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神様を祀る社を移した養鶏場で極稀に出現する神様の卵

この記事の所要時間: 125

俺が子供の頃、母方の祖父が養鶏場をやっていた。

祖父が死んで今は人手に渡ってしまったが、まだ祖父が元気だった頃は夏休みのたびに遊びに行っていた。

どういう経緯だったか前後がはっきりしないのだが、俺が手に卵を持っている状況で、そして祖父がこう言った。

「それは、神様だから渡しなさい」

祖父に卵を手渡す時、
「ギョロ」
という、音というか気配のようなものが卵の中で動いて、それに驚いた俺は落としてしまった。

割れた卵から真っ黒い毛のようなものが見えて、それを祖父はすぐに踏みつけた。

それは、嫌な音がした。

 

 

俺は、その出来事を気にしていたらしく、その次か次の次の夏あたりに祖父が教えてくれた。

 

この養鶏場がある辺りというのは昔は沼がちだった土地で、なにかの神様を祭る社があったらしい。

祖父の先代が土地を買い取った時にその社を裏の山に移したのだが、それ以来ごくまれに無精卵の中に奇妙なものが混ざり始めたそうだ。

それはどういうものなのか、祖父は教えてくれなかったが
「神様」
なのだと言う。

俺はそれを聞いてやたら怖くなって体が震えた。

今にして思うと、
「それは神様で、そして殺す」
という文法が怖かったのだと思う。

「悪霊だから、殺す」
と言われれば、納得したかもしれないのに。

 

 

祖父の葬式の日、出棺の最中に鋭い笛の音が響いた。

まわりにいた全員が耳を塞いで騒然となったけど、俺はなぜか心のつかえが取れたような気がした。

説明できないが、納得した。

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