビニの近くのバイク屋の前を通りかかった時、なんか焦げ臭い匂いがして止まったんだ。

バイク屋はシャッターが閉まってて、中で誰か作業でもしてんのかなと思ったけど、気になったんで建物の横にいってみた。

そしたらそのバイク屋の2階の窓が開いてて、そこから薄っすらと煙が出てる。

2階は電気もついてなく真っ暗で、もしかして火事?と思って見上げてた。

そしたら、その窓から白い下着?かワンピースみたいな服を着たばあさんが顔を出した。

俺は真下にいたんで、思いっきり目があっちゃった。

もし火事とかだったらその段階で何か言ってくるだろ?助けて、とか。

でもおばあさんは、何も言わず俺の顔を見てる。

あまりにも普通なんで何か気まずくなって小さな声で「大丈夫ですか?」って聞いたら、余計なお世話だって感じで何も言わずにすーっと窓を閉められちゃった。

こりゃ、サンマでも焼いてたかな・・・なんて思ってもう行こうとしたんだけど、どうも気になっちゃって立ち去れずにいたら、都合よく道の反対側を自転車のおまわりさんが通りかかった

 

俺はおまわりさんを呼んで、
「何かこの家変ですよ」
って言って、二人でバイク屋の裏側に回ってみた。

裏に回ってみると、バイク屋の2階は住居になってて、そこのドアの隙間から明らかに異常な量の煙が出てた。

俺は慌てて、おまわりさんに
「中におばあさんがいます!」
って言ったら、おまわりさん、ドアを体当たりで開けちゃった。

その瞬間、ものすごい量の煙が噴出してきて、俺はギブアップ。

おまわりさんは何とか中に入ってばあさんを助けようとしてた。

そこはアパート密集地帯だったんで、俺はとにかく大声を出しながら、裏の部屋の扉を叩きまくった。

そしてまわりの住民と今思えば笑っちゃうけどバケツリレー。

そんなもんで消えるはずもなく、火はどんどん広がっていって、俺はもう完全におばあさんのことはあきらめてて、もう危ないからみんな避難した方がいいよなんて言ってた。

そしたら、やっぱりおまわりさんはすごいもんで、とうとう燃える家の中から真っ黒な顔をして担ぎだしてきた。

俺達も手を貸して安全なところに横たわらせてよく見たら、それはじいさんだった。

着てるものも全然違う。ありゃーと思って見上げたけど、どう考えてももうばあさんの救出は不可能。

やっと消防車が駆けつけて消火を始めた時には2階は火の海だった。

 

その後、じいさんは一命を取りとめたらしい。

じいさんはバイク屋とは無関係で、2階を借りてただけ。

家賃もかなり滞納してたようで、自殺?って可能性が高いみたいな話を聞いた。

俺はその後第一発見者ってことで消防から賞状をもらった。

ところでばあさんなんだけど、そんな人いないんだって。

じいさんはずっと一人暮らしだったらしい。警察も消防もおじいさんと見間違ったんでしょってさらっと流しやがった。

 

見間違いのはずないんだけど。

だって助け出されたじいさんはハゲ頭だったけど、俺はばあさんの髪型まで覚えてるし、何よりも俺の目の前で窓を閉めやがったんだよ。

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